世界ではEV(電気自動車)シフトが加速している。欧州・中国では販売台数が年々増加し、国によっては新車販売の3割~5割がEVという地域も珍しくない。しかし日本では、EV比率は依然として数%台にとどまっているのが現状だ。果たして日本でEVは普及するのか。その可能性と課題を整理する。 日本でEV普及が伸び悩む理由 世界と比べ、日本のEV普及が進まない背景には複合的な要因がある。 車両価格が高い 現状のEVは、車両価格の大部分を占めるバッテリーコストが依然として高く、ガソリン車より100万~200万円ほど割高になるケースが多い。補助金によって実質負担は下がるものの、それでも購入価格そのものが高額であることに変わりはなく、一般家庭にとっては依然として大きなハードルとなっているのが実情だ。 充電インフラの不足 都市部では急速充電器の整備が進みつつあるものの、地方では依然として設置数が少なく、実際に利用可能なスポットが限られている。そのため「外出先で本当に充電できるのか」という不安が拭えず、長距離移動の多い地域ほどEV購入が慎重になる傾向がある。これが普及を妨げる大きな要因のひとつとなっている。 走行距離への不安(航続距離問題) 欧州や中国向けのEVは、近年バッテリー性能の向上によって航続距離が大幅に伸びている。しかし、日本のユーザーは依然として「冬場のバッテリー性能低下」や「高速道路での長距離移動」に対する不安が強い。特に寒冷時はバッテリーの化学反応が鈍くなり、実航続距離が2~3割減ることも珍しくない。 また、日本では帰省やレジャーなどで高速道路を使って長距離移動する家庭が多く、その途中での充電スポット不足や、急速充電でも20~40分の待ち時間が発生することが購入の心理的ハードルになっている。…