2011年の春、アメリカ各地の道路沿いに「審判の日は5月21日」と書かれた看板が並びました。この予言を広めたのは、カリフォルニア州に本拠を置くキリスト教のラジオ局ファミリーラジオと、その信者たち。看板やラジオでの宣伝に使った額は、局の関係者の見積もりで約1億ドル(当時の為替で約80億円)にのぼるとされます。ニューヨークでは、自分の貯金14万ドルを丸ごと地下鉄やバス停の広告につぎ込んだ60歳の男性もいました。予言は外れ、10月21日に延ばした「世界の終わり」も来ませんでした。 ※注:「携挙(けいきょ)」は、キリスト教の一部の終末論で、世の終わりの前に神に選ばれた信者が天に引き上げられるとされる出来事のこと。英語では「ラプチャー」と呼ばれます。すべての教派が信じているわけではありません。 今日の知ってた? 📻 アメリカのキリスト教放送局ファミリーラジオは、創設者の一人で看板パーソナリティのハロルド・キャンピングが唱えた「2011年5月21日に携挙が起き、10月21日に世界が終わる」という予言を、看板やラジオで全米に宣伝した。かかった費用は局の職員の見積もりで約1億ドル。予言を信じた人の中には、自分のお金で広告を出す人もいて、ニューヨークの60歳の男性は貯金14万ドルをすべて地下鉄やバス停の広告に使った。 背景:ハロルド・キャンピングとファミリーラジオ ハロルド・キャンピングは1921年にコロラド州ボールダーで生まれ、カリフォルニア大学バークレー校で土木工学を学びました。第二次世界大戦中は政府の請負業者で技術者として働き、戦後は建設会社を興しています。宗教家としての出発点は1958年で、仲間とともにサンフランシスコのFMラジオ局を買い取り、これがファミリーラジオの始まりになりました。キャンピングはその年から局の代表を務め、1961年からは聴取者の電話に答える番組「オープン・フォーラム」の司会を続けます。局は1960年代に次々と放送局を買い増し、最盛期には全米150以上の地域に番組を届けるネットワークになりました。 キャンピングの特徴は、聖書の記述から年代を割り出す手法でした。1970年の著書では、天地創造を紀元前11013年、ノアの大洪水を紀元前4990年と計算しています。数字を積み上げて日付を導くこのやり方が、のちの予言の土台になります。元スレッドにも、朝の通勤中に彼の番組を聴いていたという人が「炎と硫黄の説教であると同時に、数学でもあった」と振り返るコメントがあります。 ただし、予言が外れたのは2011年が初めてではありません。1992年の著書『1994?』では、世の終わりを1994年9月6日と予告しました。この日に何も起きなかったため、9月29日、さらに10月2日へと日付を改めましたが、どれも当たりませんでした。2011年5月21日という日付を打ち出したのは2005年のことです。 もう少し詳しく 1億ドルはどこから来たのか。約1億ドルという額は、監査を受けた数字ではなく、ファミリーラジオで国際事業を担当していた職員マット・テューターの見積もりです。彼は2011年5月、米クリスチャン・ポスト紙の取材に、予言の宣伝費は主に寄付ではなく、局が持っていたテレビ局やFM局を売って得たお金だったと話しました。宣伝に使われたのは、ラジオ放送のほか、道路沿いの看板や、メッセージを描いたキャンピングカーです。AP通信の写真説明によれば、信者らは5,000枚を超える看板と20台のキャンピングカーの費用を出しました。キャンピングは予言の日を「各タイムゾーンの午後6時」に始まると説明し、信者側は世界で約2億人が天に引き上げられると主張していました。 自分のお金で宣伝した人たち。局の宣伝とは別に、個人で広告を出した信者もいました。ニューヨークのスタテン島に住む60歳のロバート・フィッツパトリックは、生涯の貯金14万ドルを使い、地下鉄の車内やバス停に約1,000枚の広告を出しました。文面は「全世界の大地震、史上最大! 審判の日 2011年5月21日」。彼は自費出版の本も出しており、5月21日の午後6時直前に巨大な地震が起きると考えていました。先のテューターも、主に労働者階級の家族が仕事を辞め、貯金を広告に注ぎ込み、中には家を差し押さえられた人もいたと語っています。 外れたあと、日付は10月21日へ。5月21日は何事もなく過ぎました。