1: 冬月記者 ★ ole0y7oP9 2025-11-22 08:49:24 中学野球の危機「初心者の居場所がなくなる」 選手は微増も…部活動が直面する“難題” 国の方針で公立中学部活動の「地域移行・地域展開」が進んでいる。少子化や教員の働き方改革に対応するため、学校の部活動の指導を地域のクラブ・団体に移行する取り組みだ。 しかし、野球界では「中学から野球を始めたいという初心者の子どもたちの居場所がなくなってしまうのではないか」と危惧する声が大きい。今月15日、プロ・アマチュア合同で初めて開催された「全日本野球サミット」でも、この問題が話し合われた。 栗山英樹氏(日本ハムチーフ・ベースボール・オフィサー)、東京・早実高3年の夏に甲子園優勝投手となり、早大、日本ハムでも活躍した斎藤佑樹氏をはじめ、各野球団体、都道府県団体の関係者ら約120人が、都内のホテルに集まり開催された第1回「全日本野球サミット」は、「中学部活動の支援」がテーマとして掲げられた。 栗山氏と斎藤氏は今年6月、中学球児応援プロジェクトのアンバサダーに就任した経緯もある。 中学部活動の地域移行・展開へ向けて、スポーツ庁は来年度から「認定制度」を導入する。 学校の部活動に代わって指導を行う地域のスポーツクラブ、団体に対し、活動時間(平日は約2時間、土日は約3時間までとし、週2日以上休養日を設ける)、ハラスメント防止などの要件を満たせば、自治体から財政支援などを受けられる仕組みである。 しかし、スポーツ庁・地域スポーツクラブ活動アドバイザーの石川智雄氏は「全日本野球サミット」のシンポジウムで、 「実は一部で『この認定制度の要件では、強いチームをつくれない。認定も支援もいらないから、行政の干渉を受けず、勝手にチームをつくらせてもらう』という声が上がっています。そうなると上手い子だけが集まり、初心者や野球を楽しみたい子たちの居場所がなくなってしまう。結果的に野球人口が減ってしまうのではないか」と危機感を露わにした。 「初心者の子どもたちが中学で野球部の門を叩くケースが多い」 野球人口の激減が指摘され始めて久しい。実際、中体連(日本中学校体育連盟)の調査によると、中学の軟式野球部員数は2001年度には32万2229人もいたが、今年度は13万9240人で18万人以上減っている。 一方で、実は、右肩下がりだった部員数が昨年度、プラス420人とわずかながら20年ぶりに増加。さらに今年度も4690人増えているデータがある。 石川氏は「原因は明らかではありませんが、2023年のWBCで侍ジャパンが優勝したことや、大谷翔平選手(ドジャース)の活躍が影響しているのかもしれません」と分析した上で、「小学校の時に野球をしていなかった初心者の子どもたちが、中学で野球部の門を叩いているケースが全国的に多いのが特徴です」と明かした。 中体連軟式野球競技部競技部長の土屋好史氏は「一番避けたいのは、せっかく野球をやりたいと考えている小学生に、中学生になった時に野球ができる環境が用意できないことです」と強調した。 現在、埼玉県川口市の中学校教員で軟式野球部の顧問を務めるかたわら、中学軟式野球チーム「川口クラブ」のGMとして活動している武田尚大氏は、 「川口クラブは“初心者からプロ野球選手を目指す子たちまで”をモットーに、3つのカテゴリーに分けています。どのレベルでやりたいかを自分で選べるシステムです。レギュラーを目指して切磋琢磨してもらう“トップチーム”、とにかく試合経験を積ませる“ミドルチーム”、まだ自信のない子向けに丁寧に教える“基本スキル獲得チーム”の3つで、携わるスタッフはそれぞれのレベルに合わせて指導しています」と紹介。多様な子どもを受け入れられる体制を整えている。 川口クラブの指導スタッフ41人の内訳は教員39人、医学療法士1人、大学生1人。 部活動の地域移行・展開へ向け、兼職兼業届を出し教育委員会の許可を得た教員が「有償ボランティア」として指導している。指導者が教員ならば、指導方針は中学の部活動と変わらないものが保証されそうだ。 武田氏は「とはいえ、現状で指導者の待遇は半日500円、1日中やっても3000円。実質指導者負担で賄っている部分もたくさんあります。せめて赤字にならないように、もう少し払えて、みんなが満足できる持続可能なスポーツクラブを目指しています」と抱負を述べた。 中学から野球を始めたい初心者を、いかに掬い上げて競技人口維持につなげるか。 続きはリンク先…