会社員でも、毎年春になると自分で所得税の申告書を作らなければならない国があります。アメリカです。一方、OECD(経済協力開発機構)の報告書によると、税務当局が手元のデータで申告書をあらかじめ埋めておく「記入済み申告」は、比較の対象になった税務当局の約9割が取り入れています。海外掲示板では「新しくも何ともない」と、各国の人が自分の国の仕組みを語り始めました。 ※注:アメリカでは会社員も、原則として毎年4月15日までに、自分で所得税の申告書を出すのが一般的です。給料から税金は天引きされていますが、日本の年末調整のように勤務先が1年分を精算してくれる仕組みはなく、勤務先から届く1年分の給与と源泉徴収額の書類(W-2)などをもとに、本人が計算します。米財務省の報告書によると、大半の人は市販の税務ソフトか、有料の申告代行を使っています。 今日の知ってた? 📋 記入済み申告とは、税務当局が勤務先などから集めたデータを使って、本人の申告書(またはオンラインの申告画面)をあらかじめ埋めておく仕組み。納税者は中身を確かめて提出する。 📊 OECDの報告書『Tax Administration 2025』(加盟国以外も含む58の国・地域の税務当局を比較)によると、個人の所得税で記入済み申告を行っている税務当局は、2023年時点で87.7%(約9割)。2018年の78.9%から増え、2021年以降は横ばいが続いている。元投稿の「OECD加盟国の90%」は、この数字のことと見られる。 🧾 同じ報告書によると、中国では、企業が付加価値税(増値税)の還付を申請するとき、申請データの85%超をシステムがあらかじめ入力している。 🏛️ アメリカの国税庁(IRS)は、記入済み申告を出していない。IRSが2024年に試験的に始めた無料の申告サービス「Direct File」も、2026年の申告シーズンには提供されなかった。 背景:記入済み申告とは OECDは報告書の中で、記入済み申告を「ここ20年で、申告書の手続きの設計に起きた大きな革新の一つ」と位置づけています。勤務先や年金の支払い元など、第三者から集めた情報を、税務当局が本人の申告書やオンラインのアカウントに入れておきます。納税者はそれを確かめて、電子か紙で提出します。 どこまで埋めてくれるかは、国によって違います。記入済み申告を行っている税務当局のうち、給与の額を入れているのは88%、年金は82%、利子は58%、配当は56%です(2023年)。寄付金や保険料、年金の掛け金といった控除まで入れる国もあります。さらに一部の国では、申告書をまるごと埋めて届け、納税者は同意するか、足りない情報を伝えるだけ、というところまで進んでいます。一定の期間がたつと、同意したものとみなす国もあります。 仕組みそのものは、意外と古くからあります。米国のシンクタンク、税政策センター(Tax Policy Center)によると、勤務先などの第三者の情報で申告書を埋め始めた最初の国は、1980年代後半のデンマークです。OECDの2013年の報告書では、2011年の時点で、チリ、デンマーク、フィンランド、マルタ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデンの7か国の税務当局が、申告の必要な人の大半について、ほぼ完成した申告書を作れるようになっていました。同じ報告書で、アメリカの記入済み申告の割合は0%でした。 たとえばスウェーデンでは、税務庁が記入済みの申告書を用意し、納税者は数字が正しいかを確かめます。直すところがなければ、ネットのサービスのほか、ショートメッセージや電話でも提出できます。間違いを見つけたら、まず情報を出した勤務先などに訂正を頼むよう、税務庁は案内しています。 もう少し詳しく アメリカで進まなかった理由。アメリカでも、1998年に成立した法律が、申告書を出さなくて済む仕組みを2008年までに作るようIRSに求めていました。しかし実現しなかった、と米議会調査局はまとめています。2002年には、税務ソフト会社などが、所得の低い人や中くらいの人に無料で申告サービスを提供する「Free File」が始まりました。米国の報道機関ProPublica(プロパブリカ)の2019年の報道によると、この取り決めには、IRSは無料の申告サービスで業界と「競争しない」という一文が入っていました。同じ報道は、申告ソフト「TurboTax(ターボタックス)」を販売するIntuit(インテュイット)が、政府による無料の申告や記入済み申告に約20年にわたって反対し、ロビー活動を続けてきたと伝えています。「競争しない」の一文は、2019年12月の改定で削られました。 Direct Fileの誕生と打ち切り。IRSは2024年、自分で入力してIRSに直接申告できる無料のサービス「Direct File」を、12州の住民向けに試験的に始めました。受理された申告は約14万800件。翌2025年は25州に広がり、約29万6,500件になりました。2025年には、IRSのオンラインアカウントから給与の書類(W-2)のデータなどを一部取り込めるようになりましたが、あくまで自分で入力していく仕組みで、記入済み申告とは別物です。使えるのも、比較的単純な申告の人に限られていました。 