小学校の集合写真は、毎年、体育館の壇上で撮られた。学年ごとに雛壇に並んで、カメラマンが「はい、動かないでくださーい」と言う。シャッターが切れるまでの数秒間、みんな笑顔を固定したまま、じっとしている。うちの学校には、古い用務員のおじさんがいた。名前は知らない。みんな「おじさん」としか呼んでいなかった。一年生の頃、廊下に飾られた集合写真の前を通りかかったとき、そのおじさんに声をかけられたことがある。「写真、じっと見るもんじゃないよ」なんで、と聞くと、おじさんは箒を動かしながら言った。「数が合わないことに、気づいちまうから」そのときは意味が分からなかった。ただ、その日から俺は、写真の前を通るたびに、なんとなく目をそらすようになった。…