洒落怖383から。GW旅行中の車内で怖い話をしていたら、まさかの方向に転がっていく一本。 278: 名無しのオカルト 2025/05/06(火) 21:50:50.43 ID:3q1TP7U90 ゴールデンウィーク中に、友達数人で旅行に行った時の話。 4連休だから普段行けない場所まで行こうということになり、いくつか県を跨いだ観光スポットに車で向かうことになった。 俺、A、B、Cの4人で交代しながら運転して、道中バカ話とかして騒ぎつつ移動してたんだが、そのうち疲れが出てきたから、Aが「運転手が眠くならないように、怖い話でもしようぜ」と言い出した。 皆そういうのは好きな方だったから、言い出しっぺのA、それから俺とBは有りがちな怪談を語り合いながら再び盛り上がった。Cはあまり話さず、何故か楽しそうに微笑みながらそれを聞いてた。 2時間くらいして、ようやく目的地が近づいてきた頃、その時運転してたCが口を開いた。 「俺からも一つ、怖い話して良いか?今思いついた奴なんだけど」 ネタが切れ始めてた俺たちは、「おー、良いじゃん、頼むよ」なんて言いながらCの話に耳を傾けた。 以下Cの話。 引用元: ・死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?383 279: 名無しのオカルト 2025/05/06(火) 21:52:26.96 ID:3q1TP7U90 >>278 怖い話って言っても、幽霊とかは出てこないんだけどさ。飛行機事故の話ね。 あるベテラン機長が、いつも通り乗客を乗せてフライトに出たんだよ。同じくベテランの副操縦士と一緒に。 その機長は空に憧れて操縦士になって、10年間事故一つ起こさなかった、熱心で職務に忠実な信頼される人だった。 でも、最近はちょっと精神的な不調があって、そのフライトが終わったら休職する予定になってたんだ。 何事もなく飛行機が軌道に乗ってしばらく経った頃、副操縦士がちょっと催して、機長に断ってトイレに立った。その時彼は、「構わないよ。ごゆっくりどうぞ」と冗談めかして言っていたそうだ。 副操縦士は用を足して、ちゃっかり家族にメール送ったりなんかしたあと、トイレを出た。時間にしてほんの2分くらい。ちょっと時間かけちゃったかな、なんて思いながら、副操縦士はコクピットに戻ろうとドアに手を掛けた。 でも……そこで副操縦士は困惑することになった。ドアが開かないんだ。中から鍵がかかってる。 飛行機のコクピットって、テロ対策で鍵をかけると外からは絶対開かないようになってるんだよね。だから副操縦士は当然、ドアをノックして機長に呼び掛けた。「機長?私です、ドアを開けてください」……だけど、何も返事がない。 そうこうしている内に、機体が突然揺れ始めた。しかも前に傾き始めて、明らかに速度も上がってる。すごい勢いで高度が下がっていることに気付いた副操縦士は、慌てて勢いよくドアを叩いた。「機長!開けてください!高度が落ちています!」それでもやっぱり返事は無い。 機長が何らかの要因で突然意識を失ったのか?しかし、それでもオートパイロット機能が働くはず……何より、コクピットの鍵は機長が操作しないと閉まらない。 つまり今、機長は自分の意志でコクピットに閉じこもり、自分の意志で高度を下げている。その事実に気付いて、副操縦士は凍り付いた。 何度もドアを叩いて呼びかけるが、機長からは一向に返事がない。その間にも機体はグングン高度を下げて、揺れもひどくなっていく。異常事態に気付いた乗客が騒ぎ始め、乗務員がなだめようとするが、事態は何も変わらない。 その後も副操縦士や乗務員たちは必死でコクピットのドアを叩いて声を掛けたんだけど、機長は最後までドアを開けず、最終的に飛行機は墜落してしまった。生存者は誰一人いなかったそうだ。 