元スレ 全てのレス 再掲 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/09/05(土) 17:56:47.07 :vWepLyU60 9月の初旬と言えばまだまだ暑いというイメージが強い。学生の頃はこんな時期に運動会や体育祭をやる学校を恨めしいと思った物だ。 あるいは太陽を見上げて、世間的には秋になるというのだから少しは落ち着けと呪詛を吐いていたような記憶もある。 それが大人になってみれば、過ぎ去った熱風に聞こえなくなった蜩に想いを馳せる物だから、人間というのは自分勝手な物だ。 簡素な支度だけ済ませて、事務所へ向かう。 所属アイドルはたったの4名。所属プロデューサーは俺1人。少数精鋭と言うにもさすがに無理があると思われそうな規模の事務所は、建物もそれ相応の造りになっている。 ビル、というよりは、ボロアパートと称した方が良いような物件。雑誌の取材などで外の人を呼ぶといつも驚かれてしまうので、そういった時には近所のファミレスを使うようにしている。 お陰でそのファミレスはアイドル御用達のという箔がついて、客足が少しだけ伸びたらしい。 察して頂けたかもしれないが、うちの事務所のアイドル達のランクは、明らかに事務所の規模と似合っていない。 最近、自分から営業をかけることが少なくなった、と言えば、もっと分かりやすいだろうか。 蝶番が壊れかけている扉を開ける。外見の古臭さに反して、室内は今日もピカピカに綺麗だった。 「おはよう」 おはようございまーす、と柔らかな声が遠くから聞こえる。スーツをかけて鞄を置いている間に、1人の少女がぱたぱたと駆け寄ってきて、はいっ、と茶飲みを差し出してくれた。…