ホメオパシー、オステオパシー、鍼灸——ドイツでこうした代替医療を仕事にするには、医師でない限り国の試験に受からなければならない。ところがその試験、ホメオパシーの理論も鍼のツボも一問も出ない。問われるのは医学の基礎知識と、「自分が手を出してはいけない範囲はどこまでか」という線引きだけである。国が測っているのは腕前ではなく、この人が患者を危険にさらさないかどうかなのだ。 今日の知ってた? 🩺 ドイツでホメオパシー・オステオパシー・鍼灸といった代替医療を仕事として行うには、医師免許を持たない人はハイルプラクティカー(Heilpraktiker)という国の資格を取る必要がある。ところがこの試験で問われるのは医学の知識と、その職業に法律上許された範囲の線引きだけ。ホメオパシーならホメオパシー、鍼なら鍼というように、施術ごとの専門試験は存在しない。 背景:ハイルプラクティカーという制度 ハイルプラクティカーは、直訳すれば「治療を行う人」。ドイツでは人の病気を診て手当てをする行為が原則として医師に限られており、医師免許を持たない人がそれを仕事にするための、もう一つの入り口がこの資格にあたる。 紛らわしいのは、これが「腕前の証明書」ではないという点だ。ホメオパシーの理論に精通していることも、鍼の技術が一定の水準にあることも、この資格は保証していない。国が出しているのはあくまで「医師ではない人が治療行為をしてよい」という許可であって、その中身の是非には踏み込んでいないのである。 だから試験の中身を聞くと、少し拍子抜けする。解剖や薬にまつわる医学の基礎と、この職業に関わる法律の知識。要するに、目の前の患者が自分の手に負えない状態かどうかを見分けられるか、そして見分けたときにきちんと医療機関へつなげるか、である。施術そのものの良し悪しを審査する枠は、最初から用意されていない。 もう少し詳しく 試験の狙いは、施術にお墨付きを与えることではない。元のスレッドで多くの人が指摘していたのは、この一点だった。国が確かめたいのは「この療法は効くか」ではなく、「この人は取り返しのつかない見落としをしないか」である。手遅れになる前に医療機関へ回せるか、法律上やってはいけないことを把握しているか。試験がそこだけを見ているのなら、ホメオパシーと鍼で試験を分ける理由はどこにもない。危険の形が同じだからだ。 医師には、この資格は要らない。スレッドでは、ドイツの医師は医師免許さえあれば代替医療も行えるので、ハイルプラクティカーの資格を別に取る必要はない、と説明されていた。実際、数は多くないもののオステオパシーや鍼を専門にしている医師もいるという。つまり患者から見ると、同じ施術を受けていても、相手が医師なのかハイルプラクティカーなのかで背景にある資格はまったく違う。ここは肩書きだけでは見分けがつかない。 代替医療そのものへの評価は、ドイツ国内でも割れている。ホメオパシーは18世紀末のドイツで生まれ、近代医学が形になるより前から根を張ってきた。薬局の棚に並び、一部の保険が費用を負担してきた時期もある。一方でその有効性には科学の側から強い批判が続いており、公的保険の対象から外していく動きも出ていると、コメント欄では語られていた。制度が「効くかどうか」に触れないまま今日まで来たぶん、その議論は制度の外側でずっと続いている。 「オステオパシー」は、国によって指すものが違う。今回の話でいちばん誤解を招きやすいのがここだ。アメリカでいうオステオパシー医(D.O.)は医学部に相当する課程を修めた正規の医師で、薬の処方も手術も行う。骨や筋肉への手技も学ぶが、それを主な手立てにしている人はほとんどいない——とアメリカからのコメントが繰り返し補足していた。同じ言葉が国境をまたぐと別の職業を指してしまうので、ドイツの話をそのままアメリカに当てはめると話が食い違う。 補足:日本ではどうなっているのか 日本にも似た線引きはある。はり師・きゅう師、あん摩マッサージ指圧師は国家資格として定められていて、養成課程を経て試験を受ける必要がある。一方で、いわゆる整体やリラクゼーションと呼ばれる分野には、これに対応する国家資格が置かれていない。名称や施術の内容によって扱いが変わるため、線引きは思っているより細かい。 ドイツの制度が独特なのは、この「国家資格が置かれていない領域」をまるごと一つの許可制にまとめてしまったところだろう。