「あの隙間を無理やり抜けて、稼いだ1秒にそれだけの価値はありましたか」——朝のカフェで、見知らぬ中年男性からそう声をかけられた22歳の男性がいる。彼はその一言に、胸を張って言い返してしまった。海外の掲示板に投稿されたこの告白は、笑い話としては書かれていない。コーヒーを受け取るまでのわずか数分のあいだに、彼は自分の足で謝りに戻ることになる。 ※注:「切り返し」は、狭い道で前進と後退を何度か繰り返して車の向きを変える運転操作のこと。英語圏では「3ポイントターン(3回の動きで向きを変える)」と呼ばれ、運転免許の教習でおなじみの操作でもある。「ハイビーム」は遠くまで照らす明るいほうのヘッドライトで、後続車がこれを何度も点滅させるのは、日本でいうパッシングと同じく「腹を立てている」という合図。窓から中指を立てる仕草は、英語圏では相手をかなり強く侮辱する意味になる。 何をやらかした? 📌 22歳の男性が出勤前、住宅街で切り返しの最中だった車を、隙間ができた一瞬に強引に追い抜いた。クラクションを鳴らされ、後ろからハイビームを浴びせられたので、窓から中指を立てて応じた。その直後に立ち寄ったカフェで、相手の男性と鉢合わせ。「あの1秒に価値はあったのか」と言われて頭に血がのぼり、胸を張って言い返してしまう。相手が黙って引き下がったあと、彼はコーヒーを受け取るなり自分から謝りに行った。 事の発端 出勤前に、コーヒーを1杯だけ 投稿者は22歳の男性で、大学に通いながら働いている。その日は職場へ向かう道すがら、いつものカフェでコーヒーを買っていくつもりだった。誰にでもある、なんでもない朝である。 通っていたのは住宅街の道。そこで前方の車が止まった。長めの車体の車が、道路脇の家の駐車スペースに後退で入りながら、向きを変えようとしていたのである。日本でいう切り返しで、車体が長ければ、当然そのぶん手間も時間もかかる。何度か前後しなければ収まらない。 隙間ができた、その一瞬 投稿者は、待てなかった。本人が後になって使った言葉をそのまま借りれば「完全にせっかちだった」。相手が後退した拍子に、車一台がぎりぎり通れるだけの隙間ができた瞬間、アクセルを踏んでそこを抜けていったのである。 当然、相手はクラクションを鳴らした。そして投稿者の車の後ろについて、ハイビームを何度も点滅させてきた。「今のは何だ」という抗議である。ここで投稿者がしたことは、彼自身が「幼稚だった」と認めているとおりのことだった。運転席の窓から手を出して、中指を立てたのだ。 カフェはこの住宅街の道を抜けた先にあった。投稿者が駐車場に車を入れると、相手の車はそのまま通り過ぎていった。これで終わり——本人はそう思っていた。相手が少し先の路上に車を停めたことには、まったく気づいていなかった。 やらかしの一部始終 背後から届いた、一言だけ 店に入り、注文を済ませたところだった。ドアが開いて、ひとりの客が入ってくる。中年の男性である。投稿者は最初、その人がさっきの車の主だとは気づいていない。気づいたのは、相手がこう声をかけてきたときだった。 「なあ、あの隙間を抜けて稼いだ1秒に、それだけの価値はあったのか」 言い方としては、かなり抑えたほうである。怒鳴ってもいないし、胸ぐらをつかんでもいない。それでも投稿者は、この一言でかっとなった。本人の表現では「即座にカチンときた」。 胸を張ってしまった数十秒 ここから先が、投稿者が今も後悔している部分である。彼は胸を張り、相手に向かってまくし立てはじめた。 「切り返しもまともにできないなら、免許を取り直してこいよ」 「文句があるなら、いくらでも相手になるぞ」 要するに、交通マナーの話ではなくなっていた。運転がどうという指摘に対して、投稿者は「やるのか」という次元まで一気に引き上げてしまったのである。彼が自分を許せないのは、まさにこの飛躍のところだった。 相手は、そこで言い合いをやめた 投稿者が食ってかかった瞬間、相手の男性は会話を打ち切った。何も言い返さず、黙ったまま、投稿者がその場を離れるのを待った。そして投稿者が離れてから、ようやくカウンターに歩いていって、自分のコーヒーを注文した。 言い返してこない相手を前にして、勝った気分になるかというと、そうはならなかった。投稿者は自分のコーヒーができあがるのを待ちながら、ひたすら気分が悪くなっていったという。同じ店内で、コーヒーが出てくるまで逃げ場のない数分だった。 その後 コーヒーを受け取った投稿者は、そのまま店を出なかった。相手の男性のところへ歩いていって、こう言った。 「さっきのは、せっかちで失礼でした。申し訳ない」 そして握手のために手を差し出した。相手はその手を握らなかった。ただ、軽くうなずいた。それが、この朝の幕引きだった。 それ以来ずっと罪悪感が残っている、と投稿者は書いている。自分は人を威圧するような人間になりたくない。あのときの自分は「強い男を気取りたいだけの、乱暴なばか」に見えたはずだ、と。そして、かっとなるのが初めてではないことも正直に認めている。その場では毎回、自分のほうが正しいと思ってしまう。終わってから、ひどい気分になる。自分の無分別で誰かの一日を台無しにしたと思うのが、いちばんつらい——だから、その場でプライドに邪魔をさせないためにどうすればいいか、助言がほしい。それがこの投稿の趣旨だった。 投稿者はコメント欄で、自分の側の事情をもう少し具体的に書き足している。ひとつは体格の話で、相手の男性より自分のほうがかなり体が大きかったこと。つまり「相手が怖かったから身構えた」のではなく、自分が相手を怖がらせられると分かったうえでやっていた、ということである。「恐怖からの行動なら、まだ言い訳のしようもあった。でも純粋にプライドと自尊心からだったので、それに屈した自分が嫌でしかたない」。大人の対応をしたのは相手のほうで、自分もそういう人間になりたい——というのが、彼が繰り返し書いていることだった。 もうひとつは、専門家に相談したい気持ちはあるが、大学生の身では費用が出せないという話。「カウンセリング代は出せないのにコーヒーは買ってるじゃないか、という矛盾は自分でも分かっています」と、そこは自分で笑っていた。 海外の反応 1. やらかし名無しさん まだ22歳だろ。今のうちに怒りとの付き合い方を専門家と一緒に整理しておけば、この先の人生が本当に楽になる。早く手を打った人ほど得をする話だと思う。 2. やらかし名無しさん(>>1への返信) それに尽きる。今回は相手が引いてくれたから朝のコーヒーで済んだけど、引かない相手だったら傷害事件の被告席にいた可能性が普通にある。運が良かっただけだと思ったほうがいい。 3. やらかし名無しさん(>>1への返信) 自分も通った。カウンセリングで教わったのは大層なことじゃなくて、言い返す前に一度息を吸って何秒か置く、それだけ。昔は考える前に体が反応してたので、この「間」を作れるようになっただけで生活が変わった。 4. やらかし名無しさん これだけ若いのに自分の振る舞いをこう捉えられるのは、正直めずらしい。自分は40歳だけど、いまだに22歳の頃にやらかしたことをふと思い出す。後悔というより、あのとき見えてなかったものが今なら見える、という感じで。近道はないよ。少しずつ変わるだけ。 5. やらかし名無しさん(>>4への返信) そう、そこを楽しめるようになるといい。時間はかかるけど「あっ、そういうことだったのか」と腑に落ちる瞬間が年々増えていく。あの感覚は結構クセになる。 6. やらかし名無しさん 50歳のおじさんから一言。あなたは一番大事なところをちゃんとやってる。ただ、5分ばかり遅かっただけだ。せっかちになる、相手に指摘される、自尊心が「絶対に負けられない」と言い出す、気づいたらいい大人ふたりがコーヒー1杯を巡って縄張り争いをしてる。でも興奮が引いたあと、誰にも説得されないうちに自分でおかしいと気づけた。それは立派だよ。 7. やらかし名無しさん(>>6への返信) 握手を返してもらえなかった件で一日引きずってるみたいだけど、受け取るかどうかは相手の自由だからね。謝罪はこちらから渡すもので、受け取ってもらえたかどうかで価値が決まるものじゃない。ちゃんと差し出した、それで十分だよ。 8. やらかし名無しさん 謝ったのは偉い。ただ、そこを称賛一色にするのは違う気もする。切り返し中の車を無理やり抜けた時点で、もう相手の一日には手をつけてるわけで。謝れる自分に酔わないで、次はその手前で止まってほしい。 9. やらかし名無しさん(>>8への返信) 言いたいことは分かるけど、あの状況でその場を離れずに謝りに戻れる人って本当に少数派だと思う。ほとんどは車に乗ってから「ちょっとやりすぎたかな」で終わり。手前で止まれるようになるのが理想なのは同意だけど、今回のは今回ので十分えらい。 10. やらかし名無しさん 片側二車線の道で、右車線を走ってたら急に幅寄せされて縁石に乗り上げた。ぶつけられてはいないけどホイールが歪んだので路肩に寄せた。降りながら頭の中で選んでたんだ。「大丈夫ですよ」で済ませるか、怒るか。自分は怒るほうを選んで、相手に浴びせる質問まで用意していた。ところが降りてきたのは、首にコルセットを巻いて松葉杖をついた女性だった。