
女児のADHDは発見されにくい。なぜ静かに苦しみ、思春期以降に悪化するか? 一般的に、小学生の男児が注意欠陥・多動性障害(ADHD)に苦しんでいるだろうと予測することは容易である。 しかし、女児は、成人女性も含めてADHDと診断されることが少ないため、病名を知ることなくその症状に苦しんでいるのだ。なぜこうしたことが起きるのか、説明したい。 注意欠陥・多動性障害(ADHD)は基本的に男児に起こりうる、との誤解がある。 しかし実際は、女児の診断される頻度が数倍低いだけである。ある報告によると、ADHDの女性の50~75%が、自分の診断を知らずに生活しているという。 これはADHDの女性たちの生活、仕事、自尊心に影響し、深刻な健康問題や法的問題にまで発展する可能性がある。 ●落ち着きのない男の子、だけじゃない 【中略】 ADHDという言葉から連想されるのは、教室で飛び跳ねる小学生である。しかし、この症状は男子に限ったことではない。臨床心理学者でネイキッド・ハート基金の専門家であるタチアナ・モロゾワは、 「女性や少女にも、男性や少年と同じADHDの症状が見られます。しかし、女性の場合、不注意、過剰な社交性、忘れっぽさ、過剰なおしゃべり、時間管理の困難さなどが多くみうけられ男性の場合、多動性や衝動性がより多くみうけられるのです」と語る。 【中略】 もうひとつの理由は、ADHDの女児や女性は不安障害やうつ病を発症しやすく、注意欠陥に伴うADHDの症状をさらに覆い隠してしまうため、診断やケアが行き届かないということだろう。 また、女児がADHDと診断されるのは、男児より平均5年遅い。エストロゲンが分泌される思春期以降に症状が顕著になるからだ。 男児の場合、思春期を迎えるとADHDの症状は通常減少するが、女児の場合は違う。女性のADHDの重症度は、ホルモン周期によって決まることが多い。 月経前のホルモンの変動は、症状の悪化につながるのだ。さらに、エストロゲンとプロゲステロンのレベルが上昇すると、ADHD治療薬の効果が減少する可能性がある。 このように、明らかな性差があるにもかかわらず、研究は主に男性のADHDに焦点を当てている。 女性のADHDを研究する科学的研究の量は徐々に増えてきているが、男性や男児に関する同様の研究よりもまだ少ない。 さらに、ADHDの外面は社会的偏見に影響される。一般的に女性は、衝動的な浪費、気分の落ち込み、せっかちな性格があると信じられている。 その結果、医療的ケアが必要な人が診断やサポートを受けられる機会が限られるのだ。 続きはForbes JAPAN 2023/11/09…