ごはんの皿を置くたびに、3年間ずっと同じ一言をつぶやいてきた。「Bone Apple Tiddies」——意味は「召し上がれ」。誰に聞かせるでもない、自分がクスッとするためだけの冗談だった。ところが先週、飽きてそれを言うのをやめたとたん、猫がごはんを半分残すようになったという。海外の掲示板に投稿された、世界一かわいい形で退路を断たれた飼い主の告白である。 ※注:「Bone Apple Tiddies(ボーン・アップル・ティディーズ)」は、フランス語の「Bon appétit(ボナペティ=召し上がれ)」をわざと盛大に綴り間違えた言い回し。海外のネットでは定番のネタで、意味そのものではなく「間違え方」のほうが笑いどころという種類の言葉遊びだ。日本語に訳すと持ち味が消えてしまううえ、猫にとってはこの音の並びこそが合図なので、この記事では原文のまま表記する。 何をやらかした? 📌 3年前に保護施設から迎えた猫「キウイ」に、ごはんを出すたび「Bone Apple Tiddies」と唱え続けた投稿者。自分が笑うためだけの冗談だったが、1日2回×3年で完全に儀式化していた。先週、言うのに飽きてやめたところ、キウイがごはんを半分残すように。試しにもう一度唱えたら、皿をきれいに完食した。投稿者は一生この言葉を言い続ける覚悟を決めた 事の発端 3年前、保護施設からやってきた1匹の猫 投稿者がその猫を引き取ったのは3年前のこと。もとは野良で、保護施設で新しい家族を待っていた一匹のメス猫だった。名前はキウイ。家に来たその日から、ごはんは朝と晩の1日2回と決まっていた。 最初の一言は、ただの思いつきだった。皿を床に置くとき、投稿者は「Bone Apple Tiddies」と唱えた。意味としては「召し上がれ」でしかない。ただし、わざと盛大に綴りを崩したほうの言い方だ。誰かに聞かせるためでも、猫に何かを教えるためでもない。自分がひとりでクスッとするためだけの、しょうもない冗談である。 1日2回、3年間、一度も欠かさず 投稿者は自閉症で、決まった手順を繰り返すのが好きな性分だという。だから最初の冗談は、本人が意識しないうちに手順そのものに溶け込んでいった。缶を開ける、皿に盛る、床に置く、「Bone Apple Tiddies」と唱える、そして毎回ひとりで笑う。この4番目と5番目が抜け落ちたことは、3年間で一度もなかった。 単純に計算すれば、朝と晩で1日2回、それが365日の3年分。2000回を軽く超える。投稿者にとっては口ぐせ以上のものではなかったが、キウイにとってはそうではなかった。皿が置かれて、あの音が聞こえて、そこで初めて「ごはんの時間」が完成する。3年かけて、その順番が猫の頭のなかにきっちり刻み込まれていたのである。 やらかしの一部始終 先週、ついに言うのに飽きた そんなある日、投稿者はふと唱えるのをやめた。特別なきっかけはない。3年も同じことを言い続ければ、さすがに飽きもする。皿を置いて、そのまま台所に戻る。それだけのことだった。 半分残して、こちらを振り返る 異変に気づいたのは、それから数日後だ。キウイがごはんを残すようになっていた。食欲がないわけではない。いつもどおり勢いよく食べ始める。ところが投稿者がその場を離れると、食べる口を止めて、こちらをじっと振り返るのだ。何かを聞き逃したことに気づいて、耳を澄ませているような顔で。そして皿の半分ほどを残したまま、ふらりと歩き去ってしまう。 体調が悪いのか、フードが合わなくなったのか。投稿者にはしばらく理由が分からなかった。そして今日、だめでもともとと思いながら、もう一度あの言葉を唱えてみた。「Bone Apple Tiddies」。キウイは皿の中身をきれいに完食した。 その後 こうして投稿者は、自分が3年かけて何を作り上げてしまったのかを理解した。自分を笑わせるためだけの冗談が、いつのまにか猫の食事に欠かせない合図になっていたのである。