
基礎年金の「低所得者優遇」、10年後には高齢者の貧困率が逆に悪化(ソウル新聞・朝鮮語) 経済的に苦しい高齢者に基礎年金を上乗せする政府の「下厚上薄」改編案が、長期的には高齢者貧困率をむしろ高めることができるという分析が出た。 導入初期には少ない予算で低所得高齢者をさらに支援する効果があるが、所得上位区間の年金額を引き続き縛っておくと、物価上昇でお金の実質価値が下がり、減額対象も増え、受給者10人中4人(37.1%)は現行より年金を少なく受け取ることになるということだ。 (中略) 政府の改編案は65歳以上の老人の所得下位70%に基礎年金を与える既存の枠組みを維持するものの、所得・財産により対象者を3区間に分けて差等支給する方式だ。 月基準年金額は所得下位30%以下38万ウォン、30〜45% 35万9000ウォン、45〜70% 35万ウォンだ。 現在、単独世帯基準の年金額が月35万ウォン水準であるため、所得下位30%(348万人)は3万ウォンをさらに受け取り、30〜45%(174万人)は物価上昇分の9000ウォンをさらに受け取る。 一方、45〜70%区間(290万人)は年金額が35万ウォンに抑えられ、物価上昇率を反映した時より1人当り月9000ウォン程度少なく受け取ることになる。 チュ研究員は下位45%の年金額は毎年物価に合わせて上がり、45~70%区間は2035年まで凍結されると仮定して長期効果を分析した。 導入初期には貧困率が改善された。 「下厚上薄」改編案を2024年資料に適用すれば老人貧困率は35.41%で、現行制度(35.87%)を維持する時より0.46%ポイント低くなった。 しかし、10年後の2035年には、結果が正反対だった。 改編案を適用した老人貧困率は38.89%で、現行制度を維持する時(38.52%)より0.37%ポイント高かった。 基礎年金に生計給与の支出変化まで反映した政府純財政は、現行30兆6200億ウォン、改編案30兆5800億ウォンとほぼ同じだった。 事実上、同じ予算を使っても貧困線以下に落ちる老人がさらに増えるわけだ。 極貧層老人の所得が貧困線に至らない程度を意味する「貧困ギャップ」だけで12.98から12.74に小幅減った。 逆転が起きる主な原因は、上位区間の凍結にともなう貨幣価値の下落だ。 10年間物価は上がるが、45〜70%区間の支給額を35万ウォンにまとめておけば、実質給与価値は19.6%下がる。 このため、2035年基礎年金受給者の37.1%は現行制度を維持する時より年金を少なく受け取ることになり、1人当り月平均4万6000ウォンを損することになる。 (引用ここまで) 韓国の老人貧困問題。 イ・ジェミョン政権もなんとかしようとして、高齢者層のさらに下のほうに対しては基礎年金を厚くしようとしているのですが。 その甲斐もなく、このままの方針では高齢者の相対的貧困率はなお上昇するのではないか、との指摘のニュース。 OECD統計による高齢者層の相対的貧困率が上のグラフ。ChatGPTに頼んで描画してもらいました。 韓国が堂々のトップ。 それをエストニア、ラトビアが追い、さらにニュージーランドが追いすがるといったところ。 エストニア、ラトビアは旧ソ連時代にどうしようもない状況だったのでしかたない部分もあるかなー。 ニュージーランドの数字は「可処分所得が現役の半分」にあたる相対的貧困率ラインあたりが年金給付額なので、年度によって数字が極端によくなったり悪くなったりしてます。 韓国の特徴は「高齢者になればなるほど貧困率が上昇してしまう」ことで、これは前にも書きましたが国民皆年金制度が導入されたのが1999年であるため、現在の高齢者は加入期間が短いのも原因のひとつ。 また、根本的に小負担小福祉の国なので、年金の規模自体が小さいのも原因ですね。 ちなみに前回、韓国の年金問題を取り扱った時に「国民年金なら日本も月額6万円だ」「日本の国民年金のことをもっと調べてから書け」とか言ってきた人がいるんですが。 韓国では厚生年金も国民年金もすべて「国民年金」の一階建て。 なので、日本でいうところの元サラリーマンでも「国民年金需給者」なのです。 いまの料率は9.5%、会社員は企業負担で半分。2033年までに13%に引き上げる予定。 1970年代とかはまだ世界最貧国で「福祉? なんの冗談だ」くらいの意識だった。 なんなら孤児を海外に売り払うことで福祉予算を圧縮してきた国です。 そこから21世紀にかけて収入が一気に増えてもまだ意識的には最貧国の気分で制度設計されたもので、現状に即していないのですね。 で、現状はこうなっているわけです。 「地下鉄はタダだから来る」……午後2時、高齢者たちが向かう「社会の闇」(中央日報・朝鮮語) いわゆる「バッカスおばさん」のレポート。 ……バッカスおばさんを知っている人は読まなくてもいいですが、知らない人は「韓国ってこういった部分もあるんだ」と唖然とするかもしれませんね。 楽韓WebでもBBCでもピックアップしています。 この12年前のレポートに出てきたのも「鍾路3街駅」。 上の記事でも同じく「鍾路3街駅」。12年前と状況は変わっていないってことです。 note.comで楽韓noteを開設しています。 中味は楽韓Webを濃厚に仕立てた長編記事。最新の記事は「 韓国の若者が大企業への就職を諦めない理由 ── 賃金格差が社会から奪うもの 」となっています。 また、楽韓noteメンバーシップを開いています。月に6〜800円くらいになる有料記事が全部読めて月額500円。だいぶお得になってます。 マガジンから移行していただけるようお願いします。 Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex…