元スレ 全てのレス 再掲 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/10(水) 22:29:47.10 :N2tEcs8v0 目の前を二人の男女が歩いて行った。腕を組んでいる二人組。女の人の方はとても綺麗な浴衣を着ていて、私は大丈夫かな、と少しだけ不安になる。足元を見て、自分の着ている浴衣を見て、まとめ上げた髪に触れる。うん、大丈夫。たぶん、大丈夫。 「凛」 周囲の喧騒の中から、すっと抜けるように声が聞こえた。私は髪から手を下ろし、 「プロデューサー」 そう呼ぶと、プロデューサーは「すまない、遅くなった」と言って頭を下げる。 「大丈夫だよ。私も、さっき来たところだから」 「そうか? でも、アイドルを一人で、ってのはなぁ……だから、待ち合わせなんてせずに、二人で一緒に来れば良かったのに」 「それは……ダメ」 「ダメなのか」 「うん、ダメ」 そうか、と言ってプロデューサーは笑った。かと思えば、ふっとその笑みが消えて、真剣な調子で私を見つめ始める。 いったいなんなのか……なんて、思うような仲じゃない。 「どう? プロデューサー」 私は自分の着た浴衣をプロデューサーに見せつけるようにポーズをとる。昔の私ならこんなことにも恥ずかしがっていただろうけれど、さすがにもう慣れた。これもアイドルらしくなった、ということなのかな。ビジュアルレッスンの成果、かも。 プロデューサーもプロデューサーで、ビジュアルレッスンの時のようにじっくりと私の全身を見つめる。足の指先から頭のてっぺんまで、見落としがないように見つめられて、私は少し呆れてしまう。私も私だけど、プロデューサーもプロデューサーだよね。 「……似合ってるよ、凛」 「ありがと」 私は言って、ふふ、と笑う。プロデューサーに褒められるのは、素直に嬉しい。…