金融緩和への慎重姿勢:白川氏は、デフレの原因を単なる貨幣的現象ではなく、人口減少、高齢化、生産性の低下、賃金の下方調整など構造的な問題に起因すると考えていました。そのため、大規模な金融緩和だけでデフレを解消することに懐疑的でした。金融緩和の効果が限定的で、過度な緩和は財政規律の悪化(財政ファイナンス)や金融システムの不安定化を招くリスクがあると警戒していました。2012年に「中長期的な物価安定の目途」として消費者物価上昇率1%を目指す方針を打ち出し、資産買い入れ基金を拡大するなど一定の金融緩和は行いましたが、黒田東彦総裁(後任)の「異次元緩和」と比べると規模は限定的でした。円高への対応:白川総裁時代、リーマンショック後の世界的な金融危機で円が安全資産として買われ、円高が進みました(例:2008~2011年に1ドル=80円台前半まで上昇)。これにより、輸出企業は収益悪化に苦しみました。白川氏は「実質為替レートでは大した円高ではない」と主張し、積極的な為替介入や金融緩和による円安誘導には慎重でした。これは、円高がデフレ圧力を強める一方、輸入物価を抑えることで消費者物価の安定に寄与すると考えていたためと推測されます。デフレ対策と国民生活:白川氏は、デフレの根本原因は金融政策ではなく、構造的問題にあると強調。金融政策だけで物価や賃金を押し上げるのは難しいと考え、生産性向上や構造改革を重視しました。デフレ下では物価が下落するため、消費者にとっては購買力が高まり、生活必需品の価格が抑えられるメリットがあります。しかし、企業収益の悪化や賃金の低下、雇用の不安定化が長期化すると、経済全体の停滞や国民生活の悪化につながるリスクもあります。【白川方明・日銀元総裁】狂乱インフレ 最大の原因は円高恐怖症 【MESSAGE 戦後80年】 YouTube…