キャンピングは2日後の5月23日、その日に起きたのは目に見えない「霊的な」審判で、物理的な終わりは10月21日に来ると説明し直します。ファミリーラジオのサイトには、5月21日という「一日」が5か月続き、10月21日まで及ぶという趣旨の文章が載りました。集まった寄付を返すかと問われると、「まだ終わっていないのに、なぜ返すのか」と答えています。ところが6月9日、キャンピングは脳卒中で倒れて入院し、7月には長年続けた番組の司会からも退きました。10月21日も、前日にサンフランシスコ湾岸で中くらいの地震が2回あった以外は何も起きず、米公共ラジオNPRは「地球はまたも壊れなかった」と伝えています。 その後のキャンピングと局。2012年3月、キャンピングは日付を誤ったことを認め、日付を決めて予言したこと自体を「罪深いことだった」と述べました。ファミリーラジオは資産・職員・収入を大きく失い、2013年には主要な放送局の売却が報じられています。キャンピングは同年12月15日、自宅での転倒が原因で92歳で亡くなりました。局は彼の死後もその教えを引き継ぐとしていましたが、2018年10月にキャンピングの番組や著作の配布をやめ、後継者は「世界の終わりの日付を決めたこと」を悔い改めると表明しました。なお2011年9月、キャンピングは過去に世界の終わりを予言して外した人々とともに、「人を笑わせ、考えさせた」業績に贈られるイグノーベル賞を「受賞」しています。 海外の反応 1. 海外の名無しさん 「カモは毎分ひとり生まれてくる」って言い回しがあるけど、まさにそれを地で行く話だな。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 笑い話にしたくなる気持ちは分かる。でも普通の人が老後の貯金を全部これにつぎ込んだと思うと、正直ただただ胸が痛いよ。 3. 海外の名無しさん そもそも聖書には「その日がいつ来るかは誰も知らない」って書いてあるんだよね。まあ、聖書を最初から最後まで読んでる信者がどれだけいるかって話だけど。 4. 海外の名無しさん(>>3への返信) 残念ながらその通り。しかもそれを言ってるのはイエス本人なんだよ。本人の言葉より計算を信じちゃうのは不思議だよね。 5. 海外の名無しさん(>>3への返信) イエス「君たちが新しい日付を発表するたびに、こっちは半年ずつ延ばしてるんだよ」 6. 海外の名無しさん(>>3への返信) 皮肉なことに、俺は聖書を通しでちゃんと読んだのがきっかけで信仰をやめた側。読むと、こういう日付の計算がいかに無理筋か分かるよ。 7. 海外の名無しさん 名前がキャンピングで、予言が世界の終わり。「世界の終わりでキャンプ」って映画のタイトルみたいだ。 8. 海外の名無しさん(>>7への返信) ウィキペディアによると、ファミリーラジオは2018年にキャンピングの声が入った番組を流すのをやめて、彼の本の配布もやめたらしい。局としてもさすがに縁を切ったんだね。 9. 海外の名無しさん もう自分も年だけど、朝6時ごろ車で通勤しながら、わざわざキャンピングのAMラジオに合わせて終末の説教を聴いてたのを覚えてる。炎と硫黄の説教でありながら、半分は数学の授業みたいだった。聖書全体を照らし合わせて、黙示録と旧約聖書から正確な日付が出せるって本気で言ってたんだ。「この人どうかしてる」と思いつつ、妙に憎めなくてね。信じる人がいたのも分かる気がした。 10. 海外の名無しさん(>>9への返信) 分かる。深夜ラジオの「コースト・トゥ・コーストAM」を聴いてるときと同じ気分だ。UFOとか陰謀論とかの話を、信じてないのに毎晩聴いちゃうやつ。 11. 海外の名無しさん 本当に1億ドル全部を広告に使ったのか怪しくない? 資金集めの口実で、運営してる人たちの懐に入っただけなんじゃないかと思ってしまう。 12. 海外の名無しさん(>>11への返信) いや、局の職員の話だと、お金は主に持ってたテレビ局やラジオ局を売って作ったらしい。看板に何百万ドルも使って、そのあと局は資産も職員もかなり失ってる。儲け話としてはむしろ大失敗だよ。 13. 海外の名無しさん 携挙って、キリスト教全体の共通見解だと思われがちだけど、実際はアメリカの福音派の一部で広まった比較的新しい考え方なんだよね。カトリックとか多くの教派では、そういう教えはないはず。 