遊戯王のカードゲームは、1999年にコナミが日本で始めたものだ。海外版は2002年にアメリカで発売され、北米やヨーロッパでの販売はアメリカのトレーディングカード会社「アッパーデック」が任されていた。その販売元が、裏でコナミに無断で遊戯王カードを刷っていた。2008年に発覚し、アッパーデックは販売権を失っている。日本生まれのカードゲームの海外販売で、実際に起きた偽造事件だ。 今日の知ってた? 📦 2002年から2008年まで、日本などアジアを除く地域で遊戯王カードの販売を担当していたのは、アメリカのアッパーデックだった。 🖨️ そのアッパーデックが2007年、コナミの許可を得ずに約61万1000枚の遊戯王カードを中国で印刷し、アメリカに持ち込んでいた。アメリカの連邦地裁は、同社がカードを偽造し、商標権などを侵害したと認定している。 ⚖️ コナミは2008年12月に契約を打ち切り、海外版の販売を自社に切り替えた。裁判は2010年1月、損害賠償額を決める陪審審理が始まった直後に和解。アッパーデックを遊戯王の販売から締め出す命令は恒久的なものになった。 ※ 出典は、コナミの米国法人が発表したプレスリリース(2010年1月・2010年2月)と、ロサンゼルスの経済紙『Los Angeles Business Journal』の2010年2月の記事など。 背景:海外版の遊戯王と、アッパーデックという会社 日本版と海外版は、別の商品として売られている。遊戯王のカードゲームは、1999年にコナミが日本で発売した「遊戯王オフィシャルカードゲーム(OCG)」が始まりだ。海外向けには英語版などの「トレーディングカードゲーム(TCG)」があり、2002年3月に北米で発売された。このとき販売を任されたのがアッパーデックで、担当は日本などアジアを除く地域、つまり北米やヨーロッパなどだった。 世界で最も売れたカードゲームでもある。裁判が続いていた2009年7月、遊戯王はギネス世界記録に「世界で最も売れたトレーディングカードゲーム」として認定されている。累計の販売枚数は220億枚を超えていた。アッパーデックが2008年の1年間にアメリカで流通させた遊戯王カードも、約5億枚にのぼったと報じられている。 アッパーデックは、もともと野球カードの名門だった。1988年にカリフォルニア州で創業した会社で、高級路線の野球カードで名を上げた。創業者の一人は印刷の営業をしていた人物で、カードの偽造品が出回っていると聞き、大学で学んだホログラムを使えば偽造を防げると考えた、と同社の成り立ちでは語られている。偽造防止のホログラムを看板にした会社だったわけだ。 ※注:アメリカでは、野球やアメリカンフットボールなどの選手カードを集める趣味が子どもから大人まで根強く、カードの製造・販売は大きな市場になっている。アッパーデックはそうしたスポーツカードの大手の一つだった。 もう少し詳しく 売れ残りの詰め合わせに「レア」を仕込んだ。アッパーデックの説明によれば、動きの悪い在庫を処分するために、古いパックを一般的なカードと一緒に詰め直して売る「無許可の販促企画」だったという。そこに入れたレアカードについては、偽物ではなく「バリエーション」だと主張した。この詰め替え商品は、アッパーデックから商品を仕入れる流通業者を通じてトイザらスなどの店頭に並んだ。無断で刷られたのは9種類のレアカードで、アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』でおなじみの「E・HERO フレイム・ウィングマン」や「D-HERO ドレッドガイ」も含まれていたと報じられている。 気づいたきっかけは、トイザらスの店頭だった。報道によると、2008年8月、ロサンゼルス近郊のトイザらスを訪れたコナミの米国法人の社員が、並んでいたカードに違和感を覚えた。カードの偽造防止ホログラムの位置がずれていたり、色が違っていたりしたうえ、字体もおかしかったという。同年10月にはコナミ側の調査員が、印刷された約61万1000枚のうち3分の1以上を回収している。 契約の打ち切りから、国をまたいだ裁判へ。コナミは2008年10月、詰め替え商品を流通させた業者を提訴し、12月にはアッパーデックも被告に加えた。同じ月に契約を打ち切り、アジア以外での販売を自社で手がけると発表している。アッパーデックは打ち切りは不当だと反発し、逆にコナミを訴えた。