1: 煮卵 ★ ltf+VPcm9 2025-10-18 09:09:39 「資本主義が格差を拡大させる」――。こうした批判は後を絶たないが、そもそも「資本主義」とは何かを明確に定義できるだろうか。作家の橘玲氏は、多くの議論、特にリベラル派による批判は、マルクスが見た19世紀の「産業資本制」のイメージに囚われた時代錯誤なものだと断じる。 現代の格差の本質は国内の「階級」ではなく、生まれた国で人生が左右される「場所」にあると語る同氏に、複雑な現代を生き抜くための思考法とサバイバル術を伺った。全3回の第3回。みんかぶプレミアム特集「資本主義は人を幸せにできるのか」第7回。 ◼メディアが報じる「絶望の若者像」と現実の“幸福なZ世代” メディアは連日、「格差社会ニッポン」の惨状を伝えます。若者は貧困化し、将来に希望が持てない――。しかし、これもまた一面的な「物語」に過ぎないのかもしれません。 最近、『Z家族データが示す「若者と親」の近すぎる関係』という本の中で興味深い調査を知りました。博報堂生活総合研究所が日本のZ世代(現在の20代)の若者と、親世代(現在の50代)が若者だった30年前を比較しているのですが、「生活に十分満足している」と答えた割合が30年前の9.4%から30%へと3倍以上増加しているというのです。それだけでなく、「非常に幸せ」と感じている割合は19.7%から33.5%へ、毎日の生活が「非常に楽しい」という割合も、12.2%から29.5%へと2倍以上に増えています。 「一応満足」「まあ幸せ」「まあ楽しい」を加えると、生活に満足している若者は80.5%。幸せな若者は84.2%、生活を楽しんでいる若者は82.2%にのぼります。「いまの若者は経済成長の時代を知らなくてかわいそう」という常識に対して、著者たちは、「Z世代は「かわいそう」どころか「とても幸せ」であり、「とても楽しい」日々を「とても満足」して過ごしている」と書いています。 もし若者たちが、これまでのどの時代よりも幸せだとしたら、「日本の社会はうまくいっていない」という前提そのものが揺らぎます。もちろんこの調査でも、「生活にきわめて不満」(3.5%)、「非常に不幸せ」(1.0%)、「生活が非常に楽しくない」(1.3%)という若者がいますから、すべての人が幸福に暮らしているわけではありません。 ◼“悪いニュース”でカネを稼ぐオールドメディアのカラクリ しかし、メディアはそうした一部の不幸な事例ばかりを拾い集め、「ほら、こんなにひどい目に遭っている人がいる。だから日本社会はダメなんだ」という物語を構成しがちです。なぜなら、そのほうが注目を集めやすいからです。「若者の生活満足度、過去最高を更新!」などというニュースが新聞の一面を飾ることはありません。 これは、社会の全体像を冷静に見る視点が欠けているからです。スティーブン・ピンカーが指摘するように、マクロなデータを見れば、社会は私たちが思っているよりもずっと良い方向に進んでいる。「世の中はどんどん悪くなっている」という決めつけから入る善悪二元論のネガティブな文法に、私たちはあまりにも慣れすぎてしまったのではないでしょうか。 ◼なぜ私たちはタワマンや高級車を欲しがってしまうのか 若者の貧困化の象徴として、「車が買えない」「家が買えない」といった話がよく取り上げられます。しかし、私自身、家も車も持っていませんが、何の不便も感じていません。「家や車を所有していないと幸せになれない」という価値観が、そもそもおかしいのです。 続きは↓ [MINKABU] 2025/10/17(金) 19:10…