クリストファー・ノーラン監督の新作『オデュッセイア』(原題 The Odyssey)が、日本でも9月11日に公開された。この映画をIMAXの70mmフィルムで上映できる映画館は、世界でもごく一部しかない。理由は、映写機を作るための部品の多くがもう存在せず、設計図もまともに残っていないから。前作『オッペンハイマー』からの約3年で、IMAXが増やせたのはわずか11スクリーンだった。 今日の知ってた? 🎞️ IMAXの70mmフィルム映写機は、作るのに必要な部品の多くがもう存在せず、設計図も失われている。そのため、『オッペンハイマー』(2023年)から『オデュッセイア』(2026年)までの間に、IMAXが古い映写機の修理や組み直しに手を尽くしても、70mmフィルムで上映できるスクリーンはわずか11しか増やせなかった。 背景:IMAXの「70mmフィルム上映」とは 「IMAX」と名のつく映画館の多くはデジタル上映。いま世界にあるIMAXシアターの大半は、映画をデータとして受け取り、レーザーなどのデジタル映写機で映す方式だ。一方、この話の主役である「IMAX 70mm」は昔ながらのフィルム上映。幅70mmの大判フィルムを横向きに走らせ、ふつうの映画用フィルム(35mm)よりはるかに大きな1コマに映像を焼き付けている。 重いフィルムを、上映のたびに人の手で。70mmフィルム上映では、巨大なフィルムのリールを映写技師が毎回手作業で扱う。ボタン一つでハードディスクから再生が始まるデジタル映写機とは、手間がまるで違う。 画面の形も違う。70mmフィルム上映の画面は縦横比1.43:1で、ふつうの映画よりぐっと縦に大きい。デジタルのIMAXは1.90:1の横長で映すところが多いが、レーザー映写機を2台重ねる「デュアルレーザー」方式なら1.43:1にも対応できる。 ノーラン監督はフィルムにこだわる代表格。『オッペンハイマー』『オデュッセイア』のノーラン監督は、フィルムでの撮影と上映にこだわることで知られる。『オデュッセイア』は、長編映画として初めて全編をIMAXのフィルムカメラで撮影した作品だ。こうした作品が出るたびに、70mmフィルム上映ができる映画館の少なさがあらためて注目される。 もう少し詳しく 「部品はもう存在しない」。コメント欄で引用された米芸能業界誌バラエティの記事によると、IMAXの関係者は、この特殊なフィルム映写機を作るのに必要な部品の多くが「もう存在しない」と認めている。元の設計ファイルが作られたのはおよそ半世紀前で、IMAXのゲルフォンドCEOもほのめかしたように、きちんと管理されてこなかったという。 「新しく作ればいいのでは?」への答えは、お金と需要。コメント欄でいちばん多かったのは「今の技術なら作り直せるだろう」という疑問だった。実際、「コンピューター制御の工作機械がある時代に、作れない部品なんてない」という声は少なくない。ただ、作れるかどうかと、作って元が取れるかどうかは別の話だ。映写機を開発するだけでなく、映画館は大がかりな改装をして設置し、映写技師を雇い続けなければならない。70mmフィルムを前提にした大作は数年に一度しか来ないので、70mm専用の劇場にしたら1年の大半は空席になる、という指摘もあった。 「道具を作るための道具」が消えた。支持を集めたもう一つの見方が、アメリカで「工具・金型づくり」の産業が衰えたことが根っこにある、というもの。部品を作るための型や工具を作れる職人・工場が減ったせいで、古い機械の部品を一から作り直すのが難しくなっているという。2010年代にレコード人気が復活したときも、新しいプレス機を作れず、古い工場やスクラップ置き場からプレス機を探し出して直して使った、という例が挙がった。 映写機の操作は「電子手帳」頼みだった?コメント欄では、ある舞台裏映像で見たという話として、IMAXの映写機がPalm Pilot(1990年代後半から流行した手のひらサイズの電子手帳)で操作する設計になっていて、その電子手帳が壊れても替えがなく、技術に詳しい人が代わりの装置を自作した、というエピソードも紹介された。 