長い触腕まで含めると全長10mを超えることもある深海の巨大イカ、ダイオウイカ。深海で生きた姿が初めて撮影されたのは2004年と最近で、今も「幻の生き物」の代表格だ。ところが海外の掲示板で、「実は海に数百万〜数億匹いるらしい」という話が大きな反響を呼んだ。根拠になっているのは、ダイオウイカを食べるマッコウクジラの胃袋だという。ただし、この数字はかなり大ざっぱな推定だ。 ※注:ダイオウイカの学名は Architeuthis dux。以前は海域ごとに別の種類ではないかとも考えられていたが、現在は世界中のダイオウイカがこの1種とみられている。 今日の知ってた? 🦑 ダイオウイカは、世界の海に数百万〜数億匹いるのではないかという推定がある。根拠はマッコウクジラが食べている量だ。クジラの胃からはダイオウイカのくちばしなどが見つかっており、そこから計算すると、前提の置き方しだいで年に430万匹から1億3000万匹以上が食べられている可能性がある。それだけ食べられても絶滅しないなら、海にはそれを補えるだけの数がいるはずだ、という理屈である。ただし前提が変わるだけで数字が何十倍も変わる試算で、実際に数えた人はいない。 背景:ダイオウイカとマッコウクジラ 「全長」はあてにならない巨大イカ。ダイオウイカは深海にすむ巨大なイカで、胴体部分(外套膜)は大きな個体でも2m台だが、2本の長い触腕まで含めた全長は10mを超えることがある。ただし触腕は死んだあとに伸び縮みしやすく、測り方しだいで長さが大きく変わる。目撃談で語られる長さは実際に測った記録よりずっと大きくなりがちで、「数十mの大イカ」といった話は割り引いて聞く必要がある。2015年の時点で、世界で報告された標本は700ほどにとどまる。 マッコウクジラの胃袋が「記録庫」になる。マッコウクジラは深く潜ってイカを主食にするクジラだ。国立科学博物館などが北西太平洋で捕獲されたマッコウクジラの胃の中身を調べた研究では、餌の95%以上がイカ類だったという。イカのくちばし(顎板=がくばん)は硬くて消化されにくく、クジラの胃に残りやすい。くちばしの形は種類ごとに違うので、どのイカを食べたかが分かり、大きさからはイカの体の大きさもある程度見積もれる。めったに人前に姿を見せないダイオウイカについて分かっていることの多くは、こうした胃の中身の研究にも支えられている。 もう少し詳しく 「数億匹」のもとになった試算。アメリカのイカ研究者クライド・ローパー氏らは2013年の論文で、こんな計算をしている。世界にマッコウクジラが36万頭いるとして、1頭が月に1匹ダイオウイカを食べるなら年に430万匹以上、週に1匹なら年に1870万匹以上。さらに、イギリスの研究者マルコム・クラーク氏が1980年にまとめた胃の中身の研究では、マッコウクジラが1日に食べる数百匹のイカのうち約1%がダイオウイカだとされており、これを当てはめると年に1億3100万匹を超える計算になる。これはあくまで「食べられる数」で、個体数そのものではない。毎年これだけ食べられても減らないなら、それを支える繁殖集団がいるはずだ、と考えると「数百万〜数億匹」という数字が出てくる。 なぜ幅がこんなに大きいのか。まず「月に1匹」「週に1匹」は仮定の話だ。クラーク氏自身も、くちばしの色から、クジラに食べられていたダイオウイカの多くは成熟前の若い個体だったと指摘している。つまり「10m級の大人が数億匹」という意味にはならない。計算の土台になるマッコウクジラの頭数も推定値で、2022年の研究では約84万頭(幅はおよそ48万〜115万頭)という別の見積もりも出ている。2016年に発表されたダイオウイカの大きさに関する論文では、個体数を「数十万」と仮定して議論しており、専門家のあいだでも桁すら定まっていないのが実情だ。 世界中でたった1種類。2013年には、日本やニュージーランド、スペイン、南アフリカ、アメリカなど世界各地の43個体のミトコンドリアDNAを調べた国際研究が発表された。地域ごとの違いはほとんど見られず、ダイオウイカは世界に1種だけとみられている。若い時期に海流に乗って漂ったり、成長してから移動したりして、広い範囲に散らばっている可能性があるという。 生きた姿を初めて撮ったのは日本の研究者。国立科学博物館の窪寺恒己さんは、マッコウクジラが多く集まる小笠原諸島・父島沖で2002年から調査を続け、2004年9月、水深約900mで生きたダイオウイカの撮影(連続した静止画)に世界で初めて成功した。このときの個体は全長8mを超えると推定されている。