
アルゴリズムに閉じ込められたまま落ちるリテラシー··· 政治まで「陰謀論」に惑わされる(ソウル新聞・朝鮮語) 見たいものだけ見て、信じたいものだけ信じる。 「アルゴリズム」が占領した時代の人間の断想だ。 同じ信念を共有する人だけがいる「反響室」に閉じ込められ、そこで通用する情報だけが真実だという確信に捕らわれる。 他の考えや意見は全て「偽物」と片付ける。 宗教に近い強力な信頼を背に、正体不明の陰謀論が横行する。 昨年、ユン・ソンニョル前大統領の非常戒厳宣言後、韓国社会は極端に分かれ、接点のない葛藤を繰り返した。 対話と妥協の代わりに敵対とテロが蔓延したこの時期は、韓国史に拭えない傷になるものとみえる。 韓国の根深い政治·社会構造を越え、問題の原因を根本的な「リテラシー」(リテラシー)次元で指摘しなければならないと専門家たちは口をそろえる。 これは特にユーチューブをはじめとするアルゴリズム基盤プラットフォームの影響が大きくなる時代にさらに重要だというのが彼らの診断だ。 リテラシーは文を読んで理解する能力をいう。 それを「受け入れる」力量を説明することにとどまらない。 受け入れた情報を批判的に読解し、再構成することまで含めた概念だ。 (中略) 昨年末、経済協力開発機構(OECD)で発表した「2023国際成人力量評価(PIAAC)」報告書には韓国人が受け入れるには多少衝撃的な内容が含まれた。 報告書によると、韓国成人のリテラシー点数は500点満点で249点だ。 31の参加国のうち22位にとどまり、OECD平均260点にも及ばなかった。 年齢別では16~24歳のリテラシーは276点でOECD平均(271点)よりむしろ高く、25~34歳も272点でOECD平均と同じだった。 中高年層になるほど格差が大きかったが、韓国の55〜65歳の成人の平均リテラシーは217点でOECD平均(241点)よりなんと24点も低かった。 さらに大きな問題は、韓国の成人の読解力がますます落ちていることだ。 1次調査(2013~16年)より24点も下がった。 韓国と共に同期間、成人の読解力が20点以上落ちた国はスロバキア(20点)、ニュージーランド(21点)、リトアニア(29点)、ポーランド(31点)ぐらいだ。 (中略) 「エコチェンバー」現象はアルゴリズム時代の代表的な影だ。 反響室の中で個人は既存に持っていた信念が繰り返され、むしろ増幅されることを経験する。 その中で接する情報が事実でない可能性を見ずに批判なしに受け入れた後、再び広める。 根拠のない陰謀論が力を得る背景には、このような構造が隠れている。 (引用ここまで) 韓国人の読解力が10年前よりも大きく下落したことは何度かお伝えしています。 OECDが行った「読解力」、「数的思考力」、「状況の変化に応じた問題解決能力」を計るためのテスト、PIAACで韓国人はどれもOECD平均以下。 それぞれのテストで31カ国・地域中22位、23位、24位でした。 中でも読解力の低さにかなりのショックを受けたようです。 PIAACでは問題のレベルを1〜5に分けて、それぞれのレベルにどれだけの到達者がいるかを計測しています。 たとえば数的思考ではレベル1が簡単な四則計算。 レベル3は複数のデータソースの使用、統合、操作を必要とする数学的分析が可能。 レベル5では数学的情報を分析、評価、推論して批判的に考察が可能、といったところ。 レベル1は小学校低学年、2は高学年〜中学生、3は中学3年〜高校レベル、4は数Ⅲ〜大学生レベル、5は大学生〜院レベルかな。 4以上で「人に教える職業に就ける」ってイメージをしてもらえれば、そう遠くないかなと思います。 韓国の場合、読解力でレベル1以下が31%。レベル2が37%。レベル3で27%、レベル4以上は6%でした。 OECD平均と比較するとこんな感じ。 ●読解力 Lv1未満 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4以上 韓国 9% 22% 37% 27% 6% 平均 9% 17% 31% 31% 12% え、日本ですか? ……日本出すの? いや、いいけど。 Lv1未満 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4以上 日本 4% 7% 24% 42% 23% 日本は平均点で31カ国・地域中2位。レベル4以上の多さでも2位。 数的思考力でも2位、2位。状況の変化に応じた問題解決能力で1位(同率)、2位。 すべてのテストでレベル1以下がもっとも少ない国との結果でした。 さて、冒頭記事は「こんな読解力だからエコーチェンバーに陥って、大統領まで陰謀論にはまるのだ」といった批判的なものなのですが。 まあ、言っていることはもっともなので放置でよいと思うのですが。 個人的にこの図に大受けしました。 グラフの上、灰色が前回の2013年から行われたテスト結果。 黄色が2023年のテスト結果。 上からスウェーデン、ニュージーランド、アメリカ、スロバキア、韓国、スペイン、イタリア、リトアニア、ポーランド。 1位のスウェーデン以外は「第1回から成績が下落した国」をピックアップしているのですが。 ここでも2位の日本を無視。 PIAAC関連の記事で日本が出てきたことないんですよね。 なんか各社で報道協定でも敷いているのかってくらいに「2位、2位、1位の日本」が出てこない。なんなら日本が同率1位になっている問題解決能力に言及しないまである。 まあ、そうした現実を見たくはないのでしょうね。 彼らの中では「永遠のライバル」らしいですから(平均で20位差)。 note.comで楽韓noteマガジンを発刊しました。月に6〜800円くらいになる有料記事が全部読めて月額500円。だいぶお得になってます。 中味は長編記事。最新の記事は「 迷走をはじめた韓国のウェブトゥーン、果たしてどこへと向かうのか……自社IPを捨ててまで得たものとは? 」となっています。 Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex…