
1: 名無しのアニゲーさん 2025/08/19(火) 11:01:41.37 ID:FNOvBHoa9 7月18日公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(2025年)が公開25日間で興行収入220億円を突破し、国内歴代興行収入ランキングで第6位になった(8月12日時点)。 ここで改めて気に掛かるのが、本作の監督・外崎春雄の存在である。外崎監督は知られるように、本作に先行し、コロナ禍の渦中で約404億円(リバイバル上映を含めた最終興収は約407億円)という国内歴代興行収入トップの記録を打ち立てた前作映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020年)の監督も務めている。 したがって、いまや国内映画興収ランキングトップテンのうち3作を抱える巨匠・宮﨑駿に次いで、その監督作品が複数ランクインしている唯一の映画監督になった(新海誠ですら『君の名は。』[2016年]1作である)(>>1)。また、『無限列車編』では、第44回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞、第33回日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎賞、第45回報知映画賞アニメ作品賞など、国内有数の映画賞も受賞している。 それにもかかわらず、前作に続き今回もまた、ジャーナリズムの中で外崎監督の名前や仕事が表立って語られることはほとんどない。例えば、この点は昨年、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』(2024年)で国内歴代15位となる興収158億円を記録し、日本の女性映画監督として史上初の興収100億円を達成した永岡智佳監督にも言えるだろう。このコラムでは、外崎監督の本作の具体的な演出も踏まえつつ、現代日本アニメの「作家性authorship」の位置について考えてみたい。 映画『鬼滅』の監督が注目されない要因 もちろんその理由は直接的には、いくつか考えられる。 第一に、そもそも当初から一貫して、外崎監督の所属するufotableが特定のスタッフ(クリエイター)を積極的に押し出す広報展開をしていないこと(今回の劇場パンフレットにも、通常の映画なら確実にある監督インタビューが掲載されていない)。 (略) 『テイルズオブ』シリーズにせよ『鬼滅の刃』シリーズにせよ、外崎監督の代表作は彼のオリジナル作品ではない。高畑勲、宮﨑駿、富野由悠季、押井守、庵野秀明、細田守、新海誠、湯浅政明、山田尚子……アニメ史に名を刻む個性的な作家たちは、いずれも1作は自身のオリジナル作品を手掛けて高い評価を受けている。外崎監督が「アニメ作家」として世間に認知されるためには、そうした条件も現実的に必要だろう。 なので、ufotableや外崎監督側がプロモーションやクリエイターとしての発信に積極的であるかどうかはともかく、今後、彼が劇場用長編作品を、それも『鬼滅の刃』シリーズ以外のものをコンスタントに何作か手掛けていけば、――例えば、『ONE PIECE FILM RED』(202年年)の谷口悟朗監督のように――観客や批評家の側がその作家性を(ある意味で勝手に)発見し、論じていく可能性は十分あると考えている。 ……