学期の最初の授業で、緊張をほぐすために先生が自分の趣味を話す。そこで彼女はいつも、決まって同じ答えを口にしていた。「私の趣味は Netflix and chill です」。落ち込んでいる学生には「休むのも大事だから、ぜひ Netflix and chill してね」と勧めもした。善意しかない。ただ一つだけ、彼女はその言葉の本当の意味を知らなかった。34歳、大学の教員、二児の母。今日それを知った。 ※注:「Netflix and chill(ネットフリックス・アンド・チル)」は直訳すれば「ネットフリックスを見てのんびりする」。ところが英語圏では、2010年代半ばごろからSNSを通じて広まったとされる言い回しで、実際には「うちに来ない?」と体の関係をほのめかす、遠回しな誘い文句として使われている。もう一つ、アメリカの大学では学期の最初の授業に「アイスブレイク」という時間を取ることが多い。教員と学生が順番に名前や趣味を言い合って場をあたためるもので、教員が自分の私生活を軽く話すのも珍しくない。日本の大学より教員と学生の距離が近い、と考えるとイメージしやすい。 何をやらかした? 📌 アメリカの大学で教える34歳の女性が、「Netflix and chill」を文字通り「ネットフリックスを見てくつろぐ」の意味だと思い込み、授業の自己紹介で毎回「趣味です」と公言し、疲れている学生には「息抜きにぜひ」と勧め続けていた。実際には体の関係を持つことを指す遠回しな言い方だと、夫の同僚から指摘されて今日はじめて知った。数年分の授業が、頭の中で一斉に別の意味に再生された。 事の発端 「趣味は?」と聞かれるたびに答えていたこと 投稿者は34歳の女性で、アメリカの大学で教える立場にある。4歳の子と、生まれて間もない赤ちゃんの母親でもあり、いまは育児休業中だ。学期のはじめには必ず、緊張をほぐすための時間を取る。学生に名前と趣味を聞き、自分の番になれば自分も答える。その自己紹介で、彼女は毎回こう言っていた。「私の趣味は Netflix and chill です」。 本人の頭の中では、それはただ「ネットフリックスを見て、のんびりする」という意味でしかなかった。むしろ小さい子どもが二人いて、片時も目を離せない生活を送る身にとって、その時間はごちそうに近い。誰かの用事に呼ばれることもなく、ソファに沈んで好きなドラマを流すだけの一時間。それを趣味と言って何が悪いのか、という話である。 疲れた顔の学生にも勧めていた 使っていたのは自己紹介の場だけではなかった。試験前や課題の締め切り前に、学生が「もう限界です」「ずっと寝ていません」とこぼすことがある。そういうとき彼女は、勉強はもちろん大事だけれど、休んで充電する時間も同じくらい大事だと伝えていた。そして必ず、こう付け加えていた。「近いうちにぜひ、Netflix and chill してね」と。 この数年、その言葉に反応した人は一人もいなかった。夫も、同じ学科の同僚も、教室にいた学生たちも、誰ひとりとして「先生、それは……」とは言わなかった。彼女はそれを、自分の言葉が普通に通じている証拠だと受け取っていた。 やらかしの一部始終 夫の職場での、何気ない昼休み その日、彼女は育休中の身で、夫の職場に昼食を持って顔を出した。そこで夫の同僚二人と立ち話になる。33歳の男性と、50代の女性だった。話題は自然と赤ちゃんのことになり、彼女はこぼした。「早くこの子が大きくならないかな。おむつ替えと授乳ばかりじゃなくて、また Netflix and chill したいんです」。 33歳の同僚の顔が固まった。「よくそんなにあけすけに言えますね」。何のことか分からず聞き返すと、彼はその言い回しが本当は何を指しているのかを説明してくれた。彼女は信じなかった。冗談か、この人の勘違いだろうと思った。ところが横にいた50代の女性が、静かにとどめを刺した。「彼の言う通りよ。私だって知ってるもの」。 数年分が、一斉に別の意味で再生される そこからは、頭の中で巻き戻しが始まった。毎学期の初日。ずらりと並んだ学生の顔。「私の趣味は──」と話す自分の声。