個々の施術を認めたのではなく、「誰が治療行為に手を出してよいか」という一段上の関門を置いた。効くかどうかの判断は国が引き受けず、危ないことをしないかどうかだけを見る。皮肉な仕組みではあるが、公衆衛生を守るという一点では筋が通っている。 海外の反応 1. 海外の名無しさん ドイツ語圏の掲示板を覗くと、ハイルプラクティカーはだいたい見下されている。医学の知識があると証明したところで、やっていること自体が変わるわけではないからだ。それでも人気が落ちないのは、一人の相手に何十分もかけて話を聞いてくれるからだと思う。普通の医者ではまず味わえない時間だよ。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 誰かが腰を据えて自分の不調を最後まで聞いてくれる、それ自体がもう一種の手当てなんだよね。プラセボと呼ぶにしても効き目はある。本物の医者がそういう診察をできる世の中だったら、そもそもこの職業は要らなかったんじゃないかな。 3. 海外の名無しさん あれは医学の知識を測る試験というより、この人が公衆衛生にとって積極的な危険にならないか、を確かめる試験だと思っている。合格は「よく分かっている」の証ではなく、「少なくとも危なくはない」の証だ。 4. 海外の名無しさん(>>3への返信) いや、医学の中身もそれなりに聞かれるよ。筋肉の名前は全部覚えさせられるし、薬を扱う以上は化学の基礎も要る。医学部の訓練ほど深くはないにしても、枠の中を塗りつぶせば受かる、というほど形だけの試験ではない。 5. 海外の名無しさん そもそも施術ごとの専門試験なんて作りようがないでしょう。試験の目的は、患者を傷つけないことと、これは自分の手に負えないと分かった時点できちんとした医者に引き継げること、その二つだけなんだから。 6. 海外の名無しさん(>>5への返信) その二つだけ、という言い方をされているけれど、自分はこれを明確な前進だと思っている。少なくとも、必要な治療を遠ざけてしまったときに「知らなかった」で逃げる道がふさがれるわけだから。 7. 海外の名無しさん 試験自体はかなり易しいらしい。大学を出た人なら一、二週間の準備で通ると言われている。中身のほとんどは、どういう症状が出たら患者を医者に回すべきか、どうすれば人を死なせずに済むか、だそうだ。 8. 海外の名無しさん(>>7への返信) 易しすぎると責める人がいるけど、専門性の証明ではなく最低限の安全網としてなら、その水準で合っている気もする。難しくしてしまうと、今度は「国が認めた専門家」という看板を与えることになりかねない。 9. 海外の名無しさん ドイツの医師は、医師免許があればハイルプラクティカーの資格なしで代替医療をやれる。免許のほうが範囲として広いからだ。実際、数は多くないけれどオステオパシーや鍼を専門にしている医師もいると聞いた。 10. 海外の名無しさん(>>9への返信) そこがいちばん厄介なところで、きちんと免許を持つ医者がホメオパシーの製品を勧めてくることが普通にある。患者の側からは、相手の肩書きを見ても区別のしようがないんだよ。 11. 海外の名無しさん ドイツは代替医療への傾倒が強くて、薬局にホメオパシー製品が普通に並んでいる。あの棚に置かれているというだけで、まっとうなものだという空気ができてしまう。ハーブティーや軟膏みたいな昔ながらの手当てとは、本来まったく別の話なのにね。 12. 海外の名無しさん(>>11への返信) 薬草とホメオパシーの区別がついていない人が本当に多い。「自然由来だから体にやさしい」という理解のまま止まっていて、実際にどうやって作られているのかを説明しても、あまり関心を持ってもらえない。 13. 海外の名無しさん ドイツで数週間働いていたときにひどい咳が出て、薬局で症状を説明したら、とろりとしたオレンジ色の液体を渡された。ゆっくり喉に流し込めと言われたけれど、効いた実感はなかった。帰国してから説明書きを訳してみたらホメオパシー製品で、そういうものだと一言も言われなかったことのほうに驚いた。 14. 海外の名無しさん ホメオパシーは近代医学が形になる前のドイツで生まれたものだから、中国における漢方に近い立ち位置で文化に根を張っている。ここ数十年で疑問の声はかなり増えたし、若い世代ほど距離を取っている印象はあるけどね。 15. 海外の名無しさん 1796年に考え出された、薄めれば薄めるほど砂糖の粒に治す力が宿る、という発想だね。