本人の結論はこうだ。「どうやら私は、この先ずっとこれを言い続ける運命らしい」。ちなみに投稿者は最近、猫が肉球で押して意思を伝えるボタンの訓練を始めたところで、コメント欄では「そのボタンにあの言葉を録音しておけば、猫が自分で押して自分に召し上がれと言うようになる」という助言(というより悪魔のささやき)まで寄せられている。 なお、投稿には後からキウイの写真も追加された。まもなく6歳。舌の先がいつもちょこんと出たままの顔をしているのが特徴で、獣医に診てもらっても原因は分からず、痛がる様子もないという。投稿者いわく「ただのちょっと変わった子」。結果として、この顔がコメント欄の話題を半分ほど持っていくことになった。 海外の反応 1. やらかし名無しさん 猫の家畜化というのは、要するに猫がいつまでも自分を子猫だと思い、飼い主を親だと思い続けるということなんだよ。キウイがあなたの合図を待っているのも、その延長線上にある行動だと思う。 2. やらかし名無しさん(>>1への返信) へえ、面白いな。うちの猫も年相応に心が大人になっていくものだと勝手に思い込んでいたけど、あいつはずっと生後4か月のままだったのか。ここ数年の理不尽な要求の数々に、急に説明がついた気がする。 3. やらかし名無しさん 待ってくれ、行儀が悪いのは猫じゃないだろ。ちゃんと作法どおりに食事を出していたのに、途中で勝手にそれをやめたのは飼い主のほうだ。キウイはむしろ礼儀正しすぎるまである。 4. やらかし名無しさん(>>3への返信) 投稿者です。ぐうの音も出ません。おっしゃるとおり無礼を働いたのは完全に私のほうなので、おやつを大量に献上して詫びを入れておきます。 5. やらかし名無しさん 身も蓋もない話をすると、猫は人間の言葉の意味そのものを理解しているわけじゃない。たぶんキウイが覚えたのは言葉の中身ではなく、「皿が置かれたあと、あの声の調子で何か言われる」という手順のほうだと思う。 6. やらかし名無しさん(>>5への返信) 実際にうちで試してみた。いつもの「ごはんだよ」をやめて、まったく違う言葉を同じ調子で言ってみたら、普通に完食した。逆に無言で皿を置くと残す。つまり待っているのは特定の単語じゃなくて、儀式が最後まで終わることなんだな。 7. やらかし名無しさん(>>5への返信) いや、それは違う。うちのスウィーティーパイは私の言うことを一言残らず理解している。証拠は何ひとつ出せないが、こちらには17年分の確信がある。 8. やらかし名無しさん 一気にやめようとするからバレるんだ。段階的に移行しろ。まずは少しだけ発音を寄せて、半年くらいかけて1音ずつ本来のフランス語に近づけていけば、キウイが気づいたころには完全に「ボナペティ」に着地している。 9. やらかし名無しさん(>>8への返信) 投稿者だけど、3年かけて崩れていったものを戻すのにまた3年かかる、という話をされている気がする。それはもう一生言い続けるのとほとんど変わらないのでは。 10. やらかし名無しさん 実家にいたころは犬もいたから、猫のごはんは高い台の上に置いていた。だから毎回、猫を抱き上げてキスしてから台に乗せてあげるのが習慣だった。家を出て恋人と暮らし始めたら、その家は猫だけなので皿は床でいい。そうしたらうちの子、あまり食べなくなってさ。環境に慣れないだけかと思っていたら違った。抱っことキスの工程がないと、食べる気にならなかっただけだった。 11. やらかし名無しさん(>>10への返信) それ、完全に同じ現象じゃないか。猫は食べ物じゃなくて手順を食べてるんだよ。うちの子も、皿を出す前に一度だけ名前を呼んでやらないと、部屋の隅から動こうとしない。 12. やらかし名無しさん 犬にやったことがある。子犬のころ、皿を置く前にその場でくるっと一回転させたら面白いなと思って始めたんだ。それから11年、あいつは腹が減るたびに狂ったように回り続けている。