1: Hitzeschleier ★ svwOB/g29 2026-01-08 08:58:05 「菅は今、“涅槃” に入ってるんですよ。わかりますでしょ?」 1月4日の昼下がり、私(及川健二)は東京・多摩地域にある「エコカンハウス」と呼ばれる菅直人元首相(79)の自宅を訪れた。応対した伸子夫人(80)はそう言うと、居間に通してくれた。 【画像あり】2026年1月、菅直人元首相の自宅を訪れると 小笠原諸島にルーツを持つという黒猫と、トラ猫というほどには毛色が濃くない猫が迎えた。私は正月のお祝いも兼ねて、先の大戦で爆心地から300m先にあった長崎医療病院で被爆した永井隆医師の書のレプリカをプレゼントした。 石破茂前首相が、2025年の長崎でおこなわれた平和式典で引用したことでも知られている。伸子夫人は、永井医師が自ら被爆者でありながら、医療に献身したことをご存じだった。 20年近く菅氏と交流がある私はこの日、尋ねたいことがあった。最近、永田町界隈で「菅さんが認知症である」という噂が広まっているのだ。菅氏とは、2023年12月におこなわれた武蔵野市議補選のときに話をしたが、屈託のない笑顔を見せ、口調も元気そのものだった。 それから2年ほどしかたっていないのだから、にわかには信じがたい。だが、菅氏が “涅槃(煩悩がなくなった、悟りの境地)に入った” という伸子さんの冒頭の証言は、いささか冗談めかしたものであったが、それを裏づけているのだろうか。 (略) 伸子さんとその後も話していると、源太郎氏と2人の孫が訪れ、遊ぶ声が聞こえてきた。それでも伸子さんは私の話し相手をしてくれていたが、いったん部屋を離れて戻ってくると、問わず語りにこう話し始めた。 「じつは、菅は要介護3で認知症が始まって……。2025年の7月1日には足のくるぶしを骨折して、入院していたの」 要介護3とは、日常生活において全面的な介護が必要になり、認知機能の低下などの症状も多く見られる状態を指すという。私は「やっぱり噂は本当だったのか」と驚いたが、レーガン元米大統領、サッチャー元英首相、シラク元仏大統領も認知症になり、晩年を過ごしたことを伸子さんに伝えた。 伸子さんは、「シラクさんもですか?」と聞き返した。私は、シラク氏が2019年に亡くなった際、そのご息女にメールを送ったことがある。「父が愛した国からお手紙が来て、当人も喜んでいるでしょう」と返信が来た。世界のリーダーも、最後は一人の人間として記憶や役割を少しずつ手放していくのだろう。伸子さんが続ける。 「今までは政治の手伝いだったけど、これからは介護をしていかなくちゃね。でも、今年は東日本大震災から15年だから、取材依頼がいくつも来ているの。ただ、菅はもう何も覚えてないから、それが困っちゃって……」 すでに、外は暗くなり始めていた。首相として、また最大野党の党首として、常にファイターだった菅氏。今ようやく、家族と過ごす穏やかな日々を送ることができているようだ。 「いずれ公表しようと思っていたことです。好きに書いてください」 後日、私がお礼と記事執筆の許諾をもらうため連絡を入れると、伸子さんはこう答えた。その声は、電話越しでも力強かった。…