
1: 名無しダイエット 2025/05/12(月) 10:11:46.87 ID:3Nbv9QgS9 多くのスポーツで、「身体を大きくすること」でパワーを得られる。トレーニングも奨励されている。メジャーリーグに渡った日本人選手の身体が大きくなると、確かにパワー満点だ。 しかしサッカーで、「身体を大きくする」は本当に正義か? 自らの肉体を機敏に動かし、90分間、戦い続けるための体力や筋力は不可欠だろう。コンタクトスポーツが基本だけに、体幹を鍛えることによってバランスを保つ、最低限の筋力も欠かせない。他にもハムストリングは走力のパワーを引き起こすエンジンのようなもので、やはり鍛えるべきだ。 しかし、少なくとも上半身がムキムキになる必要などないだろう。むしろ、それは重りを背負うことになる。動きの切れを奪い、疲れやすい身体になってしまう。 何より、筋力に頼るようなプレーになってしまい、技術まで落ちるのだ。 例えば、レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)のスペイン代表セルヒオ・ゴメスは、バルサユース時代は力みのないテクニカルなプレーヤーだった。状況判断に優れ、相手の態勢を捉えてループシュートをしたり、ノールックでラストパスを出したり、アイデアも豊富。何より、一つひとつのプレーが丁寧だった。ボールを扱うことに真摯だったというのか。 今のセルヒオ・ゴメスは、上半身から筋肉が盛り上がっている。それはコンタクトで勝つためもあっただろう。全体の筋肉量も増え、プレースキックでボールに欠けられる回転などは有数のレベルだ。 しかし、近年は力任せなプレーをする印象が強くなった。それに比例し、プレー中のキックは雑。特にラストパスでバウンドさせたり、わずかに角度がずれたり、判断・選択も以前より凡庸になってしまった。動きそのものも、つき過ぎた筋肉が邪魔をしているのか、俊敏さが落ちた。キレを失ってしまったことで相手に捕まえられると、それをパワーで跳ねのけようとする。結果、プレー判断は遅くなり、迷いも出て、悪循環だ。 サッカー界では、パワーが求められるポジションの選手(例えばストライカーやセンターバック)は別にして、筋力アップは必ずしもプレー向上に結びつかない。むしろ、劣化にもつながる。フィジカルモンスターのように一時注目される選手は、そのパワーを売りにしている限り、遅かれ早かれ消える。 現在、世界最高と言えるMFはスペイン代表ペドリだが、彼はフィジカルプレーヤーとは対極にある。ボール、味方、敵、スペースを見渡し、タイミングをつかみ取り、逆を取る。それこそ、サッカーの本質である。 フィジカルで解決できることなど、トップレベルでは限られているのだ。 文●小宮良之…