あとから来た若いほうの犬まで、教えてもいないのに完全にコピーした。 13. やらかし名無しさん うちの猫は、皿を置いてから私が「どうぞ」と声をかけるまで座って待つ。教えた覚えはないので、たぶん犬たちの食事風景を見て勝手に覚えたんだと思う。旅行のとき留守番を頼んだ友人にこの作法を伝え忘れたら、猫は世にも冷たい目でその人を見たあと、ごはんに口もつけず立ち去ったらしい。 14. やらかし名無しさん(>>13への返信) ペットシッターへの引き継ぎメモに「食事の作法」という項目が必要な時代になってしまった。投稿者の場合は、そこに発音の注意書きまで添えないといけないわけだ。 15. やらかし名無しさん 実家では猫を呼ぶとき、缶を軽く叩きながら「もぐもぐもぐ〜」と言うのが決まりだった。その癖が抜けないまま大人になって、以来うちに来た猫全員に同じことをやっている。おかげで脱走されたときの呼び戻しに毎回役立っているので、結果オーライだと思っている。 16. やらかし名無しさん キウイの頭のなかでは、あの家は三つ星レストランなんだと思う。料理を出すときの口上は必須です、シェフ。省略された時点でコース料理として成立していないので、途中で席を立たれても文句は言えない。 17. やらかし名無しさん そもそも「合図があるまできちんと待つ」って、行儀が悪いどころか相当に躾が行き届いた猫では?タイトルで自分を責めているけど、あなたは猫に食事の作法を教えることに成功しただけだと思うよ。 18. やらかし名無しさん お客さんが来たときにこの状況をどう説明するのか、想像しただけで笑ってしまう。いっそ友人に頼んで、あの言葉を大きく書いたポスターを作って猫の前に貼っておくのはどうだろう。あと、押すと音声が流れるボタンを覚えさせておけば、あなたが言わなくても猫が自分で押して自分に召し上がれと言い出すぞ。 19. やらかし名無しさん(>>18への返信) 投稿者です。ちょうどボタンの訓練を始めたところだったので、今とんでもないアイデアをもらってしまった。もう開き直って、この失敗を最後まで育てきることにします。 20. やらかし名無しさん うちの黒猫も同じ状態にしてしまった。皿の前で私がしゃがんで、まず一度撫でて、そのあと5〜10秒はその場に立っていないと食べ始めない。ひとりで食べるのが嫌らしい。というわけで、私も一生このやり方に付き合う運命です。仲間だ。 21. やらかし名無しさん うちの子は皿を出すと頭を撫でてもらえるものだと思っていて、こちらの手が少しでも遅いと自分から手に頭突きしてくる。もはや催促というより取り立てに近い。ちなみに18歳になる別の子は、薬を飲ませるためのおやつが1日2回もらえると学習して、階段の上からこちらをじっと見下ろしてくる。 22. やらかし名無しさん 写真を最初から載せなかったのは罪だと言いたい。舌の先がちょこんと出たままのあの顔、それに耳の形、全部ずるい。もし私がその家に居合わせて、飼い主が猫に召し上がれと声をかけている場面に出くわしたとしても、たぶん何の疑問も持たずに一緒に言うと思う。 まとめ 自分を笑わせるためだけに始めた一言が、1日2回×3年の積み重ねで、猫の完食スイッチになっていた——という、被害者がひとりもいないやらかし。コメント欄には「うちも同じことをやらかした」という報告が次々と集まり、抱っことキスを要求する猫、皿の前で一回転する犬、「どうぞ」を待って座り込む猫と、飼い主のほうが躾けられていた例で埋まった。猫は気まぐれだとよく言われるが、決まった手順に誰よりも忠実なのは、どうやら向こうのほうらしい。 元ソース: 猫に行儀の悪い習慣を教え込んでしまった話 The post 「ごはんの前のあの一言、言うのをやめたら猫が半分残すようになった」3年続けた冗談の代償… appeared first on やっちまった!海外のやらかし告白.…