1: 湛然 ★ kKv0pZDS9 2025-09-27 07:32:28 「撃ってくれ!」クマに顎を食いつかれた69歳猟師の必死の叫びに同僚は「弾ないんだわ!」素手の格闘の結末 9/21(日) 7:01 集英社オンライン(※抜粋) 『クマから逃げのびた人々』#2 69歳猟師の壮絶生還劇 国内では北海道のみに生息するヒグマ。日本にいる陸上生物では最大の体長・体重を有する。そんなヒグマに襲われ、奇跡的に助かった猟師が語る生還の瞬間とは…。 『ドキュメント クマから逃げのびた人々』(三才ブックス)より、一部抜粋、再構成してお届けする。 ■連日出没するヒグマ二頭の駆除のために牧草地へ 北海道の夏は湿度が低く、暑い日があっても総じて爽やかで過ごしやすい。山田さんがヒグマに襲われた7月。盆地の滝上町もそれなりに気温は上がるが、天候は曇りで暑くはなかった。そして、一年の中でも昼間がもっとも長い時期だった。 その頃山田さんは、夏季に牧草を刈り取るアルバイトをするくらいで、酪農の仕事はほとんど行っておらず、要請があれば駆除活動を行っていた。 その日の夕方、牧草を刈る作業がちょうど休みだったので、トラックに乗って見回りに出た。いつも走る道で仲間のトラックに会い、すれ違いざまに「またあそこにクマ出とるわ」「なら、やっつけなきゃいかんな」と会話を交わした。午後5時30分ごろに役場に連絡が入り、30代の猟師Sさんと待ち合わせをして2人で駆除を行うことになった。 ■「撃ってくれ!」「弾ないんだわ!」 しばらく見当をつけてササ藪を見つめるものの、動きはない。「少なくても二発は当たっているし、今度こそ死んでいるな」と思った山田さんは、クマの死骸を確認するため、さらに崖を下りていった。 「確かこのへんだったよなぁ」とササ藪を進む。上にいるSさんの「山田さん! 動いているわ!」という叫び声が聞こえたか聞こえないうちに、突然、ササ藪の中から半矢(手負い)のクマが正面から襲いかかってきた。 その瞬間、山田さんは仰向けに倒され、持っていた銃はどこかに飛ばされてしまった。クマと目は合っていない。気づいたら鼻先が顔の目の前にあり、クマの開いた口や牙が見えたかと思うと、顎に食いつかれた。実際にはその前に頭を爪で引っかかれ、その傷はかなりの深さだった。 「どう噛まれたかなんて、順番は分からん。ただクマとくっついて格闘して引っ張り回されたな。顎にがっつり?みつかれてたから、下の入れ歯は割れて、口は裂けたしね。目のところも引っかかれてさ。クマの爪痕がまぶたの上と下に残っているんだけど、眼球をえぐられなくて良かったよ。腕や腹も?まれながら、足で蹴ったり手で殴ったりと抵抗したな」 自身が命がけの格闘を続ける中、Sさんには「来るなよ! 来るなよ!」と叫んでいた。 「しつこい! しつこい! いつになったら離れるんだ!」という思いが繰り返し脳裏をよぎった。 クマは体重70〜80�sくらいで、そんなに大型ではなかったという。Sさんが「うわーっ!」と大声を出すと、ふっと自分の身体からクマが離れて隙間ができる瞬間があった。 「これはと思って、空砲を撃ってもらえばもっと離れるんじゃないかと思ってさ『Sくん! 撃ってくれ!』って叫んだのさ。そうしたら『山田さん、弾ないんだわ! 取ってくるわ!』って言って、車まで弾を取りに行っちゃったのさ。あれは参ったな(笑)」 ■渾身の右パンチがクマの口に…… やむなく再び一人でクマと闘っているうちに、偶然にも繰り出した右拳が口の中に入った。さすがにひるんだのか、鼻先にあったクマの顔が離れ、一気に視界が広がった。クマの顔の他に腹や脚までが見えた。 「最初に一発、弾が当たった横腹から、腸が飛び出ているのが目に入ったんだよね。思わず左手をのばしたらうまいこと届いて、その腸をグッと掴んで思いっきり引っ張ったらベロベローッと出てきてね。 そこで初めてクマはあきらめて、腸を引きずりながら離れていった。手も腕も噛まれていたけど、興奮状態だったから痛みは分からなかったね」 弾を取って崖の上に戻ってきていたSさんが、慌てて下りてきた。そのとき、「山田さん、手に何持っているのさ?」って言うので目をやると、クマの腸を50�pくらい左手に握りしめていた。とにかく血だらけだったが、起き上がってライフルだけは自分で探して右手で持って、左手で腸を持って上へあがって行った。下半身はやられていなかったから、歩くことはできた。…