280: 名無しのオカルト 2025/05/06(火) 21:53:37.37 ID:3q1TP7U90 >>279 後に回収されたフライトレコーダーでは、副操縦士がトイレに立った後、機長が静かに立ち上がって鍵をかけ、オートパイロットを解除する様子が記録されていた。そして彼は無言のまま、冷静極まりない様子で、機首を下げ続けていた。 記録の最後の方では、コクピットのドアを叩く乗務員たちの悲痛な声と、「高度が下がっています。機首を上げてください」という警告音だけが無情に鳴り響いていたそうだ。 以上、Cが淡々と語り終えると、後部座席のAとBは何とも言えない表情で顔を見合わせた。「まあ、怖いっちゃ怖いけど……そういう系かぁ」反応に困るな、といった感じでAが呟いて、Bは「まあいいじゃん。俺、結構ゾッとしたよ」なんて言ってた。 でも助手席に座ってた俺は、何だかものすごく嫌な感じがして運転席のCを見た。普段意識してなかったけど、他人の運転する乗り物に乗るって、要は命を預けてるってことだよな、と今の話を聞いて考えつつ、頭をよぎっていたのは、 (こいつ、なんで今こんな話したんだ?自分が運転してる時に……) 考えすぎか?と思いながらそのままCの方を見ていたら、Cは前を向いたまま、世間話するような口調で付け加えた。「で、こっからがこの話のオチなんだけど……」 それからあいつは突然、くるりと俺の方を向いて、生気のない目でニヤリと笑った。 「もし俺が……さっきの話の機長みたいな気分になってたら……お前らどうする?」 281: 名無しのオカルト 2025/05/06(火) 21:54:27.58 ID:3q1TP7U90 >>280 俺は一瞬凍り付いて、冗談よせよ、と笑おうとしたんだけど、その時ブオオオンとアクセルを吹かす音が車内に響いて車が加速した。俺はシートに押し付けられて、「おいおいおい!」と思わず声を上げた。 Cは俺を見ながら、口の端だけ吊り上げられたような笑みを浮かべてた。それから忘れられないのがあの目。今まで見たこともない、何か不自然に冷静でどこを見てるか分からない視線。俺は冗談抜きで死ぬほどビビった。 後部座席のAとBも「嘘だろ……」とか「止めろよ!シャレになってねえぞ!」とかCに声を掛けてるんだけど、Cはそのまま車を加速させ続ける。高速道路とはいえ、もう150kmくらい出てた。 俺はマジで怖くなって少しの間動けなかったんだが、前を見たらカーブに差し掛かるところだった。高架道路だからガードレールの向こうは何もない。いよいよヤバイ、と俺がCからハンドルを奪う覚悟を決めた時、 Cは唐突に前に向き直って、ゆっくりとアクセルを緩めた。それから、何事もなかったみたいにカーブを曲がり始めた。しばらく俺たちが何も言えずにCをポカーンと眺めていると、 「……悪い、お前らの反応が良過ぎてつい……今のも含めて怖い話な」 と申し訳なさそうに言った。AとBはほとんど抱き合いながら、「おいぃーー止めろよお前ぇ!ガチで怖かったわ!」「ちょっとチビっちまったじゃねえか!」と前に座るCの頭を叩いたりしてた。 俺も何か言おうとしたんだけど、思いもよらない恐怖から解放された安堵が強すぎて溜め息しか出なかった。 で、結局、そのままCの運転で目的地に着いて、予定通り旅行を楽しんだ後、今日の夕方帰ってきたわけなんだけど どうにもあの時のCの、生気のない目で不自然に笑ってる顔が頭から離れない。あんな顔演技でできるもんなのか? 心配になって旅行中に悩みとか無い?って何度か聞いたんだけど、「何でもない、ちょっとふざけただけ」としか返ってこなかった。 本当に何にもない事を祈る…… というわけでちょっとした恐怖体験でした。長文すまん。 管理人:車内で怪談を披露し合う、よくある構図から始まる話。語り手の「間」の作り方が妙にうまくて、読んでてこっちまで冷や汗をかいた。あなたなら、運転中の友達にこんな話をされたらどうする?コメ欄で聞かせてほしい。…