2025年10月、米財務省は議会への報告書で、Direct Fileによる申告は全体(約1億4,600万件)の0.5%未満にとどまり、費用は少なくとも4,100万ドルかかったとして、運用の停止を勧めました。11月、IRSは協力していた州に、2026年の申告シーズンにはDirect Fileを提供せず、今後の開始日も決まっていないと伝えています。財務長官のスコット・ベッセントは「もっと良い代わりの手段がある」と述べました。米経済誌Fortuneは、政治資金を調べる非営利団体OpenSecretsの集計をもとに、Intuitと大手申告代行会社H&R Blockの2025年のロビー活動費が、2社合わせて過去最高だったと報じています。 中国の「85%」は企業向けの話。元投稿にある中国の数字は、個人の所得税ではなく、企業の付加価値税の還付申請についてのものです。OECDの報告書によると、中国の国家税務総局は、全国およそ1,500万の事業者(付加価値税の一般納税者)の中から還付を受けられる企業を見つけ出して申請を促し、申請データの85%超をシステムで埋めています。 日本はどうなっている?日本の会社員の多くは、そもそも確定申告をしていません。勤務先が毎月の給料から所得税を天引きし、年末の「年末調整」で、1年間に天引きした額と本来納めるべき額とのずれを精算するからです。国税庁も「大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了します」と説明しています。ただし、給与の収入が年2,000万円を超える人や、給与以外の所得が20万円を超える人などは、確定申告が必要です。米議会調査局のまとめでも、2020年の時点で申告書を出さずに済む仕組みを持っていた少なくとも36か国の例として、イギリスやドイツ、デンマーク、スウェーデンと並んで日本が挙げられています。 確定申告をする場合も、自動で埋める仕組みが広がっています。マイナンバーカードを使ってe-Taxで申告するときは、「マイナポータル連携」で、生命保険料や地震保険料、住宅ローン控除、医療費、ふるさと納税などのデータをまとめて取り込み、申告書に自動で入力できます。勤務先が源泉徴収票を税務署に電子で提出していれば、給与の源泉徴収票も対象です。国税庁によると、2024年分の確定申告では310万人がこの連携を使いました。国税庁は2023年に公表した「税務行政の将来像2023」で、数回のクリックやタップで申告が終わる「日本版記入済み申告書」(書かない確定申告)の実現を目指すとしています。 海外の反応 1. 海外の名無しさん 申告の季節なんて、本当はいらないんだよ。自分でやりたい人だけが申し込む方式にして、ふつうの人には、税金が足りなければ請求書、払いすぎていれば小切手が届くだけでいい。こんな当たり前の結論にたどり着くのに、100年近くかかっているのが信じられない。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 「やり方はとっくに分かってる。ロビー活動が邪魔してるだけ」って言いたくなるけど、結局そこなんだよな。申告書を自動で作るという簡単なほうは、ほかの国がもうやってる。難しいのは、それで稼いでいる業界に口を出させないことのほうだ。 3. 海外の名無しさん 「新しい革新」って何だよ。うちの国じゃ80年代か90年代から、とっくに当たり前になってる仕組みだぞ。 4. 海外の名無しさん(>>3への返信) OECDの報告書を見たら、「ここ20年で申告書の手続きに起きた大きな革新の一つ」って書き方だった。スレタイの「新しい」は、たぶんそこから来てる。でも20年も続いていたら、もう新しくはないよな。 5. 海外の名無しさん(>>3への返信) スウェーデンなんて何十年も前からこれだよ。子どもの頃も、親は届いた申告書を眺めて「よし、合ってる」で終わらせていた記憶しかない。 6. 海外の名無しさん(>>5への返信) 今のスウェーデンは、中身を見てボタンを2回押せば終わり。直すところがなければ、ショートメッセージでも出せる。税金のことを考えるのは、年に5分くらいだ。 7. 海外の名無しさん デンマーク人だけど、自分で足すのは控除関係くらい。自動で入らない項目が少しあるのと、年間を通して正しく天引きしてもらうために、見込みの年収を入れておく必要があるくらいかな。ずれは年に1回、還付か追加の支払いで精算されて、その通知も自動で届く。 8. 海外の名無しさん オーストラリアでは、税務当局(ATO)のサイトにログインして、中身が合っているかざっと確かめるだけ。申告はだいたい5分で終わる。 9. 海外の名無しさん(>>8への返信) 補足すると、投資も控除もないふつうの会社員なら、必要なものは最初から全部入っていて、確認したらそのまま送信できる。もっと複雑な人でも骨組みはできているから、残りの空欄を埋めるだけだ。 10. 海外の名無しさん イギリスには「PAYE」という仕組みがあって、会社員は税の書類を何も書かなくていい。自分は人生で一度も申告書を出したことがない。税額は税務当局(HMRC)と勤務先のあいだで決まって、給料のたびに天引きされる。状況が変わっても、たいていは自動で直る。気になったときに、ネットで確認するくらいだ。 11. 海外の名無しさん(>>10への返信) 同じくイギリス。