313: 名無しさん@おーぷん 20/03/24(火)17:33:43 ID:n7.1e.L1 あるとき、嫁がポン酢を買ってきてと言うので買ってきた。しかし、嫁が求めたのはいわゆる味ぽんではなく、ふつうのポン酢だった。嫁はそれはもう激怒した。おつかいひとつもまともにできないのかと。まあそれは本当に俺が世間知らずで、ポン酢といえばショウユや調味料の入った味ぽんのことだと思いこんでいたせいなのでそれはいい。怒られてもしょうがないことなのだろう。その後嫁は「情けない」「恥ずかしい」と言い、俺をしばらく近所付き合いの場に出さなくなった。その割に嫁も周囲に「おつかいすら満足にできない夫」と周囲に言い回っているようで、周囲からの目が変化したように思う。それから7年ほど経つ。あれ以来ちょこちょこと買い物を頼まれることはある。けれど、大きな失敗はしてないはずだ。頼まれたものについて定義を勘違いしてないか調べたり、それでもわからなければ店員に聞いたりするようになったから。それでもだ。それでも嫁は未だにポン酢の件を引き合いに出しては、周囲に「芥ほども使えない夫」と言い回るのをやめない。町内の催しでちょっとしたおつかいを頼まれる度に近所さんから「本当に買ってこれるの?間違えて味ぽん買ってこないでよ」などと笑われる。でもさすがにポン酢ひとつでいじられすぎだ。何か脚色しているであろうことは明白だった。それが不満でちょっとでも抗議をしようものなら激怒してくる。使えないものを使えないと言って何が悪いと。間違いはしないようになった。家事だって半分どころか、時には7割ほどしているはずだ。下の娘なんて「父さんっていつも働いてるよね」と言ってくるくらいだ。上の娘はすっかり嫁の真似をするようになって「使えない使えない」と言ってくるけど。今になってどうしてこんなことをこんな所に書こうと思ったかと言うと、昨今の情勢で家にいることが多くなって、ほぼ全ての家事をおしつけてくるようになったからだ。「使えないモンでも使えないなりに、体が自由なときくらい役にたってみせろよ」ということらしい。まあ、入り口は確かに俺が悪かったわけだしな。今はこうしてグチを零すことくらいしかできることがない。…