海外の反応 1. 海外の名無しさん 同じ品質のものを一から新しく作るのは、投資に見合わないってこと? 部品がないなら作ればいいだけの話に聞こえるんだけど。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 作る側だけの問題じゃないんだよ。仮に誰かが新しい映写機を作ったとしても、映画館がそれを買って設置するのにとんでもないお金がかかる。それに特許やら知的財産やらが絡んでるだろうから、よそのメーカーがそっくりなものを勝手に作るわけにもいかない。 3. 海外の名無しさん(>>1への返信) 正直、割に合わないと思う。この形式で撮られた映画なんて年に何本出る? 「ノーラン作品をエンドレスで上映すればいい」って意見もよく見るけど、それは答えにならない。開発・製造・設置の費用に加えて、扱える技師を育てて雇い続けなきゃいけないし、その人件費も安くない。しかも70mm専用の劇場にしたら1年の8割は空っぽだから、結局デジタルのレーザー映写機も並べて置くことになる。そうなると今度は「シネコンを改装した小さいIMAXなんて”なんちゃってIMAX”だ」っていう、いつもの論争に逆戻りだよ。 4. 海外の名無しさん これ、実はかなり面白い話なんだよ。関わってくるのは「工具・金型づくり」と呼ばれる業界で、要は”ものを作るための道具を作る”人たちのこと。製造業の海外流出の話は大げさに言われがちだけど、アメリカが本当に失ったものを一つ挙げるなら、この工具・金型づくりの力だと思う。あるポッドキャストで、グリル掃除用のブラシをアメリカの工場で作ろうとしたら、必要なものをそろえるだけでどれだけ苦労したか、って回があってすごく良かった。この問題に一度気づくと、あちこちで同じことが起きてるのが見えてくる。ボウリング場の機械なんかもそうだ。 5. 海外の名無しさん(>>4への返信) 「金型」って言われてもピンとこない人向けに補足すると、クッキーの型抜きや油圧プレスみたいに、金属を押しつぶしたり切ったり打ち抜いたりするための型のこと。溶かした金属を流し込む型もそう呼ぶ。つまり、上の人が言うとおり”道具を作るための道具”だね。 6. 海外の名無しさん(>>4への返信) これを突き詰めて考えると、ものづくりの底なしの穴に落ちるんだよな。精密な道具を作るための精密な道具を、さらに作るための精密な道具がなくなったら、いったいどこから立て直せばいいのか。どこまでさかのぼっても精密工具。 7. 海外の名無しさん(>>4への返信) 2010年代にレコード人気が復活したときも、まさにそれが大問題だった。レコードのプレス機を動かしてる工場はごくわずかで、原盤の溝を刻むカッティング用の旋盤を持ってるところはさらに少なかった。新しいプレス機を作るための道具から用意するのは高すぎるってことで、業界は古い工場やスクラップ置き場を探し回って、見つけたプレス機を直して使ったんだ。それでも生産は需要に追いつかなくて、レコードを作るのに3〜6か月、ときにはもっとかかる。CDや配信より、レコード版の発売がずっと遅れることもあるよ。 8. 海外の名無しさん(>>4への返信) そのグリルブラシの話、自分はアメリカの科学系YouTubeチャンネル「Smarter Every Day」で知ったよ。国内で作るまでの過程をずっと記録してるんだ。部品づくりを手伝ってくれた職人さんの一人が亡くなって、アメリカにはもう同じことができる人がほとんどいないから、その人の膨大な知識が誰にも受け継がれずに消えてしまった、って話は、聞いていて本当にやりきれなかった。 9. 海外の名無しさん コンピューター制御の工作機械がある時代に、作り直せない部品なんてない。企業がお金を出したくないだけだよ。70mmはアナログの上映方式なんだから、交換部品どころか機械ごと新しく設計するのだって、宇宙開発みたいな難題じゃない。……まあ、かかる費用は宇宙開発並みだろうけど。 10. 海外の名無しさん(>>9への返信) 自由な曲面のレンズまで作れるこのご時世に、「この映写機はもう再現できません」なんて言い分は通らないでしょ。 11. 海外の名無しさん(>>9への返信) 作れるか? もちろん作れる。問題は「その映写機を誰が買うのか」で、答えは「誰も買わない」。70mmを導入したい映画館は、劇場ごと大改装しなきゃいけない。仮にそこを乗り越えても、今度はちゃんとした映写技師を雇う必要がある。ボタンを押せばハードディスクから再生が始まる今のデジタル映写機と違って、巨大なフィルムのリールを上映のたびに人の手で扱うんだから。要するに、70mmのIMAXは映画館にとって採算が合わないし、一般の観客は画面の縦横比なんて気にしない。それに映画をまるごと70mmフィルムで撮りたがるのは、ノーランくらいのものだよ。 12. 海外の名無しさん バカな質問かもしれないけど、1台バラして仕組みを調べて、中の部品を全部そっくり複製すればいいんじゃないの? 動く金属の機械なんだから、再現できない魔法の素材が使われてるわけでもないだろうし。 13. 海外の名無しさん(>>12への返信) 本家の映写機は、ほかのどのフィルム映写機とも仕組みがまるで違う独特な作りなんだ。だから本当にとんでもない大仕事になる。しかも映写機だけじゃなく、デジタルで作った映像を実際のフィルムに”焼き付ける”装置(中身は大幅に改造したブラウン管みたいなもの)まで、周辺の機材も発明し直さなきゃいけない。とはいえ、ここ1〜2年のうちに、IMAXが「新しい映写機の開発に挑む」と発表するんじゃないかと自分はにらんでる。 14. 海外の名無しさん IMAXの映写機の舞台裏映像を見たことがあるんだけど、Palm Pilot(90年代後半〜2000年代に流行った手のひらサイズの電子手帳)で全部操作する設計になってたんだよ。案の定、そのPalm Pilotが壊れたら替えがどこにもない。そこで技術に詳しい誰かが、Palm Pilotのふりをして映写機とやり取りする装置を自作したらしい。技術の進化が止まると、こういう綱渡りをするはめになる。 15. 海外の名無しさん(>>14への返信) そもそも「部品がないから映写機が少ない」って言い方は、順番が逆なんだよね。まず、この技術が誰にも買われなくなって時代遅れになった。だからメーカーは、世界にほんのひと握りしかない特殊な機械のために部品を作るのをやめた。そうこうしているうちに、作り方の情報も時の流れの中で失われていった、というのが実際のところでしょ。 16. 海外の名無しさん 見た目は中世っぽい世界なのに、実は2050年で、社会は封建制に逆戻りしてて、誰も昔の技術の仕組みを覚えてない……。俺たち完全に、日本のRPGによくあるあの設定の中にいるよね。 17. 海外の名無しさん(>>16への返信) 記事を読むと、IMAXの関係者が「映写機を作るのに必要な部品の多くは、もう存在しない」と認めてて、元の設計ファイルもおよそ半世紀前に作られたきり、ちゃんと管理されてこなかったらしい。何これ、ウォーハンマー40K(はるか未来の人類が、先祖の作った機械の仕組みを忘れて、祈りを捧げながら動かしてるSFの世界)かよ。 18. 海外の名無しさん(>>17への返信) いやいや、大げさすぎ。古代のアレクサンドリア図書館が燃えたみたいな扱いをするのはバカげてる。市場さえあれば、必要な設計資料なんていくらでも作り直せるに決まってる。本当に話し合うべきなのは、その市場があるかどうかのほうでしょ。 19. 海外の名無しさん それで納得した。アリゾナ州フェニックスのシネコンにある70mmのスクリーン、映写機が何年も壊れたままなんだよ。そこで『オッペンハイマー』を観たとき、前半は画面がザラザラして焼けたような色合いなのを「1940年代が舞台だから、あえてそういう演出なんだな」と思ってた。途中で気づいたよ、自分にそう言い聞かせてただけだって。で、『オデュッセイア』はさすがに3年もたてば直ってるだろうと思って、また行ったんだ。