貿易合意後 初の高位接触…韓国「原子力協力」 米国「同盟の現代化」(中央日報) 韓米が1日(現地時間)、ワシントンでの外交次官会談を通じて、10月の首脳会談後に作成された共同説明資料(ファクトシート)を迅速かつ積極的に履行していくという点で共感した。 ただし、韓国外交部が配布した資料では、原子力潜水艦(原潜)など両国の原子力協力を早急に進める方案を強調したのに対し、米国側が公表した声明では同盟の現代化と韓国の大規模な対米投資が強調され、細かな部分で温度差が見られた。 (中略) 今回の会談は、10月29日の慶州(キョンジュ)での韓米首脳会談、および11月14日のファクトシート発表以降に行われた初のハイレベル級協議となる。しかし、双方が強調した分野には違いが見られた。 外交部は「朴次官が特にウラン濃縮および使用済み核燃料の再処理のための協議手続きの早期開始を要請した」とし、原子力協力が核心の議題となったことを示唆した。この要請に対する米側の反応については、直接的な言及の代わりに「協議が本格的に行われるよう共に努力することにした」という説明のみが盛り込まれた。 米国務省がトミー・ピゴット首席報道官名義で発表した会談結果には、原子力協力に関する内容がない。米側声明は「トランプ大統領の歴史的な慶州国賓訪問の成功を祝った」という言葉で始まり、「同盟の現代化を含むファクトシートの履行方案について協議した」としている。そして「韓米同盟は70年以上にわたり、韓半島(朝鮮半島)およびインド太平洋全域の平和・安保・繁栄の核心軸(linchpin)であり続けてきた」と強調した。 米国がこの日の会談で前面に掲げた“同盟の現代化”とは、在韓米軍の役割と責任を再調整し、韓国の防衛費支出拡大などを骨子としている。北朝鮮に対する防御に重点を置いてきた米軍の役割を、事実上中国への牽制(けんせい)に拡大する内容だ。 (引用ここまで) アメリカの国務次官、および韓国の外交部次官の会談があったそうです。 次官級会談は事務方のもっとも上での会談となるので、下手をすると外相会談よりも注目されることがあります。 外相会談だと基本は事前の打ち合わせでしゃんしゃんなのですが、次官級・次官補級くらいだとけっこうバチバチにやりあったりもしますからね。 そんな中、韓国外交部と国務省それぞれのプレスリリースが見事なくらいに行き違っているってニュース。 実際のプレスリリースを見てみましょうか。 Deputy Secretary Landau’s Meeting with Republic of Korea First Vice Foreign Minister Park(国務省・英語) 韓米外交次官会談(12.1)結果(外交部・朝鮮語) ふむ、これはなかなかの行き違いぶりといえるのではないでしょうか。 前置きを除いて、ざっくりと引用すると── まず、国務省のプレスリリースがこちら。 両者は、70年以上にわたり朝鮮半島およびインド太平洋地域における平和、安全、繁栄の要となってきた米韓同盟の近代化を含む米韓共同ファクトシートの実施について協議しました。 ランドー副長官は、造船業をはじめとする主要戦略分野における米国製造業への投資に対する韓国の前例のないコミットメントを歓迎した。ランドー副長官と第一外務次官はまた、米韓ビジネス渡航・ビザ作業部会の最近の成果にも言及した。ランドー副長官は、韓国からの投資が米国の再工業化の取り組みに大きく貢献していることを改めて強調した。 (引用ここまで) んで、韓国外交部のプレスリリースがこう。 今回の次官会談は去る8月と10月両首脳の相互訪問以来初の韓米間高位級会談で、両次官は首脳間合意事項を網羅する「共同説明資料(Joint Fact Sheet)」採択(11.14.)を評価し、原子力と造船、原子力潜水艦など主要分野後続のため実務協議体を早速稼働させていこうというのに意思を合わせた。 朴次官は特に韓国の民間ウラン濃縮と使用後の核燃料再処理のための韓米間協議手続きの早急な開始を要請し、ランダウ副長官は同件関連両側間緊密に連携していこうとした。また、両次官は原子力潜水艦、造船協力問題に関しても韓米間の協議が本格的に行われるように共に努力していくことにした。 (中略) 米国ビザ制度改善関連、両次官は去る9月、ランダウ長官訪韓当時協議に基づいて韓国企業専用ビザ相談窓口開設など実質的進展が行われたことを評価した。朴次官は今後も私たちの企業人と技術人材の円滑で安定した米国訪問ができるように、ランダウ長官の持続的関心を要請した。 (引用ここまで) アメリカ側は「米韓同盟の現代化」=「在韓米軍の対中戦略組み入れ、それへの韓国軍の参加」について優先順位を置いています。 「インド太平洋における平和、安全、繁栄」ってのは、対中国を見据えた際の定型句ですね。 ついで韓国からアメリカへの造船業をはじめとする投資について歓迎するとの話。 米韓原子力協定には触れることすらしていません。 もちろん、原子力潜水艦についても言及はゼロ。 一方で外交部はまず原子力潜水艦について、そして米韓原子力協定について語っています。 まず、「原子力協定の改定について申し入れた」としています。 韓国側では「インド太平洋」って言葉がタブーになっているのかってくらいに触れていませんね。 まあ、イ・ジェミョン大統領が一言すら「インド太平洋」に触れていないので、政権としては当然だってところなんでしょうが。 両者で共通しているのは就労ビザについての協議について「成果があった」としている部分くらいです。 なんでも例の工場建設現場にはB1ビザ所有者が「労働内容を精査した上で」50人くらい戻った模様。さすがに今回はESTAだけで働きに行く剛の者はいないようです(笑)。 同じ協議の結果を記したプレスリリースとはにわかには信じがたい内容となっております。 いくらなんでも同じ会議してれば半分は一致しててもいいでしょ。冒頭の優先順位は異なっていたとしても。 つまり、これくらいアメリカと韓国では見ている方向が異なっているってことです。 180度までは異ならないものの135度くらいは違いますよね。 note.comで楽韓noteを開設しています。中味は楽韓Webを濃厚に仕立てた長編記事。最新の記事は「 迷走と株価乱高下を繰り返すウェブトゥーン、明日はどっちだ?(ないかも) あ、今回は個別コンテンツにも触れます 」となっています。 また、楽韓noteマガジンを発刊しました。月に6〜800円くらいになる有料記事が全部読めて月額500円。だいぶお得になってます。 Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex…