1: バイト歴50年 ★ kUxFBHt89 2025-11-24 20:34:25 高市首相の描くシナリオの最大の欠陥は、「アメリカ軍が必ず助けに来る」ということを、勝手に前提にしている点だ。首相は「米軍が来援する」と断言した。 しかし、現在の国際情勢、特にアメリカの政治状況を少しでも理解していれば、これがどれほど危うい空想であるかがわかる。 アメリカ、特にトランプ政権の外交方針は「アメリカ・ファースト」である。自国の利益にならない戦争には関わらない、同盟国には自分の国は自分で守れと言う、そして何より「コスト」を嫌う。 中国という巨大な国と戦争になれば、アメリカにも甚大な被害が出る。そのため、アメリカはこれまで「台湾を守るかどうかはあいまいにしておく(戦略的曖昧さ)」という高度な外交テクニックを使ってきた。あえて明言しないことで、中国を牽制してきたのである。 ところが、日本の首相が勝手に「アメリカ軍は来る」と国会の場で宣言してしまった。これは、同盟国であるアメリカのフリーハンド(自由な選択権)を縛る行為でもある。 アメリカ政府からすれば、「日本が勝手に我々の軍事行動を決めるな」「戦争の引き金を勝手に引くな」という話になるわけだが、実際、この発言に対してアメリカ政府は直接的な評価を避けている。駐日大使が茶化したような反応を見せたのが全てだ。 これは「応援してるけど、この発言についてはスルーするよ」という外交的なサインである。最も重要なパートナーであるアメリカの意図を全く理解せず、事前の根回しもなしに独断で発言する。これは外交の基本能力すら欠いていると言わざるを得ない。 不可解なのは、日本の「保守」を自称する人々が、この致命的な欠陥を全員で無視していることだ。「米軍が来ないかもしれない」という、日本の安全保障にとって最もクリティカルなこの論点を直視せず、勇ましい発言だけに酔いしれている。 彼らはこのリスクに気づいていないほど愚かなのか、あるいは気づいていながら現実逃避をしているのか。どちらにせよ、同盟の現実を見誤った思考停止状態にあると言わざるを得ない。 ここで思い出さなければならないのは、日本政府は公式には台湾を「国」として認めていないという現実である。 もし「台湾という他国を守るために自衛隊を出す」という理屈を立ててしまえば、その瞬間に日本は「一つの中国」という日中関係の土台を自ら破壊することになる。それは中国との国交断絶、あるいは全面戦争を意味する。 「米軍が来る前提」ならアメリカに迷惑をかけ、「米軍が来ない前提」なら中国との関係が崩壊する。高市首相の発言は、どちらに転んでも日本が行き詰まるような、あまりにも浅はかな想定に基づいているのである。法律の条文が持つ意味の重さを、全く理解していないと言わざるを得ない。 さらに滑稽なのは、この発言が、守りたいはずの台湾からも手放しで歓迎されていないという事実だ。 確かに、台湾の一部の市民が「日本が助けてくれる」と無邪気に喜び、期待を寄せている側面はあるかもしれない。しかし、憲法上の制約がある以上、自衛隊が台湾防衛のために単独で海を渡ることなど絶対に不可能だ。 実現不可能な「ぬか喜び」をさせることは、いざという時に動けない日本への深い「失望」へと変わり、親日感情を傷つけることになりかねない。…