
転載元: 征夷大将軍 ★ 2025/11/06(木) 21:29:46.15 ID:/MPR8DRi9 AERA11/06/ 18:00 FA市場で複数球団が動向を注視していた山岡泰輔(オリックス)、高梨裕稔(ヤクルト)が、相次いでFA権を行使せず残留を発表した。共に人的補償、金銭補償が必要のないCランクとみられ、先発陣の層が薄い球団にとっては魅力的な投手だった。 「近年はFA移籍のリスクを考える選手たちが多い。好条件で移籍しても結果が出なければ切られてしまう。引退後の生活を考えると、残留したほうが良いと判断する。山岡、高梨については現在の環境で活躍したい思いが強かったのでしょう」(スポーツ紙デスク) 今年新たに国内FA権を取得した選手は18人で、中でも近本光司(阪神)、柳裕也(中日)、松本剛(日本ハム)、辰己涼介(楽天)らの去就が注目されている。ただ、近年、FA権を行使して国内他球団に移籍した選手は、毎年数人に過ぎない。2020年が2人、21年が1人、22年が4人、23年が3人、昨年が5人だった。FA権取得済みの選手を含めるとFAの有資格選手は100人以上にのぼる中でこの人数をどう捉えるか。 FA権を行使せずに残留した在京球団の選手は「マーケットの大きさが違いますが、米国に比べたら少ないと思いますよ。日本はFA移籍に良いイメージがない。不良債権になるとSNS上で叩かれるし、元の球団のファンからは『裏切り者』と何年も言われ続け、家族にも迷惑が掛かる。移籍して新たな環境で挑戦するメリットより、心身にかかるストレスなどデメリットの方を考えてしまいますね」と漏らしていた。 ■メジャーでは登録日数で自動的にFA 米国はFAした選手の移籍が活発だ。これは日米の制度の違いが大きく影響している。日本ではFA権を獲得しても、行使しない選手が多い。だが、米国には「FA権を行使する」という概念がそもそもない。アクティブ・ロースター(公式戦に出場できる登録枠)の日数が172日以上で6シーズンに達した選手は自動的にFAとなり、全球団と契約することが可能になる。元所属の球団はFAとなった選手に独占的にクオリファイング・オファー(QO)と呼ばれる「年俸上位125選手の平均」に基づいた金額での1年契約をオファーできるが、選手は好条件を求めて拒否するケースが大半だ。選手がQOを拒んで他球団に移籍した場合は、元所属の球団は移籍先の球団よりドラフト上位での指名権を得ることができる。 「メジャーの各球団はQOを選手から拒否されるのは織り込み済みで、ドラフトで上位の指名権を得ることを狙うケースもあります。選手は代理人と組んで良い条件を提示した球団を選ぶことが自然です。元所属球団のファンがブーイングを浴びせることもありますが主力選手の移籍は日常茶飯事なのでそこまで抵抗感はない。その点は日本と大きな違いですね」(米国に駐在する通信員) ■「人的補償という呼び名を変えてほしい」 日本のFA制度には「補償」があることも大きな特徴だ。球団内の日本人登録選手の中で年俸が10位以内(1~3位はAランク、4~10位はBランク)の選手がFAで移籍する場合は、移籍先の球団に人的補償と金銭補償が発生する。セ・リーグ球団の元編成担当が複雑な表情を浮かべる。 「戦力の均衡化が目的であることは理解できますがFA補強に消極的な球団が多いのは、この制度が一因だと思います。FAで欲しい選手がいても、プロテクト(人的補償の対象にならないよう保護)できる選手は28人なので、実績あるベテランや若手の有望株がどうしてもこの枠から漏れてしまう。FAで獲得した選手より人的補償で放出した選手が他球団で活躍したら球団のイメージが良くない。米国のFA制度を参考にドラフト2位以下のウエーバーで上位の指名権を得られる方式にするのも一案かなと感じます」 過去のFA移籍で人的補償が波紋を呼んだケースがあった。18年オフに巨人がFA補強を敢行した際、丸佳浩の人的補償で長野久義が広島へ、炭谷銀仁朗の人的補償で内海哲也が西武に移籍。長野、内海はともに投打でチームを支えてきた功労者だっただけに、プロテクトされずに電撃移籍したことにショックを受けるファンが少なくなかった。巨人はその以前にも、FA移籍で獲得してチームで活躍した江藤智、工藤公康が、FAの人的補償として他球団へ移籍している。 田中正義(日本ハム)、酒居知史(楽天)、一岡竜司(元広島)、福地寿樹(元西武)など、人的補償で新天地に移籍して活躍した選手はいるが、決して多くはない。人的補償で他球団に移籍した経験がある球界OBは、「活躍できなかったのは自分の責任なのでなにも言い訳できませんが、人的補償という呼び名を変えてほしいですね。ネガティブなイメージで『かわいそうに』と同情されたので」と漏らしていたことがあった。 日本で大物選手のFA移籍が減ったのは、メジャーに挑戦する選手が増えたことも大きな要因だ。 ※以下出典先で…