
家庭やオフィスのネットワーク環境で、LANケーブルの選択は速度や安定性にどれほど影響するのか。CAT5eやCAT6a、CAT7から最新規格のCAT8にアップグレードすることで、どれだけの違いが生まれるのか気になる方も多いだろう。本記事では、CAT8への変更が実際のネットワーク体験にどれほど影響するかを検証し、コストと実用性の観点から解説する。 LANケーブルの規格をおさらいLANケーブルには、TIA/EIA-568-B規格に基づくカテゴリー(CAT)があり、それぞれ速度、帯域幅、用途が異なる。以下は主要な規格の概要だ。- CAT5e: 最大1Gbps(1000BASE-T)、帯域幅100MHz。家庭や小規模オフィスで広く使われる標準規格。- CAT6a: 最大10Gbps(10GBASE-T)、帯域幅500MHz。長距離でも安定した高速通信が可能。- CAT7: 最大10Gbps(10GBASE-T)、帯域幅600MHz。シールド強化でノイズ耐性が向上。- CAT8: 最大40Gbps(40GBASE-T)、帯域幅2000MHz。データセンターや超高速ネットワーク向け。CAT8は、帯域幅が従来規格の数倍に達し、理論上は圧倒的な性能を持つ。しかし、その恩恵をフルに受けるには、ルーター、スイッチ、ネットワークインターフェースカード(NIC)など、周辺機器も40Gbps対応である必要がある。--- CAT8に替えたら何が変わる? 1. 速度と帯域幅の違いCAT8は最大40Gbpsをサポートし、帯域幅は2000MHzと、CAT6aの4倍、CAT5eの20倍に達する。このスペックは、4K/8K動画のストリーミング、大規模ファイル転送、VRやクラウドゲーミングなど、超高速通信を必要とする用途で理論的には有利だ。しかし、一般的な家庭やオフィスでは、インターネット回線速度が1Gbps以下である場合がほとんど。例えば、NTTフレッツ光ネクスト(最大1Gbps)や一般的なWi-Fiルーター(最大1~2Gbps)を使用している場合、CAT5eやCAT6aで十分な性能を発揮する。CAT8に変更しても、ネットワーク全体のボトルネックが他にあるため、体感速度の向上はほぼ期待できない。--- 2. ノイズ耐性と安定性CAT8の大きな特徴は、強力なシールド(S/FTP構造)による電磁干渉(EMI)への耐性だ。工場やサーバールームなど、ノイズの多い環境では、CAT8の安定性が活きる。家庭環境では、CAT6a(STP対応モデル)でも十分なノイズ耐性が得られるため、CAT8のアドバンテージは限定的だ。--- 3. ケーブル長と実用性CAT8は高速通信を維持できる距離が最大30m程度と、CAT6a(100m)やCAT7(100m)に比べ短い。家庭やオフィスで長距離配線が必要な場合、CAT8は不向きだ。また、CAT8ケーブルは硬く太い傾向があり、取り回しが悪い点も考慮すべきだ。--- 実際の使用環境での検証~(略)~…