2006年12月には釣り上げたダイオウイカが海面で動く姿をビデオに記録。2012年夏にはNHKと米ディスカバリーチャンネルの共同プロジェクトで有人潜水艇に乗り込み、7月10日、水深630m付近で現れたダイオウイカが、餌のソデイカを抱えたまま水深900m付近まで23分かけて沈んでいく姿の撮影に成功した。撮影には深海の生き物に見えにくい近赤外線のライトなども用意され、映像は2013年1月13日に「NHKスペシャル 世界初撮影!深海の超巨大イカ」として放送された。2013年の講演で「人に目撃されていないだけで、実は数が多いのでは」と問われた窪寺さんは、「その通りだと思う」と答えている。ただし、人の前に姿を現したのはこれまで三回だけで、その背後にどれだけの数がいるかは分からず、現時点で資源量は分からない、とも話している。 海外の反応 1. 海外の名無しさん 最近見た動画の受け売りなんだけど、海の生き物の数を少なく見積もってきた理由のひとつは、調査で使うライトが明るすぎて逃げられてたかららしい。照らし方を変えたら、何もいないと思われてた場所が急ににぎやかに映ったんだって。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) それ書こうと思ってた。しかも強いライトのせいで、深海の生き物の中には目をやられてしまうものもいるらしい。何百万年も真っ暗な中で暮らしてきたところに、いきなり投光器だからな。 3. 海外の名無しさん(>>2への返信) 深海の映像って、ほぼ全部その生き物の目をつぶしながら撮ってるようなもんだよな。探査船のクルーが、今まさに強烈な光を浴びせた相手を「かわいい〜」って言ってるのを見るたびに複雑な気持ちになる。 4. 海外の名無しさん(>>3への返信) さすがに「ほぼ全部」とまでは言えないと思う。はっきり調べられてるのは、たとえば1999年に科学誌に載った研究で、大西洋の熱水噴出孔のうち調査船がよく来る場所のエビは、ほとんどの目が白く濁って光を感じる部分が壊れてたって話。一部の生き物で実害が確認されてるのは確か。 5. 海外の名無しさん(>>2への返信) 初めてナイトダイビングしたとき、インストラクターに「生き物にライトを直接当てないで」って言われたんだよ。趣味のダイバーでもそこまで気を使うのに、太陽すら見たことない生き物に照明を全力で浴びせてるの、冷静に考えるとすごい。 6. 海外の名無しさん マッコウクジラが食べてる分だけでも、見積もりによっては年に1億匹を超えるらしい。しかもダイオウイカ同士で共食いしてたんじゃないかと疑われる胃の中身が見つかった個体までいる。昔は太平洋と大西洋と南の海で別の種類かもと言われてたけど、DNAを調べたら世界中ほぼ同じ1種類だった。つまりかなり長い距離を移動してるのかもしれない。映像が少ないのは、探す場所が違うのと、そもそも探しに行く調査がほとんどないからだと思う。お金になる生き物じゃないしね。 7. 海外の名無しさん(>>6への返信) まとめると、遠くのかすかな光にも気づいて、たぶん物音にも敏感で、危なそうなものからはさっさと逃げる生き物を、でかいライトつけて音を立てながら探してるわけだ。そりゃ見つからないよ。 8. 海外の名無しさん(>>7への返信) 目の大きさもすごいよ。直径27cmくらいの眼球を写真付きで報告した研究があって、動物界でも最大級。深海でマッコウクジラが近づいてくるのを遠くから見つけるための目じゃないか、って説まである。 9. 海外の名無しさん(>>8への返信) ということは、潜水艇のライトが届かないギリギリの暗がりから、巨大な目玉がいくつもこっちを見てる可能性もあるってこと? 深海探査の映像を今までと同じ気持ちで見られなくなった。 10. 海外の名無しさん 大型でがっしりした捕食者って、実は一日の大半をじっとして過ごすことが多い。深海の生き物も省エネで動かないやつが多い。詳しくはないけど、ダイオウイカもほとんどの時間は休んでるんじゃないかな。 11. 海外の名無しさん(>>10への返信) 潜っていった先で、ダイオウイカが何千匹もじっと寝そべってる場所に出くわしたらと想像してみてほしい。完全にホラー映画の世界だよ。 12. 海外の名無しさん(>>11への返信) 海底に寝そべるのは小さいイカやタコの話で、ダイオウイカなら水の中にふわふわ浮いたまま休んでると思う。……いや、何千匹が暗闇に浮かんでるほうが怖いな。 13. 海外の名無しさん(>>10への返信) 一日の大半をソファでじっとして過ごしてる自分も、実は大型でがっしりした捕食者だったと判明。