オランダでは一時アッパーデック側の主張が通ったが、2009年4月にアムステルダムの控訴裁判所が、ヨーロッパなどでの契約打ち切りを認めた。アメリカでも2009年2月、アッパーデックに遊戯王の販売や商標の使用を禁じる仮の差し止め命令が出ている。 会長室でのシュレッダー。コナミの発表によれば、裁判の証拠開示の過程で、2008年にアッパーデックの会長室で開かれた会議の存在が明らかになったという。無断で作ったカードが「本物らしく見えない」ことが話し合われ、その場で会長が偽造カードの見本をシュレッダーにかけた、とされている。 ※注:アメリカの民事裁判には、本格的な審理の前に、当事者どうしが手元の資料や関係者の証言を相手側に開示し合う「証拠開示(ディスカバリー)」という手続きがある。 判決、そして「ライフポイント」。損害賠償の審理を前に、連邦地裁のヴァレリー・ベイカー・フェアバンク判事は、アッパーデックが遊戯王カードを偽造し、商標権や著作権などを侵害したと判断した(コナミは2010年1月にこの判断を発表している)。アッパーデック側の反訴も退けられ、残ったのは賠償額を陪審が決める審理だけになった。その審理の法廷で、アッパーデックの弁護士リチャード・ハウエルは「現時点で、アッパーデックにはライフポイントがあまり残っていません。弁護人の立場から見ても擁護できない行為であり、擁護するつもりもありません」と述べたと、コナミの発表は伝えている。 ※注:ライフポイントは、遊戯王でプレイヤーの残り体力を表す数値。0になると負けになる。 和解の中身は公表されていない。両社は審理が始まってすぐに和解し、アッパーデックを遊戯王から締め出す差し止め命令は恒久化された。支払いは分割で行われることになったと報じられたが、金額は明らかにされていない。コナミは和解前に「数億ドル規模」の損害だと主張していた一方、アッパーデックの会長は経済紙の取材に「コナミが受け取った額は、おそらく向こうの弁護士費用にも届かなかった」と語っている。海外版の遊戯王は、以後コナミ自身が販売するようになった。 海外の反応 1. 海外の名無しさん ボードゲーム系のYouTuberがこの件を1時間以上かけて解説してる動画があって、裁判の経過まで細かく追ってる。欲張りなだけならまだしも、やり方がとにかく雑なんだよ。「合法的にお金を刷る免許を持っていたような会社なのに、それでも足りなかった」という言葉が全部を言い表してると思う。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) その一言、判事の言葉として広まってるけど、調べたらアッパーデックの歴史を本にまとめた作家が、地元の経済紙の取材で言ったものらしい。まあ誰が言ったにせよ、的を射てるのは変わらないけどな。 3. 海外の名無しさん(>>1への返信) その動画、3週間くらいずっとおすすめ欄に出てきてたのに無視してたんだよ。ここまで来たらもう観念して今夜見る。 4. 海外の名無しさん(>>3への返信) お前のおすすめ欄、しつこすぎてついに自分でスレまで立て始めたんじゃないか。 5. 海外の名無しさん 発覚した当時は、地元のカードショップが1〜2週間この話題で持ちきりだった。アッパーデック時代の大会の賞品カードは今でも持ってる。値段はほとんどつかないけど、見た目は本当にかっこいいんだ。 6. 海外の名無しさん(>>5への返信) パラレルレアのことだよね。あれは正規の賞品だから偽物とは別物なので安心していい。偽物のほうは「1st Edition(海外版で初版に入る表記)なのに、右下のホログラムが銀色」っていうのが見分け方としてよく言われてた。 7. 海外の名無しさん(>>6への返信) あれ、金色が1st Editionで、銀色はそれ以外じゃなかったっけ。……ああそうか、だからカードに慣れた人なら一目で「おかしい」ってなるわけか。 8. 海外の名無しさん よく分からないんだけど、要するに本物と同じカードを余分に刷って、コナミに取り分を払わずに売ってたってこと? 見た目も本物とは違ってたの? 9. 海外の名無しさん(>>8への返信) 売れ残ってた古いパックを、別の業者経由で「レア入り確定」の詰め合わせにして売ったんだ。その目玉の「レア」を中国で勝手に刷ってた。当然コナミには報告もしてないし、使用料も払ってない。 10. 海外の名無しさん(>>8への返信) 絵柄は本物と同じでも、ホログラムの位置や色、字体が微妙に違ってたらしい。