1 名前:煮卵 ★:2025/07/14(月) 10:12:37.30 ID:ep+dCRq59.net 選挙の投開票を巡り、根強く流布しているデマがある。 「投票用紙が書き換えられる」「開票所にスパイがいて結果を操作している」といった、意図的な「不正選挙」に関する言説だ。 そんなデマは今、ネット上に限らず、街角でも、まことしやかに語られている。 ◇大学生「県庁の偉い人が書き換え」 6月末、外国人排斥を訴えるデモが東京都内であった。マイクを握った若い男性は、懇願するように参加者へ語りかけた。 「皆さん、選挙に行ってください。でも、絶対にボールペンを持参してください。中国のスパイが投票所に紛れ込んでいるからです」 投票所に鉛筆だけが置いてあるのは、後から消すため――。そんな風説は何年も前から飛び交っている。根拠はないが、信じて筆記具を持参する人もいる。 2024年11月の兵庫県知事選投開票日の前日。神戸・三宮に斎藤元彦氏の演説を聞きに訪れた大学2年の女性(20)は、隣の友人にこう話していた。 「投票所の鉛筆で斎藤さんの名前を書くと、対立する人の名前に書き換えられちゃうんやって」 そう信じて、期日前投票にボールペンを持っていったという。 記者が声をかけると、女性はユーチューブで「斎藤氏を落選させたい『誰か』が投票用紙から名前を消している」という発信を見たと説明した。 初めて投票に行ったといい、「後で書き換えるために鉛筆しか置いていないんですよね」と語る。 「誰が書き換えるのでしょう」と問うと、「分からないけど、県庁の偉い人とか?」と返ってきた。 ◇二重の鍵に衆人環視 国政選でも地方選でも、日本には「不正防止」の仕組みがいくつもある。 最初に投票所を訪れた有権者は必ず、投票箱が空であることを確認する。 一般人から選ばれた立会人が同席し、投票後の箱には最低二つの錠前がかけられる。 さらに、鍵は別々の封筒に入れられ、開票所に運ばれる。これらは公選法と、その施行令で定められている。 総務省によると、投票に使う文房具は定められておらず、ボールペンも使用できる。 ただ、投票用紙を製造する「ユポ・コーポレーション」によると、用紙の素材はプラスチックを含み、特に鉛筆で書きやすくなっている。 ボールペンで書くとにじみやすいとして、注意を呼びかけている自治体もある。 開票所での不正も難しい。開票作業は誰でも見学でき、立会人もいる。いち早く結果を知りたい各陣営の関係者やマスコミも訪れ、衆人環視で作業は進む。 開票に携わる自治体職員は、筆記具の持ち込みも禁じられている。 ある県の選挙管理委員を務める男性は「休日返上で作業に携わる職員の多くが考えているのは、『一刻も早く、正確に』作業を終わらせて帰ること」と語る。 ◇過去には事件化した不正も もっとも、選管の職員らによる不正自体は実際に起きたことがある。 14年の衆院選では、仙台市で投票者数と実際の票数が合わず、選管職員が白票と持ち帰り票を水増しした。13年参院選の高松市でも、合わない集計をごまかすため、選管ぐるみで比例代表の特定候補に投じられた票を「0」と報告していた。 滋賀県甲賀市では17年衆院選の際、投票者数に対して開票数が足りず、選管職員が不足分を「白票」として計上。後から未開票の投票箱が見つかったが、職員は約400票を持ち帰って焼き捨てた。 いずれも、不正の動機は集計ミスの帳尻を合わせることだった。責任者や担当者は、公選法違反や封印破棄罪で立件された。 一方、票を書き換えるなど、特定候補を当選させるための不正が発覚した事例はない。 だが、意図的な票の書き換えが横行しているというデマは何年も消えることなく流れ続けている。 東京都選管は都議選後の6月下旬、X(ツイッター)に「SNS(交流サイト)上で、『開票所で不正が行われている』という誤った投稿があります。開票事務は公開しており、不正が行われることはありません」と投稿した。 選管がこういった呼びかけをするのは異例だ。 だが、その返信欄には変わらず、「なんで鉛筆で書かないといけないのでしょう」「潔白を証明してください」といった多くの書き込みが連なっている。 【春増翔太】 [毎日新聞] 2025/7/14(月) 6:00 引用元:…