2012年にアメリカで公開されたホラー映画『キャビン』。実はこの映画には、人気ゾンビゲーム『Left 4 Dead 2』の追加ステージとして、映画の世界をそのまま遊べるようにする計画があった。製作会社の経営難で話は流れたが、映画のある場面には、その名残がこっそり映り込んでいる。海外の掲示板では「遊びたかった」と悔しがる声が次々に上がった。 ※注:DLC(ダウンロードコンテンツ)は、発売済みのゲームにあとからネット経由で追加されるステージやキャラクターなどのこと。 今日の知ってた? 🎮 映画『キャビン』(原題 The Cabin in the Woods、2011年製作)には、ゾンビゲーム『Left 4 Dead 2』(2009年)のDLCとして、映画の世界で戦える追加ステージを出す計画があった。製作会社MGMの経営難で映画の公開が大幅に遅れ、計画は立ち消えに。それでもゲームの開発元Valveは、ゲームに登場する怪物を映画の背景に使うことを許した。映画にはタンク、ウィッチ、ブーマーの3体がひっそり映っている。 背景:映画『キャビン』と『Left 4 Dead 2』とは ホラーの”お約束”を逆手に取った映画。『キャビン』は、『クローバーフィールド/HAKAISHA』の脚本で知られるドリュー・ゴダードの監督デビュー作。脚本はゴダードと、のちに『アベンジャーズ』(2012年)を監督するジョス・ウェドンの共作で、出演はクリステン・コノリー、クリス・ヘムズワースら。大学生5人が週末を過ごしに森の山小屋へやってくる、というホラー映画の定番中の定番から始まるが、冒頭から”何かがおかしい”仕掛けが重ねられ、話は観客の予想しない方向へ転がっていく。ホラー映画のお約束そのものをネタにしたメタ的な作りが評判を呼び、米国の映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では批評家の91%が好意的な評価をつけた。結末に関わる部分は、未見の人のためにここでは伏せておく。 4人で協力して生き延びるゾンビゲーム。『Left 4 Dead 2』(レフト 4 デッド 2、略称L4D2)は、米国のゲーム会社Valve(バルブ)が2009年11月に発売したゲーム。プレイヤー4人が協力し、押し寄せる感染者(ゾンビ)の大群を撃退しながら安全な場所への脱出を目指す、一人称視点のシューティングだ。いくつかのステージをまとめた「キャンペーン」は、それぞれが1本のホラー映画という体裁で作られていて、クリアすると映画のエンドクレジット風の画面が流れる。もともと映画と相性のいいゲームだった。 Valveは”Steamの会社”。Valveは『Half-Life』『Portal』などのシリーズで知られる開発会社で、PCゲームの配信サービス「Steam」の運営元でもある。L4D2も発売後、2010年4月に『The Passing』、同年10月に『The Sacrifice』と、追加キャンペーンを配信していた。 ただのゾンビではない「特殊感染者」。L4D2には、普通のゾンビとは別に、特殊な能力を持つ強敵が何種類も出てくる。映画に登場した3体はその代表格だ。 タンク:筋肉の塊のような巨体の感染者。殴るだけでなく、車やがれきを投げつけてくる ウィッチ:暗がりにうずくまってすすり泣いている女性の感染者。刺激すると襲いかかってきて、一撃で瀕死に追い込まれる ブーマー:ぶくぶくに膨れた感染者。吐きかけられた胆汁を浴びると視界がふさがれ、ゾンビの大群が押し寄せてくる もう少し詳しく 明かしたのは監督本人。この計画は、2012年9月にゴダード監督が海外掲示板Redditの質問企画で明かしたものだ。「実は、L4D2のダウンロード版拡張パックを作る予定だった。『キャビン』の世界で戦えるやつだ。でもMGMが破産して、公開が延びたせいで話がつぶれた」。構想では、山小屋のある”上の世界”と、その裏側にある”もう一つの世界”の両方を舞台に、映画の怪物たちと戦えるはずだったという。 「映画原作のゲームは大嫌い。でもこれは合うと思った」。ゴダード監督は同じ回答で「映画を原作にしたゲームは大嫌いなんだ。いつもひどい出来だから。でも『キャビン』の世界を『Left 4 Dead』に持ち込むのは、しっくりくると思った」とも語っている。ただ、開発がどこまで進んでいたのかは明らかになっていない。 MGMの経営難で、映画ごと棚上げに。撮影は2009年春にカナダのバンクーバーで行われ、当初は2010年2月に公開される予定だった。