正規の販売元が自分で作ってて、それでもボロが出るんだから相当雑だよ。 11. 海外の名無しさん 90年代のアッパーデックといえば、子どもがみんな欲しがった高級な野球カードの会社だよ。あそこがこんなことをやってたとは、いまだに信じられない。 12. 海外の名無しさん(>>11への返信) 初めて手に取ったときは衝撃だった。表面がツヤツヤで、裏にまで写真が入ってて、おまけに袋を開けるといい匂いがした。あの頃のアッパーデックは特別だったんだ。 13. 海外の名無しさん(>>11への返信) 皮肉なのは、この会社の出発点が「偽造カードが出回ってるならホログラムで防げばいい」っていう発想だったことだよ。偽造を防ぐ会社として始まって、最後は自分で偽造してホログラムでバレてるんだから世話がない。 14. 海外の名無しさん 被告側の弁護士が法廷で「アッパーデックにはライフポイントがあまり残っていません。弁護人の立場から見ても擁護できない」って言ったの、すごすぎる。依頼人を守るはずの弁護士がそれを言うのか。 15. 海外の名無しさん(>>14への返信) 法廷では陪審に向かって「依頼人にきちんと責任を取らせてほしい」とまで言ったらしい。自分の弁護士がそこまで見限ってるのに、なんで裁判まで持ち込んだのか不思議でしょうがない。 16. 海外の名無しさん(>>15への返信) あの時点で偽造したかどうかはもう判事に認定されてて、残ってたのは「いくら払うか」を決める審理だけだったんだよ。弁護士としては、正直に認めて陪審の心証を良くして、少しでも金額を小さくしたかったんだと思う。 17. 海外の名無しさん 正直、本物を作ってる当人たち以上にうまく偽物を作れるやつなんていないよな。 18. 海外の名無しさん(>>17への返信) ところが実際は材料を間違えてバレてるんだから、それすらできてなかったってことだ。 19. 海外の名無しさん 会長室で「本物っぽさが足りないな」と話し合って、その会長が見本をシュレッダーにかけたって話、映画の脚本だったら「悪役がベタすぎる」ってボツにされると思う。 20. 海外の名無しさん 刷ったカードの選び方がまた分かりやすい。フレイム・ウィングマンとか、アニメで見覚えのあるヒーローのカードばかり。対戦で強いかどうかより、懐かしさで手に取る子どもを狙ってたんだろうな。 21. 海外の名無しさん 自分はマジック:ザ・ギャザリングのプレイヤーなんだけど、当時アッパーデックで働いてた人が出てるポッドキャストを聞いたら、社内も相当めちゃくちゃだったらしい。とにかく何も気にしてない会社だったって印象しか残らなかった。 22. 海外の名無しさん この件のあと、野球もアメフトも大きなリーグのライセンスは別の会社に移って、大手で残ったのはアイスホッケーくらい。全部がこの件のせいかは分からないけど、業界での信用を落としたのは確かだと思う。 23. 海外の名無しさん(>>22への返信) 野球のほうでは、メジャーリーグのライセンスがなくなった後もチームのロゴ入りカードを出して、MLBに訴えられてたはず。本当に懲りない会社だよ。 24. 海外の名無しさん 独占販売っていう、黙ってても儲かる立場にいたのに、もっと取ろうとして全部なくした。子ども向けのカードゲームの話なのに、これ以上ないくらい大人向けの教訓になってる。 25. 海外の名無しさん 日本のカードゲームの海外版が、よりによって公式の販売元に偽造されてたなんて知らなかった。コナミが海外でも自分で売るようになったのは、こういう経緯があったからなんだな。 まとめ 海外版の遊戯王を任されていたアッパーデックが、コナミに無断で約61万枚のカードを中国で印刷し、偽造を認定されて販売から締め出された。コメント欄では、偽造防止のホログラムを看板にした会社がそのホログラムでボロを出した皮肉と、自社の弁護士に「ライフポイントがあまり残っていない」と言われた法廷の場面が特に話題に。「黙っていても儲かる立場だったのに」という呆れ声が目立った。 元ソース: 遊戯王の海外版を独占販売していたアッパーデックは、自社でカードを偽造していたことが発覚して販売権を失ったと知った The post 「コナミに無断で約61万枚を中国で印刷」遊戯王の海外版を任されていた販売元が、自らカードを偽造していた appeared first on みんな知ってた?【海外の反応】.…