1: 煮卵 ★ 3OsupOER9 2025-09-06 09:46:51 ◼高嶺化の背景 ホンダが24年ぶりに復活させた「プレリュード」の価格が最低617万円となり、話題になっている。かつて「デートカー」と呼ばれた同車は、今や若者が手を届かない存在となった。 ネット上では 「かつてはアルバイトで買えたのに」 「ターゲットが誰か分からない」 といったネガティブな声が相次ぐ。 復活モデルは、ホンダ独自のハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載する。2リッター直列4気筒エンジンは最高出力104kW(141馬力)、最大トルク182Nmを発生し、これに合計最高出力135kW(184馬力)、最大トルク315Nmのデュアルモーターを組み合わせる。燃費性能はWLTCモードで23.6km/Lを達成し、環境性能と走行性能の双方に注力したモデルとなっている。 高価格の背景には、こうした先進技術の投入に加え、世界的な物価高騰、日本の賃金停滞による購買層の変化、さらにメーカー側の世界市場優先戦略など、複数の要因が絡む。ただの復刻モデルではなく、プレリュードは技術力の象徴として位置付けられているといえる。 ◼20代憧れデートカーの変遷 1980年代から1990年代、プレリュードやソアラ、シルビアといった「デートカー」は20代にとって憧れの存在であった。 デートカーとは、若者の初期の自動車体験と恋愛文化が結びついた車種を指す。スタイルや走行性能に優れ、ふたりの時間を演出することを重視していた。バブル経済期の恩恵を受けた現還暦世代は、大学生時代にアルバイトで相応の金額を稼ぐことができた。自家用車を持ち、デートに利用すること自体が一種のステータスとなっていたのである。 一方、Z世代(1990年代後半から2010年前後に生まれた世代)は生まれた時からインターネットが存在し、リアルワールドだけでなくバーチャルワールドでの楽しみも抱く。加えてコロナ禍で親の仕送りが減少し、アルバイトで貯めたお金も学費の補填や奨学金返済に充てられる傾向が強まった。 平成に入った1990(平成2)年前後のプレリュードの価格は200万~250万円台であり、大学生や新社会人にとって 「背伸びすれば届く」 水準であった。当時の平均年収は450万~470万円程度で、現在の600万円超と比べると大きく水準が変化している。時代と世代の経済環境の違いが、プレリュードの購買可能層にも大きく影響している。 ◼アクティブシニア狙う復刻戦略 最新のプレリュードが600万円を超える高価格になる理由は、技術面と市場面、そして国内経済の三つの要因が絡む。 技術面では、ハイブリッドシステム「e:HEV」の搭載、安全装備「Honda Sensing」、高性能シャシー(シビックタイプRベース)、環境規制対応などが挙げられる。ホンダはハイブリッド技術の研究開発を長年続けており、その投資回収の意味も価格に反映されている。 市場面では、国内で台数が出にくいクーペの固定費を北米など海外市場で回収する戦略もある。加えて国内経済の要因は大きい。国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によれば、平均年収は約460万円である。しかしこれは平均値であり、三菱UFJ銀行の推定では全国平均は351万円に留まる。所得格差の拡大により、高額所得者が平均値を押し上げている。 バブル期の平均年収は465万円前後であったが、円安や物価上昇により、実質的な生活は厳しい状況にある。結果として、年収2年分に相当する600万円超の車は、国内の多くの人にとって手が届きにくい価格となる。ここに 「世界基準では妥当、日本では高すぎる」 という二重構造が生まれ、海外市場優先の戦略につながっている。 実際の日本市場におけるプレリュードの購買層は、50代以上のアクティブシニアである。今回のモデルは、50歳~60歳くらいの層を明確にターゲットとしている。自家用車をデートやステータスの象徴と捉えてきた世代で、バブル崩壊の影響を受けたが、現在は比較的資金力がある。 メーカーはノスタルジーに着目し、 「かつて憧れだった車を今ならどうか」 と問いかける形を取っている。この構図はクラウンの「いつかはクラウン」に通じるものがある。ミニバンやSUVとは異なる市場への働きかけであり、最新プレリュードはアクティブシニアへのメッセージでもある。 若者はもはや対象外であり、販売台数よりもブランド価値の向上や復権を優先している。したがって「デートカーの再来」という表現は、若者の期待を裏切るものとなる。 続きは↓ [Merkmal] 2025/9/6(土) 8:50…