ところが3D版に変換するため2011年1月に延期され、さらに製作会社MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー。ハリウッドの老舗映画会社)が巨額の負債を抱えて経営難に陥り、公開は無期限延期になった。MGMは2010年11月、米国の連邦破産法第11章(日本の民事再生法にあたる再建手続き)の適用を申請している。宙に浮いた映画は2011年4月に別の映画会社ライオンズゲートが配給権を獲得し、2012年4月13日にようやく全米公開。日本では2013年3月9日に公開された。撮影から公開まで、約3年かかったことになる。 Valveが残してくれた”名残”。DLCは幻に終わったが、ゴダード監督によれば、Valveの人たちは「それでも気前よく、背景の”キューブ”を埋めるのに怪物を何体か使わせてくれた。なにしろ埋めなきゃいけないキューブが山ほどあったんだ」。映画の後半、画面の奥に小部屋がずらりと並ぶ場面をよく見ると、タンク、ウィッチ、ブーマーが紛れ込んでいる。ほんの一瞬なので劇場で気づくのはまず無理で、一時停止してやっと見つかるレベルだ。ハンターなど、ほかの特殊感染者もいるという指摘もある。 海外の反応 1. 海外の名無しさん 歴代で一番好きなホラー映画。この世界の話をもう観られないのが、本当に残念でならない。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 続編について聞かれた監督は「あの結末で、自分たちを袋小路に追い込んじゃったからね」って答えてて、どう続けてもあのラストを台無しにする、とも言ってた。観た人なら納得のはず。だからこそ、ゲームのステージで世界を広げるのは、うまい続け方だったと思うんだよ。惜しい。 3. 海外の名無しさん 『キャビン』がL4D2のステージになるの、すごく想像がつく。ただ監督の構想どおりにやるなら、最後の1〜2ステージは映画に出てくる怪物を総動員して、その中を走り抜けさせないと釣り合わないだろうな。 4. 海外の名無しさん(>>3への返信) 自分ならこう組む。 1面:町を出て森を抜け、小屋まで。 2面:小屋に立てこもって大群を迎え撃つ。 3面:ネタバレになるから伏せるけど、”例の場所”へ降りて突っ切る。 4面:最後にもう一回、特大の襲撃。 5. 海外の名無しさん(>>4への返信) L4Dのキャンペーンって、最後は押し寄せる大群をしのいで救助を待つ、みたいな展開が多いから、山小屋ホラーの構図そのままなんだよな。ここまで相性のいい組み合わせも、なかなかない。 6. 海外の名無しさん 正直、流れて良かったのかもって思う。映画のタイアップゲームなんて、たいてい突貫工事でガッカリな出来になるし。L4D2の評判に傷がつかずに済んだとも言える。 7. 海外の名無しさん(>>6への返信) 監督本人も「映画を原作にしたゲームは大嫌い、いつもひどい出来だから」って言ってたらしいよ。そのうえで、L4Dに持ち込むのだけはしっくりきたって。一から作るゲームじゃなくて、遊び方ができあがってるL4D2の追加ステージなら、ありがちな失敗作にはなりにくかったはず。 8. 海外の名無しさん ウィッチってゲーム史に残る名キャラだと思うのに、あんまり語られないよな。暗がりのどこかから、すすり泣く声が聞こえてきたときの、あの背筋が冷える感じ……。 9. 海外の名無しさん(>>8への返信) L4Dの敵はだいたいそうだけど、ウィッチも単体ならそこまで危なくないんだよ。厄介なのは、普通のゾンビの大群に足止めされて注意がバラバラになってるときに限って出てくること。そこで一気に崩される。 10. 海外の名無しさん その3体が映ってる場面の画像ってある? 劇場で観たはずなのに、まったく記憶にないんだけど。 11. 海外の名無しさん(>>10への返信) 海外の映画の小ネタ掲示板やゲームメディアに、比較画像が上がってるよ。怪物がそれぞれ別の小部屋に入ってる場面ね。劇場じゃまず気づけなくて、一時停止してやっと分かるレベル。ハンターっぽいのまでいるのは知らなかった。 12. 海外の名無しさん 何年経っても、これが出なかったのをまだ根に持ってる。どこまで作業が進んでたのかは分からないし、正直、企画の段階から先には進んでなかったんじゃないかとも思うけど。それでも遊びたかった。 13. 海外の名無しさん 公開が2年以上遅れたせいで、撮影のときはまだそれほど知られてなかったクリス・ヘムズワースが、公開されるころには『マイティ・ソー』のソーになってたのも面白い。