今日はいい日だ。 14. 海外の名無しさん 「数億匹」って聞くとすごいけど、要は「マッコウクジラがこのくらい食べてるなら」っていう逆算だよね。前提がちょっと変わるだけで桁が変わりそうだし、数字だけがひとり歩きしてる気がする。 15. 海外の名無しさん(>>14への返信) その前提のクジラの数からして揺れてる。よく引用される36万頭は古い見積もりで、2022年の研究だと今は約84万頭(幅はおよそ48万〜115万頭)。捕鯨が始まる前は200万頭近くいたって推定もある。 16. 海外の名無しさん(>>14への返信) しかもクジラの胃から出てくるダイオウイカは、くちばしの色からして若い個体が多いって昔から指摘されてる。だから「10mの怪物が数億匹」みたいな想像はたぶん違う。それでも思ってたよりはずっといそう、くらいが妥当なところじゃないかな。 17. 海外の名無しさん ダイオウイカって長いこと船乗りのホラ話扱いだったんだよね。クラーケンなんているわけないって。写真が残る最初の例は1874年、ニューファンドランド島で牧師が自宅の浴槽の上に死骸を吊るして撮ったもの。深海で泳ぐ姿がちゃんと映像に残ったのは2012年の小笠原沖だから、本当につい最近の話。 18. 海外の名無しさん(>>17への返信) しかも上には上がいて、ダイオウホウズキイカっていう別の種類はもっと重くなる。2007年に南極海で捕獲された個体は495kgあった。腕には吸盤だけじゃなくて鉤爪までついてる。 19. 海外の名無しさん(>>18への返信) ダイオウホウズキイカは代謝がものすごく遅くて、500kgの大人でも1日30gくらいの餌で足りるって見積もりがある。自然の中で生きた姿が初めて撮れたのは2025年で、それも体長30cmくらいの子どもだった。謎っぷりではダイオウイカより上かもしれない。 20. 海外の名無しさん 深海の数の話なら、ハダカイワシもすごいよ。深海魚の重さの合計の最大65%を占めるとも言われてる。第二次世界大戦中、ソナーが群れに反射して、水深数百mのところに海底があるように見えたっていう話もある。 21. 海外の名無しさん 数字だけ聞くと多いけど、海ってとんでもなく広いうえに深さもあるからね。面積じゃなくて体積で考えたら、数億匹いても全然すかすかだと思う。ただ、それならなんで深海の網にもっと引っかからないのかは気になる。 22. 海外の名無しさん(>>21への返信) 昼間は水深600〜900mくらいにいるらしいから、ふつうの漁の網はそこまで届かないことが多いんじゃないかな。とはいえ、深海トロール網にかかって揚がった個体の記録はちゃんとあるよ。 23. 海外の名無しさん 何年も前にカリブ海のロアタン島で、夜11時ごろ船を出して、水深数千mの海溝の上をロープにつながれたまま漂うダイビングをした。見たこともない生き物が次々上がってきて、足の下を何かすごく大きな群れが通り過ぎていった。そこの年配のダイブマスターが「30年くらい前、同じ潜り方をしてたら周り一面ダイオウイカだらけになった」って話してて、当時は誰も信じなかったらしい。今なら本当だったのかもって思える。 24. 海外の名無しさん(>>23への返信) ロマンはあるけど、ダイオウイカはあまり群れを作らないんじゃないかと考える研究者もいるから、別の大きなイカの群れだった可能性もありそう。とはいえ、暗い海でイカに囲まれた体験自体は一生忘れないだろうな。 25. 海外の名無しさん いま自分がベッドでごろごろしながらスマホを見てるこの瞬間にも、真っ暗な海のどこかで巨大なイカがふわふわ漂ってるって考えると、なんだか不思議な気持ちになる。陸に上がってこられない生き物で本当によかった。 まとめ ダイオウイカが海に数百万〜数億匹いるという話は、マッコウクジラが食べている量から逆算した、幅の非常に大きな推定だ。前提しだいで桁が変わり、実際の数は専門家にも分かっていない。それでも、めったに姿を見せないからといって数が少ないとは限らないようだ。コメント欄では、明るすぎるライトが深海の生き物を遠ざけてきたのではという声や、数字のひとり歩きを戒める声、暗闇に漂う巨大イカを想像して震える声が目立った。 元ソース: 海には数百万〜数億匹のダイオウイカがいると知った(根拠はマッコウクジラの胃から見つかる量) The post 「クジラの胃袋から逆算すると数百万〜数億匹」めったに姿を見せない深海の巨大イカ、ダイオウイカは本当はどれだけいる? appeared first on みんな知ってた?【海外の反応】.…