そして、疲れきった学生に向かって「息抜きにぜひ」と勧めていた、あの励ましの言葉。全部が、まったく別の意味を持つ台詞として再生された。 本人は弁解も書いている。恋愛の場数をほとんど踏んでいないのだ。夫とは小学校からの知り合いで、高校で付き合いはじめ、大学も大学院もそのまま同じ相手と過ごし、10年前に結婚した。出会い系のアプリも使ったことがない。大学時代は実家から通いながらアルバイトを二つ掛け持ちしていて、遊びに出かける時間もなかった。空いた時間にしていたのは、それこそ本当に、ネットフリックスを見てのんびりすることだった。だから彼女にとって、その言葉は文字通りの意味以外にありようがなかった。 その後 いま彼女がいちばん怖がっているのは、この件がハラスメントとして大学に報告されることだ。誘ったつもりも、まして勧めたつもりも一切ない。それでも結果だけを並べれば、教壇から学生に向かって「そういうことをするのが好き」と自己紹介し、あまつさえ「あなたたちもぜひ」と背中を押していたことになる。本人の言葉を借りれば、自分の意図と学生から見えていた姿とのあいだに、どれだけの隔たりがあったのかを突きつけられて、ぞっとしているという。 投稿は「自分と同じ人が他にもいるはずだ」という一縷の望みから書かれたものだった。結果は本人いわく、よい知らせと悪い知らせがあった。よい知らせは、仲間がいたこと。悪い知らせは、思っていたよりずっと少数派だったことである。追記では、この言い回しを作ったのは自分と同じ世代らしいと知って、さらに肩を落としていた。 それでも文章の最後は、笑いに寄せて締められている。押し寄せたコメントに声を出して笑い、同時に身をよじりながら、職場に戻ったら何らかの形で軌道修正するつもりだと書いた。そして一言。「この10年、私と同じように世の中から取り残されていた人は、いつでもうちに来てください。文字通りネットフリックスを見てのんびりしましょう。ポップコーンはこちらで用意します」。 海外の反応 1. やらかし名無しさん 学生からしたら「かわいいくらい何も知らない先生」か「やたら砕けたいい先生」のどっちかに見えてただけだと思う。気に病むほどのことじゃない。誰も本気で受け取ってないから安心していい。 2. やらかし名無しさん(>>1への返信) ハリソン・フォードが出ているアメリカのコメディドラマ(原題 Shrinking)でも、本人だけが下ネタの言い回しを別の意味だと思い込んで真顔で使い続けていて、周りは全員それを微笑ましく見てるって場面がある。まさにそれだと思う。 3. やらかし名無しさん 気の毒だけど正直に言うと、この言い回しは10年以上前から普通に使われてる。あなたの大学にはもっと年上の先生が何人もいるはずだけど、その人たちはたぶん意味を知ってるよ。 4. やらかし名無しさん(>>3への返信) しかもこの言葉を広めたのは、投稿者とちょうど同じ世代なんだよな。同級生が総出で作った流行語を、本人だけがきれいに素通りしてきたという構図がすごい。 5. やらかし名無しさん なぜ誰も教えなかったのかは簡単で、教授に若者言葉の下ネタを説明するリスクの方が、黙って見過ごすリスクよりはるかに高いから。学生全員が同じ計算をして、全員が同じ結論に達しただけだと思う。 6. やらかし名無しさん(>>5への返信) その沈黙は「意味が分からなくて固まった」んじゃなくて「教室全体で危機管理をしていた」ってことか。言われてみると、その光景の方がよっぽど笑える。 7. やらかし名無しさん 40歳、既婚。この投稿を読むまで本気で知らなかった側の人間です。ドラマを見ながらだらだらするだけの、最高の夜の過ごし方だと思ってた。今ちょっと過去を振り返るのが怖い。 8. やらかし名無しさん(>>7への返信) この投稿を妻に読み聞かせたら、途中で表情が消えて、そのあと乾いた笑い方をしはじめた。どうやらうちにも同じ人がいたらしい。今夜は静かな食卓になりそうです。 9. やらかし名無しさん うちの母もこれの親戚みたいな事故を起こしてる。ビタミンDのスプレーを気に入って、会う人会う人に勧めて回ってたんだけど、英語だと「D」の一文字が下ネタの隠語になるのを知らなかった。「あなたにはDが足りない」「Dを口にひと吹きしてみて」と真顔で言い続けていた。 10. やらかし名無しさん(>>9への返信) それを教える役を誰が引き受けたのかが気になりすぎる。うちの家族なら全員が全力で目をそらして、結局最後まで誰も言わないパターンだと思う。 11. やらかし名無しさん 知り合いの職場でも似たことがあった。新入社員が上司に趣味を聞かれて、冗談のつもりで「Netflix and chill です」と答えたら、上司は意味を知らずにそれを歓迎メールに書いて全社に送った。書いた本人だけが最後まで無邪気だったという点まで同じ。 12. やらかし名無しさん ハラスメントの心配は本当にしなくていいと思う。誰かを誘ったわけでも、個人に持ちかけたわけでもなく、ただ休息を勧めていただけ。言葉の意味を取り違えて傷ついたのは自分のプライドだけで、そこに被害者はいない。 13. やらかし名無しさん(>>12への返信) 仮に誰かが真面目に報告したとしても、事情を五分聞けば担当者の方が笑いをこらえる側に回ると思う。むしろ大学の職員の間で今年いちばんの語り草になる可能性の方が高い。 14. やらかし名無しさん 赤ちゃんがいる人が「早くゆっくりネットフリックスを見たい」と言っていたら、そりゃ普通は文字通りに受け取るよ。むしろ切実さしか伝わってこない。同じ立場の親なら100人中100人が誤解しない。 15. やらかし名無しさん 自分は16歳のとき、まったく同じ勘違いをしていた。放課後に何してるのと聞かれるたび「家でネットフリックス見てくつろいでる」と答えてた。実際そのとおりに、ポテトチップスを抱えて画面を眺めていただけなのに。当時の友達の顔を思い出したくない。 16. やらかし名無しさん 一応フォローしておくと、この言い回しは文脈次第では今でも普通に「テレビを見る」の意味で使われている。誘い文句として広まっただけで、元の意味が消えたわけじゃない。だから聞いた側がどう取るかは、その場の空気次第でもある。 17. やらかし名無しさん(>>16への返信) それはある。二児の母が育児の合間の話としてこれを言った場合、まともな学生なら文字通りの意味で処理してると思う。全員が全員、下の意味に取ったわけじゃないはず。 18. やらかし名無しさん 知人の外科医が、英語ではっきり下ネタになる言い回しを「よし、本腰を入れてやるぞ」の意味だと思い込んでいて、研修医を集めるたびに手を打ち鳴らして高らかに宣言していた。本当の意味を知った日の顔は忘れられない。職業に関係なく起きる事故です。 19. やらかし名無しさん 復帰したあとの対処だけど、教室で改めて訂正するのはやめた方がいいと思う。触れずに、次からは「ドラマを見てのんびりする」と普通の言い方に替えるだけでいい。わざわざ説明すると、覚えていなかった学生にまで丁寧に思い出させることになる。 20. やらかし名無しさん 最後のポップコーンの一文で完全に好きになった。この人は絶対いい先生だと思う。落ち込んでる学生に「ちゃんと休みなさい」と言える先生なんて、そんなに多くない。意味を取り違えていた部分だけ直せば、あとは何も変えなくていい。 まとめ 善意しかない励ましの言葉が、数年かけて教室いっぱいに別の意味で届いていた、という話。海外の反応は「10年以上前からある言い回しなのに」という軽いあきれと、「学生は先生が知らないことを分かっていた」「誘ったわけでもないのだからハラスメントにはならない」という擁護に、きれいに二分された。そして目立ったのが「自分も知らなかった」という告白の多さである。言葉の意味は誰も教えてくれないまま、静かに置き去りにされる。恐ろしいのは、その間ずっと自分だけが平気な顔でいられてしまうことだ。 元ソース: 「Netflix and chill」が何の隠語なのかを、今日はじめて知ってしまった The post 「息抜きも大事だから、ぜひNetflix and chillしてね」学生に勧め続けた34歳の大学教員、今日その意味を知る appeared first on やっちまった!海外のやらかし告白.…