14. 海外の名無しさん 素朴な疑問なんだけど、みんなに知らせて何がしたかったんだろう。ぎりぎりで悔い改めれば間に合うってこと? それだと、ずっと真面目に生きてきた人と、最後だけ慌てた人が同じ扱いになって不公平じゃない? 15. 海外の名無しさん(>>14への返信) 福音派にとっては、終末のことも含めて教えを広めること自体が一番大事な務めなんだよ。キリスト教のいろんな宗派は、2000年前からずっとイエスの再臨と終末に備えてきたわけで、その延長線上にある行動なんだと思う。 16. 海外の名無しさん 世界の終わりをわざわざ広告で宣伝する必要ってある? 終わるなら看板を見ようが見まいが同じだろうに。 17. 海外の名無しさん(>>16への返信) 信じてる側からすれば、終わる前に一人でも多くの人に知らせたいって理屈なんだろうね。地下鉄の広告に貯金を全部出した人も、たぶん本気で人助けのつもりだったんだと思う。 18. 海外の名無しさん うちのひいおばあちゃんの口癖が「黙示録を理解したって言う人は信用するな」だった。今になって、あれは名言だったと思う。 19. 海外の名無しさん 「その日、その時は、だれも知らない。天の使いたちも子も知らない。ただ父だけが知っておられる。ノアの時のように、人の子の来るのもそのようであろう」(マタイによる福音書24章36節〜)。聖書を根拠にするなら、まずここを読むべきだったよ。 20. 海外の名無しさん 終末を語る福音派の配信者のチャンネルをいくつか登録してるんだけど、新しい「携挙の日」が近づくと、動画が全部その準備の話になる。「あと2日です、皆さん、あと2日」って。で、当日が過ぎても何も起きないのに、間違ってたとも言わないし理由の説明もない。何事もなかったように普通の投稿を続けて、数か月後にまた次の日付を発表するんだよ。 21. 海外の名無しさん(>>20への返信) そう考えると、キャンピングは翌年に「日付を間違えた」と認めて、日付を決めたこと自体を罪深かったと言ってるだけ、まだ筋は通してるのかもしれない。被害が戻るわけじゃないけど。 22. 海外の名無しさん これは信教の自由の負の面だと思う。お金を集めた側は「まだ終わっていないのに、なぜ返すのか」と寄付の返金を断ったらしいし、宗教の看板を掲げていれば、ほかの分野なら詐欺として調べられるようなことも通ってしまう。 23. 海外の名無しさん(>>22への返信) 気持ちは分かるけど、国が「どの信仰が正しいか」を判断し始める方がよっぽど怖いよ。本人が本気で信じてたなら詐欺とも言い切れないし、線を引くのは本当に難しい。 24. 海外の名無しさん しかもこの人、1994年にも世界の終わりを予言して外してるんでしょ。一回外した人の二回目の予言に、ここまでお金が集まるのがすごい。 25. 海外の名無しさん(>>24への返信) 外した実績が評価されて、2011年にはイグノーベル賞までもらってるのが笑う。しかも過去に世界の終わりを外した予言者たちとの合同受賞っていうのがまた。 まとめ ファミリーラジオは、局の資産を売って得たお金も含め、約1億ドルとされる費用で「5月21日の携挙」を宣伝し、個人で貯金を注ぎ込んだ信者もいました。コメント欄では「聖書自体が日付は誰にも分からないと言っている」という指摘が多く、貯金を失った人への同情と、信教の自由とお金の問題をどう考えるかという議論も交わされていました。 参考資料 クリスチャン・ポスト「ファミリーラジオの職員、審判の日の宣伝費は1億ドルと推計」(2011年・英語) NPR(KUNC掲載)「壊れなかった地球、オークランドの伝道団体の予言をまたも退ける」(2011年・英語) FOXニュース「ニューヨークの男性、5月21日の終末を前に生涯の貯金を使い果たす」(2011年・英語) ウィキペディア英語版「ハロルド・キャンピング」(英語) 元ソース: 今日知った話:キリスト教放送局ファミリーラジオは「2011年5月21日に携挙、10月21日に世界の終わり」という予言の宣伝に1億ドルを使い、退職者の中には14万ドルを広告に使った人もいた 投稿 「2011年5月21日に携挙、10月21日に世界の終わり」その予言の宣伝に約1億ドルを使った放送局があった は みんな知ってた?【海外の反応】 に最初に表示されました。…