カリブ海に浮かぶ島国セントルシアは、4世紀の初めにシチリア島で亡くなった聖女ルチアにちなんで名づけられました。海外では「実在した女性の名前がついた国は世界でここだけ」という豆知識として知られています。ただ、この「だけ」は、何を国と数え、誰を実在の女性と数えるかで答えが変わります。島の名前の由来と、よく挙がる反例を順に見ていきます。 今日の知ってた? 🌴 セントルシアの国名は、シチリアのシラクサの聖女ルチア(283年頃〜304年)から来ている。独立国の中で、神話の女神ではなく実在したとされる女性の名前を国名にしているのは、ここだけとされる 背景:セントルシアという国 セントルシアは、カリブ海の東、小アンティル諸島の南のほうにある火山島の国です。面積は617平方キロメートルで、東京23区(約627平方キロメートル)とほぼ同じ大きさです。人口は2023年の推計で約18万4,000人。1979年2月22日に英国から独立し、いまも英国王を国家元首とする英連邦王国の一つです。 ヨーロッパ人が来る前から、島には人が住んでいました。最初に住みついたとされるアラワク系の人々は島を「イグアナの島」を意味する名で呼び、のちに移ってきたカリブ系のカリナゴの人々は「イグアナのいるところ」を意味する「ヘワノラ」と呼びました。 ヨーロッパの国の中で最初に入植したのはフランスで、1660年にカリブ系の住民と条約を結んでいます。1663年には英国が島を押さえ、その後、英国とフランスは島をめぐって14回も争いました。持ち主が何度も入れ替わったことから、ギリシャ神話で奪い合いの的になった美女ヘレネーになぞらえて「西のヘレネー」と呼ばれたこともあります。英国の支配が固まったのは、ナポレオンが敗れた後の1814年でした。 もう少し詳しく 聖女ルチアとはどんな人か。バチカン・ニュースの聖人紹介によると、ルチアは3世紀の終わりに、シチリア島の町シラクサの裕福な家に生まれました。父を早くに亡くし、母エウティキアに育てられます。母の病を治してもらおうと、二人で近くの町カターニアにある聖アガタの墓に参ったあと、ルチアは結婚せずに信仰に身をささげること、持参金を貧しい人に分け与えることを決めました。これを恨んだ婚約者が、キリスト教を禁じたディオクレティアヌス帝の勅令に背いているとして総督に訴え、ルチアは304年12月13日に処刑されたと伝えられています。伝わる話には、牛に引かせても動かなかった、火にかけても燃えなかったといった奇跡の場面も含まれ、細部は後世の殉教伝によるところが大きい人物です。それでも、神話の登場人物ではなく、ローマ帝国の迫害の時代に実在した殉教者として古くから崇敬されてきました。12月13日はルチアの祝日で、セントルシアではこの日が「ナショナル・デー」になっています。 誰が名前をつけたのかは、はっきりしない。島でよく語られるのは、12月13日にフランスの船乗りが島に流れ着き、その日の聖人にちなんで名づけたという話です。ただし、これは伝説とされています。英語版ウィキペディアによると、1500年のフアン・デ・ラ・コサの地図では、この島は「エル・ファルコン」と書かれていました。1520年にバチカンで作られた地球儀には「サンクタ・ルキア」とあり、フランス人が住みつくより前に、スペインの探検者たちがすでにこの名で呼んでいた可能性があります。コロンブスが1502年の4回目の航海で島を見たという説もありますが、航海日誌に島の記述はありません。 「女性の名前の国はここだけ」の数え方。反例として一番よく挙がるのはアイルランドです。アイルランド語の国名「エール(Éire)」は、アイルランド神話で国土を名に負う女神エリウから来ていて、英語の Ireland もこのエリウに「土地」を意味する語がついた形です。ただエリウは神話の女神なので、「実在した女性」という条件をつけると外れます。もう一つの抜け道は「国」の範囲です。英国の海外領土セントヘレナ島(ナポレオンが流された島)も聖女ヘレナの名前ですが、独立国ではありません。女王や王女の名前がついた州や地方も世界にはいくつもありますが、どれも独立国ではありません。こうして「独立国」で「実在した女性」に絞ると、残るのがセントルシアというわけです。一方、男性の名前がついた国は、フィリピン(スペイン王フェリペ2世)やボリビア(シモン・ボリバル)をはじめ、数え方にもよりますが20前後あるとされ、差ははっきりしています。 人口あたりのノーベル賞受賞者が多い国でもある。セントルシアからは2人のノーベル賞受賞者が出ています。1979年に経済学賞を受けたアーサー・ルイスと、1992年に文学賞を受けた詩人デレク・ウォルコットです。ノーベル財団の記録では、ルイスは1915年1月23日、ウォルコットは1930年1月23日に、どちらも首都カストリーズで生まれました。15年違いで同じ誕生日、同じ町の生まれです。人口18万人ほどの国で受賞者が2人いるので、人口あたりの受賞者数は独立国で最も多いとされています。ルイスは開発途上国の経済の研究で、ウォルコットはカリブの歴史と複数の文化を背負った詩で評価されました。 海外の反応 1. 海外の名無しさん しかも人口あたりのノーベル賞の数も世界一なんだよ、2人。面白いのは、その2人が同じ誕生日だってこと。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 「人口あたり2個」って書き方だと、国民一人ひとりがノーベル賞を2個ずつ持ってることになっちゃうぞ。 3. 海外の名無しさん(>>2への返信) セントルシアの親「卒業するまでにノーベル賞2個も取れないの? 情けない」 4. 