1: 2025/09/29(月) 07:11:36.88 新型コロナ禍の苦境を脱した米国有数の観光地ラスベガスが、トランプ米政権下で再び低迷している。8月末に発表された7月の旅行者数は、前年同月比で12%減少した。トランプ政権の関税・国境政策や、オンラインカジノ流行の影響が指摘されている。(米ネバダ州ラスベガス 後藤香代、写真も) 空席目立つスロットマシン 大型カジノホテルが集まるネバダ州・ラスベガスの中心部ストリップでは8月下旬、きらびやかな街並みとは対照的に人通りはまばらで、カジノにずらりと並ぶスロットマシンも空席が目立った。 年に1度はラスベガスを訪れるというカリフォルニア州のエディ・ゴンザレスさん(56)は、「海外からの観光客が明らかに減っている」と街の雰囲気の変化に戸惑っていた。 ラスベガスの旅行者数と前年同月比の増減率 ラスベガス観光局の統計によると、旅行者の減少傾向は第2次トランプ政権発足直後の今年2月に始まり、2~7月の旅行者数は前年同期比9%減となった。 ウェートレスとして働くジョセフィーナ・ウルタードさん(48)は、今のラスベガスの状況を「トランプ・スランプ(トランプ不況)」と呼ぶ。昨年は1日最低100ドルを稼いだチップの額は6割ほど減る一方、ガソリン代や食費などは値上がりし、生活はコロナ禍以上に苦しい。「トランプは物価を下げると言ったのに状況は悪化している」と嘆く。 リゾート価格、水1本3900円 ネバダ大ラスベガス校ビジネス・経済研究センターのアンドリュー・ウッズ所長は、ラスベガス低迷の要因として、海外からの観光客で最も多かったカナダ人旅行者の減少を挙げる。 ウッズ氏の集計によると、1~7月にカナダの航空会社を使ってラスベガスを訪れた人は前年同期比約16%減となった。カナダ紙「グローブ・アンド・メール」によると、トランプ政権の関税政策や国境管理の厳格化を理由に、米国旅行を取りやめる人が増えている。 旅行者は物価高騰にも苦しむ。米経済誌フォーブスは今月3日、「消費者はラスベガスのホテルの駐車場やプールの料金などあらゆる高コストに嫌気が差した」と報じた。ある高級リゾートでは、ペットボトルの水が1本26ドル(約3900円)で販売されている。 ウッズ氏は「関税による価格転嫁や、入国審査の厳格化、ビザ(査証)の手数料値上げなどの不確実性が、旅行者を米国から遠ざけている」と分析する。 オンラインカジノの急成長も オンラインカジノの流行もカジノの街に打撃を与えている。 米国ゲーミング協会によると、昨年の全米のギャンブル収益は720億4000万ドル(約10兆8000億円)で前年比7・5%増となった。このうちオンラインカジノは28・7%増と急成長する一方、従来型カジノは1%増にとどまる。 ネバダ州など全米各地の司法長官は8月上旬、海外の違法オンラインカジノへの対応を強化するよう求める書簡を連名で米司法省に提出した。書簡では、違法オンラインカジノによる米各州の税収損失は年計40億ドル以上に達するとの推計を引用し、「州の税収と経済的利益を奪う」などと訴えている。 読売新聞 2025/09/29 06:30…