税務署とやり取りしたのは30年以上前、派遣の仕事から最初の正社員になったときの1回だけ。あとは、人員整理で会社を辞めて手当をもらった1年後に、払いすぎた税金が勝手に戻ってきたくらいだな。 12. 海外の名無しさん フルタイムで働いて、もう27年になる。そのあいだ、申告書を書いたことは一度もない。毎年自動で済んでいて、ときどき「取りすぎていたので返します」と連絡まで来る。ありがとう、ニュージーランド。 13. 海外の名無しさん(>>12への返信) ニュージーランドでは、所得税は給料のたびに天引きされて、年度末に自動で計算される。払いすぎなら自動で返金、足りなければ通知が来る。配当をもらった人など、申告が必要になる場合もいくつかあるけど、大半の人には縁がない。 14. 海外の名無しさん 4つの国で税金を納めてきたけど、申告の楽さではアメリカがダントツで最悪だった。イギリスは何もしなくてよかった。オランダは申告が必要だけど、全部記入済み。ベルギーは電話で伝えたら、向こうが代わりに提出してくれた。アメリカは……健闘を祈る。 15. 海外の名無しさん アイルランドでも、自営業ではなく会社員なら、ほぼ100%自動。毎年1月に前の年の分を見て、受けられる控除を申請し忘れていないか確かめるだけ。10分で終わるし、そもそもやらない人も多い。 16. 海外の名無しさん 「新しい革新」って言うけど、まだ発展途上国と言われるマレーシアでも、何十年も前からあるぞ。会社員なら税金は毎月の給料から引かれていて、自分でやるのは、控除のためのレシートを取っておくくらいだ。 17. 海外の名無しさん アメリカでこれができないのは、H&R BlockやTurboTaxのような申告サービスの会社が、税金をややこしく、面倒で、分かりにくいままにしておくよう政府に働きかけているからだ。そうすれば、みんな有料のサービスを使うしかない。自分でやって間違えたら、ペナルティを食らうかもしれないからな。 ※注:TurboTax(ターボタックス)は米Intuit(インテュイット)社の申告ソフト、H&R Blockは米国の大手申告代行会社です。 18. 海外の名無しさん(>>17への返信) IRSだって、申告を楽にしようとしてきたんだよ。2024年には、自前の無料サービス「Direct File」まで作った。でも業界の反対もあって、2026年の申告シーズンには使えなくなった。結局、申告は相変わらず面倒なままだ。 19. 海外の名無しさん(>>18への返信) Direct Fileがなくなった年に、IntuitとH&R Blockのロビー活動費が過去最高になった、という記事まで出てる。分かりやすすぎるだろ。 20. 海外の名無しさん 前に一度、申告書の書き方を間違えたら、IRSから手紙が来た。「44B行に1,400ドルと書いてありますが、こちらの記録では4,100ドルです」。いや、全部知ってるなら、なんで最初からこっちに聞くんだよ。 21. 海外の名無しさん(>>20への返信) まさにそれ。IRSはどうせ数字を持ってる。一部の自営業の人を除けば、申告なんて、IRSがすでに持っている数字で計算するだけの作業だ。こっちはデータが合っているかを確かめるだけで済むはずなんだよ。 22. 海外の名無しさん ほとんどの人は10秒で終わるはずなんだ。はがきが届いて、中身に同意なら何もしない。期限の日に、そのまま受理される。同意できなければ、今まで通り自分で申告すればいい。 23. 海外の名無しさん(>>22への返信) 記入済みのはがきが来ない理由は、もう1つあると思う。税務当局から「あなたの納税額はこれです」と言われたら、抜け道を使って少なめに申告して、調べられないほうに賭ける、という手が使えなくなるからね。 24. 海外の名無しさん 中国の知り合いには、手取りの額しか気にしていなくて、自分が所得税を払っていることを知らなかった人までいたよ。それくらい、本人は何もしなくていいってこと。中国がすごいと言いたいんじゃない。こっちがひどいって話だ。 25. 海外の名無しさん 「アメリカ、いまだに1989年のつもりでいる」シリーズの最新回だな。ほかの国の人の話を読んでいると、毎年春に何時間も書類と格闘しているのが、本当にばかばかしくなってくる。 まとめ 税務当局が申告書を先に埋めておく「記入済み申告」は、OECDの比較で約9割の税務当局が取り入れている仕組みです。アメリカでは、IRSの無料の申告サービスさえ2026年は提供されませんでした。コメント欄では各国の人が「5分で終わる」「一度も申告書を書いたことがない」と自国の仕組みを語り、アメリカの人たちは業界のロビー活動に怒っていました。年末調整で済む日本の会社員の多くは、知らないうちに「楽な側」にいるのかもしれません。 元ソース: 「記入済み」の税務申告は、OECD加盟国の90%が使っている税の世界の新しい革新。政府の担当者が、集めたデータをもとに申告書をあらかじめ埋めておく。中国では、付加価値税の還付申請の情報の85%が記入済み。アメリカの国税庁(IRS)は記入済み申告を提供していない The post 「27年フルタイムで働いて、申告書を一度も書いたことがない」国もあるのに、アメリカでは会社員も毎年自力で税務申告…日本の年末調整との違いとは? appeared first on みんな知ってた?【海外の反応】.…