直ってる……よな? ……よな? しかもポップコーンを渡してくれた店員が、何か問題があったらチケット代を返金してもらえるって、手続きのやり方まで先に教えてくれた。映画の前にそんなこと言われたのは生まれて初めてで、嫌な予感しかしなかった。 20. 海外の名無しさん(>>19への返信) 上映前に返金の方法を教えてくれる映画館、正直すぎて逆に信頼できる気がしてきた。その店員さん、上映中に何が起きるか全部知ってるんだろうな。 21. 海外の名無しさん 部品の問題だけじゃなくて、「イベント級の大作が4年に1本くらい」のペースじゃ、常設の設備を入れるコストはとても正当化できないってのもあるよね。 22. 海外の名無しさん(>>21への返信) まさにそこ。今年は『オデュッセイア』と『デューン』シリーズの3作目があるけど、それ以外に「大きなスクリーンで観なきゃ」と思わせる映画が何本ある? 大きくて音のうるさいフィルムカメラで撮りたがる監督がどれだけいるのか。デジタルで撮ってフィルムに焼き直すにしても、IMAX 70mmのフィルムはリール1本で5万ドルくらいかかるらしいし、それを押し通せる意志と発言力があるのは、ノーランや『デューン』のドゥニ・ヴィルヌーヴくらいだ。ニューヨークやロサンゼルスなら、70mm対応の大スクリーンで、70mm用じゃない映画でも高いチケット代を払って観る客はいる(自分もニューヨークのリンカーン・センターの劇場で『ゴジラ-1.0』の続編を観るのが楽しみ)。でも同じ需要が地方都市にもあるかといえば、どうだろうね。 23. 海外の名無しさん(>>21への返信) ここしばらく、映画業界はかなり厳しかったからね。IMAX 70mmみたいな大がかりでお金のかかる形式は、今ある映写機が動くあいだだけ細々と続いて、最後はデジタルに置き換えられてもおかしくなかった。流れが変わったのはここ数年のことで、ライアン・クーグラーやノーランといった監督たちが、自分の映画をいろんな上映形式で見せることに本気で力を入れ始めてから。それでやっと、この分野にもう一度投資する価値がありそうに見えてきたんだと思う。 24. 海外の名無しさん IMAXのデュアルレーザー(レーザー映写機を2台重ねて映す方式)なら、画面の大きさも縦横比も70mmとまったく同じ。色は鮮やかでコントラストも上だし、解像感はわずかに劣るけど、見てほとんど分からないレベル。個人的にはデュアルレーザーのほうが少し上だと思ってる。ただ、この方式の劇場も数えるほどしかないうえに、映写機メーカーはもうこの機種を作ってないらしいんだよね。 25. 海外の名無しさん IMAXのニュースって、全部よくできた広告キャンペーンだと思ってる。IMAXのカメラや映写機をロマンたっぷりに語って、IMAXシアター、ひいては普通の映画館まで、もう一度”わざわざ足を運ぶ体験”にしようとしてるんだよ。誰に何を言われても、この考えは変わらない。 まとめ IMAXの70mmフィルム上映が少ないのは、約半世紀前に設計され、今では部品も設計図も失われた映写機を、修理と組み直しでしのいでいるから。『オッペンハイマー』から『オデュッセイア』までの約3年で増えたのは、わずか11スクリーンだった。コメント欄では「今の技術なら作れるはず」という声と「作っても採算が合わない」という声がぶつかり、話はアメリカのものづくりの衰えや、消えていく職人の技にまで広がった。 元ソース: IMAXの70mmスクリーンがこれほど少ないのは、映写機を作る部品の多くがもう存在せず、設計図も失われているからだと知った。『オッペンハイマー』から『オデュッセイア』までの間、IMAXはできる限り映写機を修理・新造したが、増やせたのは11だけだった The post 「部品はもう存在しない、設計図も残っていない」IMAXの70mmフィルム映写機、約3年がかりで増やせたのはわずか11スクリーン appeared first on みんな知ってた?【海外の反応】.…