立っているのもやっとの状態で、その場で修理代を小切手で払うと言ってくる。少し前に後ろから追突されて家族の車が全損、そのままトラックに挟まれて入院していたそうだ。ようやく運転許可が出て、友人の車を借りていたところだった。首が回らないのと、車の感覚が違うので、こちらが見えていなかったらしい。自分はそのとき、青い車の運転手というだけで相手を裁いていた。降りてきて初めて、この人も人間なんだと分かった。 11. やらかし名無しさん(>>10への返信) 「青い車の運転手というだけで裁いていた」というところ、かなり刺さった。運転中って本当に、相手が車の形にしか見えなくなる。中に人が乗っていることを忘れたまま怒っている。 12. やらかし名無しさん(>>10への返信) 自分も駐車場で散々もたついてる車に苛立って、追い抜きざまに睨みつけたことがある。運転席にいたのは、ハンドルにしがみつくようにしているおばあさんだった。あれ以来、前の車が遅いときは「たぶん何か事情がある」と口に出して言うようにしてる。 13. やらかし名無しさん どっちもどっちだと思うよ。相手だってカフェまで追いかけてきて一言言ってるわけで、そこで流すこともできたはずでしょ。投稿者が悪いのは大前提として、相手のほうも完全な被害者というわけではないと思う。 14. やらかし名無しさん(>>13への返信) その見方はちょっと苦しい。相手だってコーヒーを買いに来ただけかもしれないじゃないか。実際ちゃんと注文して帰ってるんだし。動機は誰にも分からない。投稿者は自分が悪いと認めて助言を求めてるのに、そこで相手を持ち出すのは、内省の話としては筋が違うと思う。 15. やらかし名無しさん 怒りの正体をもう少し掘ってみるといいよ。「待たされる」ことの何がそんなに嫌なのか。だいたいの場合、怒りに見えているものの中身は行き場のない焦りとか無力感だったりする。誰かがもたついているのを見たときに自分の何が刺激されているのか、そこを言葉にできると扱いやすくなる。 16. やらかし名無しさん 学生でお金が出せないなら、まず大学の窓口に相談してみて。学生向けに無料か格安の相談先を紹介してくれるところは多いし、学内に心理の学科があるならそこ経由でもいい。自分もその年齢で使っておけばよかったと本気で思ってる。 17. やらかし名無しさん(>>16への返信) 実際に使った側だけど、予約が数週間待ちだったこと以外は文句なしだった。学費に含まれてるようなものだから、使わないのはもったいない。 18. やらかし名無しさん 自分も10歳ほど上だけど、あなたくらいの頃は似たような短気だった。今はだいぶ落ち着いた。効いたのは、その場で「これを言って自分は何を手に入れるんだ?」と自分に聞くこと。言い返した瞬間は最高に気持ちいいんだけど、その快感は驚くほど早く消えて、あとにはもっと上手にやれたはずの反省だけが残る。 19. やらかし名無しさん 胸を張って詰め寄ることが男らしさだと、自分も昔は思っていた。今は逆だと思ってる。感情の手綱を握れていない状態は、男らしさから一番遠い。かんしゃくは、まだ感情の扱い方を覚えている途中の子どもには当たり前のことで、大の大人がやることじゃない。 20. やらかし名無しさん 気づけるだけで十分に少数派だよ。世の中の大半は、自分が正しいと思い込んだまま一生を終える。過剰なプライドは本当に人を殺しかねないし、自分も一度それで死にかけた。早いうちに気づけたのは大きい。 21. やらかし名無しさん(>>20への返信) うちの親族にそのタイプがいる。どんなに過剰に反応して小さな話を大ごとにしても、最後は必ず「向こうにも非がある」に着地する。結果として、もう何年も口をきいていない身内がいる。自分が悪かったと言えるかどうかで、そこが分かれるんだと思う。 まとめ 切り返し中の車を強引に抜き、抗議されて中指を立て、鉢合わせたカフェで胸を張って詰め寄る。ここまでなら、どこにでもある朝の小競り合いである。この投稿が読まれたのは、そこから数分でコーヒー片手に謝りに戻り、その日のうちに「自分はこういう人間になりたくない」と書き込んだところだった。コメント欄は「よく引き返した」という声と「そもそも抜く前に止まれ」という声で割れつつ、多くの人が同じ一言を残している。22歳でそこに気づけたなら、まだいくらでもやり直せる、と。 元ソース: やらかした——自分の短気が恥ずかしい The post 「あの隙間を抜けて稼いだ1秒に、それだけの価値はあったのか」と言われて胸を張ってしまった話 appeared first on やっちまった!海外のやらかし告白.…