
1: 七波羅探題 ★ s7b74ndB9 2026-05-22 06:53:14 巨額予算を阻む執行率の壁 バイデン政権(2021年1月〜2025年1月)が充電インフラ整備に向けて50億ドル(約7944億円)という巨額予算を投じた国家電気自動車インフラ(NEVI)プログラム。しかし、2024年末時点での実支出は約3000万ドル(約47億6670万円)という極めて低い水準に留まった。手続き上の障壁や送電網の制約、さらに政権交代といった要素が重なり、政策と現場がどれほど切り離されているかという、米国が抱える構造的な課題が浮き彫りになった。 2021年にインフラ投資雇用法に基づいて始まったこの計画は、高速道路沿いのネットワーク構築を目的とした5年間の連邦資金だ。だが、国際エネルギー機関(IEA)の報告書「Global EV Outlook 2025」をひもとくと、実際に稼働した設備に使われた額は、予算全体の0.6%にも満たない。この数字の重みは、未執行の予算があるという事実を超えて、産業全体に深刻な影を落としている。 期待された予算が動かないことで、政府の公示を信じて生産体制を広げ、部材を揃えてきた周辺企業は、キャッシュフローの凍結や回収不能な投資に直面することになった。民間資本を呼び込むはずの計画で資金の流れが止まれば、当然ながら融資の条件も厳しくなる。 結果として、勢いがあったはずの新興企業が市場から退場させられるといった事態まで招いている。資金を投じれば物事が動くという理屈は、行政の透明性や政治の継続性といった複数の壁を前に、いま、その機能不全を隠しきれなくなっている。 現場実務と採算性が生む足踏み 物事の行き詰まりは技術力の乏しさからくるものではなく、むしろ制度と現場が噛み合っていない点にこそある。充電器をひとつ置くにも、環境審査から入札、許可の申請、さらには送電網へのつなぎ込みといった幾多の壁を乗り越えなければならない。 なかでも電力会社が進める変電設備の増強審査は、許可が下りるまでに1年から2年もの歳月を費やすケースがもはや珍しくなくなっている。お金を出す主体が州や民間へと散らばっていることも災いし、手続きが重なれば重なるほど、予算は現場に届かず滞留してしまう。 そこへ、採算をいかに守るかという難題が重くのしかかる。民間企業は投資を回収するために、どうしても利用者が多い都市部や幹線道路沿いを選びがちだ。そのしわ寄せとして地方や所得の低い地域の整備は後回しにされ、いつまでも空白地帯が埋まらない。IEAの報告を読んでも、米国や英国では充電拠点ひとつあたりのEV台数が増え続けており、世のなかの求めに供給がまるで追いついていない実態が浮かび上がる。 こうしたインフラの不足は、巡り巡って車両の価格にも跳ね返ってくるはずだ。変圧器の更新といった多額の費用をいったい誰が持つのか。そのあたりがうやむやなままでは、企業側も将来を見通せず投資に踏み切れない。役所の進める工程と民間のそろばん勘定が一致しない限り、整備が速まることはないだろう。 インフラの足踏みは、送電網の容量や煩雑な手続きといった目に見える、あるいは見えない制約が、車両の広がりを直接押しとどめている現実そのものだといえる。 政治の変節が招く投資判断の硬直 2025年1月20日、トランプ政権の発足とともに、大統領令(EO 14154)による予算執行の見直しや停止措置が矢継ぎ早に打ち出された。これによって各地で進んでいた計画の足踏みや遅れが相次ぎ、充電インフラを担う事業者は軒並み動きを止めている。当然ながら、自動車メーカー各社も北米市場での戦い方を改めざるを得ない状況に追い込まれた。 IEAの「Global Energy Review 2026」に目を向けると、米国のEV販売台数は2025年に前年比2%減という数字を記録している。市場の関心は目に見えてハイブリッド車(HV)へと移っており、政権交代という政治の動きが、企業の投資判断を厳しく縛り付けた格好だ。先行きの見えなさは消費者が買い控える理由となり、メーカー側も売れ残りの恐れを避けるため、エンジン車やHVへと再びかじを切っている。 なかでも部材の国産化を厳格に求める動きは、これまで築き上げてきたサプライチェーンを断ち切り、設置コストを跳ね上げる要因にしかならない。企業にとって、こうした不透明な状況はそのまま経営上の危うさにつながる。メーカーが手堅く既存の資産から利益を得ようとするのは、いわば自分たちの身を守るための振る舞いだろう。 この計画の停滞は、政治の移ろいやすさが産業の根幹を揺さぶり、企業の意欲を削ぎ落としていく現実を如実に物語っている。 以降引用先で Merkmal5.22…