
市井の視点から描く“もう一つの南京大虐殺” 申奥監督による新作映画『南京写真館』が7月25日(金)に全国公開された。主演は劉昊然、王伝君、高葉、王驍ら実力派俳優が名を連ね、物語は1937年の南京大虐殺を背景に、戦火の中に生きた市井の人々の苦難と勇気を描く。 公開からわずか4日で4日連続の興行収入日間1位を獲得し、累計興収はすでに5億元を突破。猫眼や灯塔といったプラットフォームが予測する最終興行収入は、当初の10億元(約207億円)台から一気に30億元(約621.4億円)規模へと跳ね上がり、2025年夏休みシーズンの興行王者の最有力候補となっている。 しかし、同作が注目されているのは、単なる興行成績だけではない。中国最大のレビューサイト豆瓣(Douban)では、初期スコアの8.5からさらに上昇し、現在8.6点を記録。2025年に公開された実写の国産映画の中では最高評価となっており、その社会的・歴史的意義にも多くの称賛が寄せられている。 実在の証言者に基づく物語 本作のモデルとなったのは、南京の「華東写真館」で働いていた写真技師の呉瑾(ご・きん)である。南京陥落後、彼は日本軍将校から命じられ、虐殺の記録写真を現像させられる。彼は命の危険を顧みず、虐殺や強姦、略奪を示す16枚の写真を密かに保管し、戦後の南京軍事裁判で戦犯・谷寿夫の有罪判決を導く重要証拠となった。 この物語はすでに1987年に『屠城血証』(南京・福建映画制片厂共同制作)として映画化されており、『南京写真館』はその精神を現代的な感性と技術で再解釈した作品といえる。 被害者から「証言者」へ──視点の転換 南京大虐殺を題材にした過去の作品には、それぞれに特徴がある。牟敦芾監督の『黒太陽・南京大虐殺』(1995)は綿密な考証と詳細な日本軍描写で知られるが、暴力描写が過激に過ぎるとして批判も受けた。また陸川監督の『南京!南京!』(2009)は、日本兵の内省的な視点から戦争を見つめたが、立場の曖昧さにより国内観客からの反発も招いた。 これに対し『南京写真館』は、市井の中国人たちを主人公に据え、従来の“被害者として描かれる存在”から“歴史の証言者”へと立場を変えている点が大きな特徴だ。 郵便配達人の蘇柳昌(劉昊然)、舞台女優の林毓秀(高葉)、国民政府の警官・宋存義(周游)、そして写真館の店主・金承宗(王驍)ら、年齢も職業も異なる7人が、日本軍の南京占領後、「華東写真館」に偶然集まり、そこを隠れ家として暴力の嵐を生き延びようとする。 彼らは最初こそ凡庸で弱さを抱えた存在として描かれるが、物語が進むにつれて“個”の目覚めが“民”の覚醒へと昇華していく。命を賭けて虐殺の証拠を国外へ持ち出し、正義を未来へと託すその姿は、歴史に翻弄される一般市民が、主体的に抗う姿そのものである。 ※詳しくは下記リンクより 関連記事 【速報】南京大虐殺記念館「中国を侵略した日本軍の細菌戦部隊である1644部隊の留守名簿の完全版を入手した」 【動画】南京大虐殺、ガチであったと判明。 南京大虐殺は嘘という説、もしくは事実よりも大げさに書かれている説 【終了】キャンプ場でナンパ地獄。キャンプ協会「女性はテントに南京錠かけて!」 【悲報】日本のホテルで南京虫トコジラミ大量発生か…