海外の名無しさん(>>2への返信) 真面目に計算すると、人口は20万人弱だから、だいたい9万人に1人が受賞者。それでも十分すごい。経済学のアーサー・ルイスと、詩人のデレク・ウォルコットだね。 5. 海外の名無しさん(>>4への返信) 調べたら本当に2人とも1月23日生まれで、しかも同じカストリーズ生まれだった。15年違いでこれは出来すぎだろ。 6. 海外の名無しさん クイズ番組なら「歴史上の女性にちなんだ国を一つ答えよ」で100万円、くらいの難問だな。 7. 海外の名無しさん(>>6への返信) 「どの女性でもいいですよ」って言われてもスタジオで固まる自信がある。なんでこんなに出てこないんだ。 8. 海外の名無しさん 国じゃなくて州ならけっこうある。カナダのアルバータ州は、ヴィクトリア女王の娘ルイーズ・キャロライン・アルバータ王女の名前から来てる。カナダ自体も、危うく「ヴィクトリアランド」になるところだったって話もあるし。 ※ 「ヴィクトリアランド」が国名の候補だったという話は広く語られているが、今回の資料では確認できなかった。 9. 海外の名無しさん(>>8への返信) オーストラリアなんて、同じ女性の名前が2つの州についてる。クイーンズランドとビクトリア、どっちもヴィクトリア女王。 10. 海外の名無しさん(>>9への返信) アメリカのバージニア州とメリーランド州も女王の名前だね。バージニアは「処女王」エリザベス1世、メリーランドはチャールズ1世の王妃ヘンリエッタ・マリア。植民地時代の名前がそのまま州名に残ってる。 11. 海外の名無しさん 惜しい、一番有名なのを忘れてるよ。アメリカ合衆国は「ミス・アメリカ」にちなんで名づけられたんじゃなかったっけ? 12. 海外の名無しさん(>>11への返信) 冗談なのは分かってるけど一応。アメリカは探検家アメリゴ・ヴェスプッチの名前を女性形にしたものだから、もとは男性なんだよ。ヨーロッパやアジアに合わせて女性形にしたらしい。 13. 海外の名無しさん 神話の女性まで広げるなら、アイルランドが入る。アイルランド語の国名エールは、女神エリウから来てるから。 14. 海外の名無しさん(>>13への返信) だから「歴史上の女性」って言い方にしてるんだと思う。エリウは実在しないけど、聖ルチアはローマ帝国の迫害で殉教した、実在の人物とされてるからね。 15. 海外の名無しさん(>>13への返信) 言語学の立場だと、エリウという名前自体がもっと古いケルト語の「大地」みたいな語から来てて、女神の名前が先なのか土地の名前が先なのか、という話になるらしい。どっちにしても実在の女性ではないね。 ※ エリウの名の語源には諸説ある。 16. 海外の名無しさん セントヘレナは? あれも聖女の名前だし、国みたいなものじゃないの? 17. 海外の名無しさん(>>16への返信) いまのところは英国の海外領土で、独立国じゃないんだよ。ナポレオンが流された島として有名なところ。将来独立したら、この豆知識は書き換えになるね。 18. 海外の名無しさん じゃあ実在の男性の名前がついた国はいくつあるんだ? 19. 海外の名無しさん(>>18への返信) すぐ思いつくのはフィリピン(スペイン王フェリペ2世)、ボリビア(シモン・ボリバル)、コロンビア(コロンブス)あたり。調べるとサウジアラビア(サウード家)、セーシェル(フランスの財務長官セシェル)、エスワティニ(ムスワティ2世)、サンマリノ(聖マリヌス)、セントクリストファー・ネイビス、セントビンセントなんかも出てくる。全部で20前後。 20. 海外の名無しさん(>>19への返信) こうやって並べると、聖人の名前がついた島国がカリブ海に固まってるのが分かる。セントルシアのすぐ南がセントビンセントで、どっちも聖人の名前なんだよな。 21. 海外の名無しさん 女性の名前つながりで言うと、モルドバはモルダっていう雌犬の名前から来てるって伝説があるよ。建国者が狩りに連れていった犬が川で溺れて、その川がモルダ川になったって話。 ※ 犬の名前の話は建国伝説で、モルドバという地名の由来には諸説ある。 22. 海外の名無しさん ハネムーン先として世界で2番目に人気なんだって。妻と行ったけど本当におすすめ。山と温泉と、うまい料理がある。 23. 海外の名無しさん(>>22への返信) 「世界2位」の統計はかなり怪しいと思う。島の大きさはマドリード市とほぼ同じなんだから、本当に2位なら新婚さんで島がぎゅうぎゅうになってるはず。 24. 海外の名無しさん セントルシアの国の日って、聖ルチアの祝日の12月13日なんだね。スウェーデンの光の祭り「ルシア祭」と同じ日。北欧でろうそくの冠をかぶってお祝いされてる聖女が、カリブの島国の名前にもなってるのは面白い。 まとめ セントルシアの名前は、304年にシチリアで殉教したと伝わる聖女ルチアから来ています。「女性の名前の国はここだけ」は、独立国に限り、女神エリウのアイルランドを外したときに成り立つ言い方です。コメント欄では州や海外領土の反例探しが盛り上がり、ノーベル賞受賞者2人が同じ誕生日だったという偶然に驚く声も多く見られました。 参考資料 バチカン・ニュース「シラクサのおとめ殉教者、聖ルチア」(英語) ノーベル財団「アーサー・ルイス 1979年ノーベル経済学賞」(英語) ノーベル財団「デレク・ウォルコット 1992年ノーベル文学賞」(英語) ウィキペディア英語版「セントルシア」(英語) 元ソース: 今日知った話:セントルシアは、歴史上の女性にちなんで名づけられた世界でただ一つの国 投稿 「実在した女性の名前がついた国は世界でここだけ」カリブの島国セントルシアと、4世紀の聖女ルチア は みんな知ってた?【海外の反応】 に最初に表示されました。…