お蔵入り寸前の映画に、いつの間にかスターが出てた。 14. 海外の名無しさん 「統計的事実だ。でっかい水パイプを積んだ男の車を、警官は絶対に止めない。なぜか? 恐れてるからさ。この男が自分たちより遠くを見通していて、古代の論理で自分たちを縛り上げると知ってるんだ」 ※注:劇中で、5人組の一人マーティが言うセリフ。マーティはマリファナ好きの男子学生で、水パイプは大麻を吸うための喫煙具。 15. 海外の名無しさん(>>14への返信) あいつが開いてる窓から手を突っ込んで車をロックして、そのあとドアがちゃんと閉まってるか確かめるところ。毎回あそこで笑ってしまう。 16. 海外の名無しさん あれは”映画についての映画”なんだよ。ホラー映画のお約束とか、観客が毎回何を期待して観てるのかとか、そういうもの自体をネタにしてる。二回目に観ると、一回目は流してた場面の意味が全部変わって見える。 17. 海外の名無しさん(>>16への返信) ……お前ら、さっきマーティの水パイプを回し吸いしてきた? 急に語りが深くなってて笑った。 18. 海外の名無しさん ホラー好きじゃない人に、真っ先に勧めてる「ホラー」映画。単体で完結してて最初から最後まで失速しないし、ホラーのお約束を知ってる人なら、メタなネタや隠し小ネタが山ほど見つかる。言ってみれば現代版の『スクリーム』。 ※注:『スクリーム』は1996年の米国のホラー映画。登場人物自身が「ホラー映画のお約束」を語りながら話が進む作りで大ヒットした。 19. 海外の名無しさん 予備知識ゼロで観るほど楽しめるタイプの映画。昔レビューを読みかけたら「まだ観てないなら、ここで読むのをやめてすぐ観に行け。何も知らずに観たことを感謝するから」って書いてあって、素直に従った。あれは本当に正解だった。 20. 海外の名無しさん(>>19への返信) これは本当にそう。なので未見の人は、このスレを読むのはこのへんでやめて、先に観てきたほうがいい。何も知らないまま観るのがいちばん楽しい映画だから。 21. 海外の名無しさん 『キャビン』は意外な拾いものだった。個人的には、ブラッドリー・ウィットフォードが一番の見どころ。あの人が出てくる場面は全部面白い。 22. 海外の名無しさん(>>21への返信) ウィットフォードはいい役者だよね。『ゲット・アウト』でも最高だったし、『ザ・ホワイトハウス』は言うまでもない。 ※注:『ゲット・アウト』は2017年の米国のホラー映画。『ザ・ホワイトハウス』(原題 The West Wing)は、米大統領とその側近たちを描いた政治ドラマで、ウィットフォードは次席補佐官のジョシュ・ライマンを演じた。 23. 海外の名無しさん SCP財団の話を聞くたびに、なぜかこの映画の”あの場所”が頭に浮かぶ。あと、あそこにいるもの一つひとつに、ちゃんと細かい”収容手順”が決まってるんだろうなって想像までしちゃう。 ※注:SCP財団は、異常な物体や生き物を「収容」する架空の組織を舞台にした、ネット発の共同創作ホラー。 24. 海外の名無しさん 映画は最高、ゲームも最高。いま思えば、あれは生きてて楽しい時代だった。 25. 海外の名無しさん(>>24への返信) 「楽しい時代だった」って過去形なのが、地味に刺さる……。L4D2を友達と毎晩やって、『キャビン』を観て盛り上がってたあの頃に戻りたい。 まとめ 映画『キャビン』には、ゾンビゲーム『Left 4 Dead 2』の追加ステージとして映画の世界を遊べるようにする計画があったが、MGMの経営難による公開延期で幻に終わった。それでもValveの厚意で、ゲームの怪物たちは映画の背景にひっそり残っている。コメント欄では「遊びたかった」と悔しがる声や、自分ならこう作るというステージ案に加え、『キャビン』そのものへの愛が語られた。そして目立ったのが、「未見なら予備知識なしで観てほしい」という忠告だった。 元ソース: 映画『キャビン』(2011年)は、ゲーム『Left 4 Dead 2』(2009年)の追加ステージとして連動する予定だったと知った。MGMの経営難で話は流れたが、Valveは感染者3体(タンク、ウィッチ、ブーマー)を映画の背景に登場させることを許した The post 「MGMが破産して、公開延期で話がつぶれた」映画『キャビン』は人気ゾンビゲーム『Left 4 Dead 2』の追加ステージになるはずだった… appeared first on みんな知ってた?【海外の反応】.…