1: 名無しの旅人 2025/08/10(日) 11:45:28.93 ID:XGdpHwba9 「今年のお盆は帰省するの?」 夏が近づくと、こんな会話がぽつぽつと聞こえてきます。 一見軽やかに交わされる問いですが、その一言に、ふと立ち止まる人も少なくないのではないでしょうか。 帰りたい気持ちはあっても、仕事の都合や家計のやりくり、親の体調や移動手段の手配など、様々な要素が頭をよぎると、「さて、どうしようか」と思考が止まってしまう。 そんな経験をお持ちの方も多いかもしれません。 ■データで見る、帰省の現状 この10年ほどで、帰省の風景は少しずつ変化してきたように感じます。 昭和や平成のころのように「お盆=帰省」という一律の構図は薄れ、それぞれの事情や生活スタイルに応じて、帰るタイミングや、その行為の意味合いも多様化しているのではないでしょうか。 では実際に、どれくらいの人が帰省をしているのか、総務省「社会生活基本調査」のデータを見ていきましょう。 ただし、最新の2021年調査はコロナ禍の影響が色濃く出ているため、ここではその前回にあたる2016年のデータを参照していきます。 全国での帰省率は26.0%ですが、最も高い東京都では36.6%と全国平均を大きく上回ります。 一方、最も低い沖縄県では15.5%にとどまっています。そのほか、首都圏の神奈川県(32.4%)や千葉県(30.0%)といった高水準に比べて、青森県(15.6%)や福井県(16.0%)などでは低い傾向があります。 なお、コロナ禍の2021年でも、全体的に水準は下がるものの、帰省率は都市部で高く、地方部で低い傾向は同様です。 この違いは単なる地理的条件というよりも、人口構造の違いを映し出しているのでしょう。 東京都などの都市部には他地域から移り住んできた人が多く、そもそも帰る場所が別にある人が多い一方で、地元で生まれ育ち、そのまま住み続けている人が多い地域では、帰省という行動そのものが必要とされないケースも少なくありません。 さらに、帰省の頻度と費用の関係を見ると、また別の現実も浮かび上がります。 20代~60代の子育て世帯・単身世帯を対象にした調査によると、帰省にかかる交通費が片道5,000円未満の人では、年に5回以上帰省する割合が半数を超える一方で、費用が高くなるほど、その割合は大きく低下します。 移動時間についても同様で、長くなるほど、帰省の頻度は低下する傾向があります。 興味深いのは、帰省に感じるハードルも移動時間の長短によって異なる点です。移動時間が長くなるほど「お金の余裕がない」という声が増えます。飛行機や新幹線などを使う長距離移動は、時間だけでなく費用もかさむため、経済的な負担が重くのしかかるのでしょう。 一方で、移動時間が短くなるほど「時間の余裕がない」という声が増えます。費用や時間の面では比較的負担が軽いはずなのに、帰省のためのまとまった時間を取ることが難しいということなのかもしれません。この背景には、共働きや育児など、日常に追われる都市部のライフスタイルも影響しているのでしょう。 いずれにしても、帰省は「お金」と「時間」の両方の制約を受けており、それぞれの暮らしの状況に応じて調整されている様子がうかがえます。 (略) また、帰省の目的地にも変化の兆しが見られます。 最近では、家族で温泉地に集合したり、高齢の親を自宅のある都市部のホテルに招いたりする「家族旅行型帰省」とも言えるスタイルも目にするようになりました。 背景には、移動の負担を減らしたいという実用的な配慮に加え、特に子育て世帯では共働きが増えていることで日程調整が難しくなっていること、帰省と旅行を兼ねた柔軟な過ごし方を模索する動きがあるように感じられます。 さらに、親世代の価値観も変化しているのでしょう。 特に団塊世代以降のアクティブシニアには、消費や旅行を楽しんできた人が多く、子世代に「実家に来ること」を求めるよりも、「お互いにとって無理のない形で会うこと」を大切にする傾向があるように感じます。 実家ではなく、自宅と実家の中間点に集合して、観光を楽しみながら過ごす。そんな新しい形の帰省は、家族それぞれの生活やスタイルを尊重し合う、今の時代らしい風景なのかもしれません。 かつて帰省とは、「家に帰ること」でしたが、今は「家族に会うこと」や「時間をともにすること」へと、意味の重心が移ってきているように思えます。 続きは↓ [TBS]引用元:…