昔の治療が全部でたらめだったわけではなくて、たとえば柳の樹皮にはアスピリンによく似た成分が本当に含まれていた。玉石混交の時代の、石のほうがそのまま生き残ってしまった例だと思う。 16. 海外の名無しさん(>>15への返信) その理屈が本当なら、水道水は総合ビタミン剤であり猛毒であり万能薬ということになってしまう。この世のあらゆるものが、一度はどこかの水に触れているわけだからね。 17. 海外の名無しさん 公的保険がホメオパシーの費用を負担しなくなる、という話が出ている。小さな一歩だけど方向としては正しいと思う。念のため書いておくと、薬草を使う手当てそのものを否定しているわけじゃない。アスピリンだって、もとをたどれば木の皮なんだから。 18. 海外の名無しさん ドイツの医者が何かというとハーブティーを勧めてくるのは、抗生物質を出しすぎないようにしている面もあるらしい。「休んで水分を取って、市販薬を足せば治る程度の風邪です」を、「休んで、カモミールティーでも飲んで、ついでに薬局で点鼻薬を買って帰りなさい」と言い換えているだけ、という説明を読んで妙に納得した。 19. 海外の名無しさん 救急の医師をしているけれど、運ばれてくる患者の九割方は、命に関わる病気を除外できればそれ以上の治療は要らない。多くの人はそれを受け入れて帰っていくが、症状があるのに何もしてもらえないという状態にどうしても耐えられない人が、一定数いる。 20. 海外の名無しさん(>>19への返信) その気持ちは分かる気がする。「様子を見ましょう」と言われて手ぶらで帰されるのが、いちばん不安な瞬間なんだよね。何かを手渡してもらえるだけで落ち着いてしまう自分がいる。 21. 海外の名無しさん 面白半分でその手の歯科医院に行ってみたら、検診と歯石取りだけで二時間近くかかった。心の調子まで尋ねられて、シンギングボウルを鳴らされて、清掃剤の味を消すのに精油まで使われた。そこまでは正直かなり快適だったんだ。ただ、別の医師のところで予定していた歯とは関係のない手術は多分必要ない、うちで何とかできる、と言われた時点で静かに帰った。 22. 海外の名無しさん(>>21への返信) 最後の一言さえなければ、やたら丁寧なクリニックの話で終わっていたんだよね。境界線を越える瞬間が分かりやすすぎて、逆に教材みたいになっている。 23. 海外の名無しさん ちなみにドイツでは、ホメオパシーの施術者をインチキ呼ばわりすると名誉毀損になりうる。実際に裁判になった例がいくつもある。批判する側が言葉を選ばないといけないというのは、なかなかしんどい状況だと思う。 24. 海外の名無しさん アメリカの読者向けに補足しておくと、こちらでいうオステオパシー医(D.O.)は正規の医師だよ。修業年数もMDと変わらないし、薬の処方も手術もする。骨や筋肉への手技も学ぶけれど、それを主な手立てにしている人はほとんどいない。同じ名前が国をまたぐと別の職業を指すから、この話はいつも混乱する。 25. 海外の名無しさん 効果が証明された代替医療のことを、なんと呼ぶか知ってる? ——医学だよ。ティム・ミンチンのこの一行が、結局すべてを言い切っている気がする。ドイツの試験も、この境目をどう扱うか散々悩んだ末の妥協案なんだろうね。 まとめ 国が試験で確かめているのは、代替医療が効くかどうかではなく、施術者が患者を危険にさらさないかどうかだった。コメント欄では「あんな試験では中身の担保にならない」という厳しい声が大半を占めたが、一方で「本人が『知らなかった』で逃げられなくなるだけでも前進だ」「何十分も話を聞いてもらえること自体に価値がある」という擁護も少なくなかった。話題は自然と、医師の診察時間が短すぎる現実のほうへ流れていく。効かないと分かっているものが売れ続けるのは、そこに埋められていない何かがあるからではないか——結局そこに行き着いていたのが印象的だった。 元ソース: ドイツではホメオパシーやオステオパシー、鍼灸などの代替医療の施術者は全員ハイルプラクティカー試験を受ける必要があるが、その試験が問うのは医学の知識と、その職業に許された範囲の線引きだけ。施術ごとの専門試験は存在しない The post 「ドイツで代替医療をやるには国家試験がある。ただし試験科目に代替医療は無い」ホメオパシーも鍼も資格は共通の一つだけ appeared first on みんな知ってた?【海外の反応】.…