■企業が感じる「大卒の能力低下」「新卒採用の面接で、基本的な読解力や論理的思考力が不足していると感じるケースが増えた」。こう語るのは、都内大手製造業の人事部長だ。経団連の調査(2024年度)によると、約6割の企業が「新卒採用者の基礎学力や実務能力に不満」と回答。特に、文章の読解力やプレゼンテーション能力、問題解決力の低下が目立つという。背景には、大学入試の多様化がある。推薦入試やAO入試の増加により、学力試験を経ずに大学に入学する学生が増加。これが「学力の底上げ不足」に繋がっているとの指摘だ。さらに、大学教育自体が「学位取得」に重点を置き、実践的なスキル養成が後回しになっているとの声もある。■「高卒レベル」とは何か?「大卒なのに高卒レベル」と揶揄される学生の特徴として、企業が挙げるのは「コミュニケーション能力の不足」や「基礎的なビジネスマナーの欠如」。例えば、あるIT企業の人事担当者は、「メールの書き方や敬語の使い方が高校生レベル。専門知識以前の問題」と嘆く。ネットでも「最近の大卒、知識もスキルも高卒と変わらない」「大学行ってもこのレベル?」といった投稿が、若者や教育に関心を持つユーザーから寄せられている。一方で、「高卒レベル」という表現自体が曖昧で、実際には高卒者の能力も多様であるため、単純な比較は難しいとの反論もある。■データが示す学力の実態国際学力調査(PISA 2022)では、日本の高校生の読解力や数学的リテラシーは依然としてOECD平均を上回るが、読解力のスコアは2018年から微減傾向にある。また、ベネッセの調査(2024年)によると、大学生の4割が「文章を正確に読み解く自信がない」と回答。このデータは、企業が感じる「能力低下」の一端を裏付けている。■大学教育のミスマッチ~(略)~…