
転載元: 征夷大将軍 ★ 2025/12/04(木) 18:11:05.72 ID:hkBGwiYJ9 SPORTS BULL 2025.12.04 09:50 小さな野球場のスタンドで、薄暗い照明に照らし出されたフィールドを眺めながら不思議な気分になる。周囲から聞こえてくるのは英語だ。たまに「バモス(行け!)」とスペイン語が混ざるのは、アメリカのボールパークでは日常の風景だ。スタンドを出れば、ホットドッグやハンバーガー、ポップコーンがコーラとともに売られている。 11月に開幕した中東初のプロ野球リーグ「ベースボール・ユナイテッド」 【ドバイを彩る野球の新風景】 しかしここはアメリカではない。球場のスタッフの多くはフィリピン人で、スタンド下の出店ブースには日本人が並んでいる。外野席にはコロンビア人の楽団が陣取り、日本のプロ野球に倣ったのか、トランペットを吹き鳴らしている。 ただし、自軍が攻撃していようが守備についていようがお構いなしで、四六時中『ロッキーのテーマ』や『Y.M.C.A』を演奏している。 その周りで盛り上がっているのは、インド、パキスタン、バングラデシュ、ネパールから来たという出稼ぎ労働者だ。ルールを把握しているのかわからないが、彼らのテンションがマックスになるのは、地元インターナショナルスクールの女子学生がイニングの間に披露するチアダンスの時間だ。 私の横に座っていたアフリカ・ウガンダからやってきたという警備員は、目が肥えているのか、一つひとつプレーに解説つきで声援を送る。 「以前に行なわれたエキシビションでも警備を担当したんだ。ルールを覚えりゃ、面白いスポーツだね」 別の日には、警備会社の社員だというケニア人招待客のグループが、「オーレ、オーレ」とフィールドの選手にエールを送っていた。 11月15日、中東初のプロ野球リーグ「ベースボール・ユナイテッド」のシーズン1が開幕した。人呼んで「ドバイ野球」。今世紀になって急拡大しているグローバルシティ、ドバイで開始されたウインターリーグだ。 「野球というスポーツは学校で知ったわ。クリケットに似ているからルールはなんとなくわかるの」 学校から招待券をもらって来場したという地元の女子大生くらいしか、スタンドにはエミラティ(ドバイが属するアラブ首長国連邦の国民)はいない。 現地在住のアメリカ人やベネズエラ人、日本人がチケットを購入して入場している一方で、それ以外の客層は、プロモーション期間ということもあり、リーグ当局が招待した南アジアの人々がスタンドの「多数派」を占めている。 彼らに「野球のルールはわかっているか?」と尋ねると、ドリンクやTシャツ、タオルのお土産つきの"招待枠"らしいたしなみとして、「少しはね」とお茶を濁す。 ただ、彼らがそれなりに盛り上がるのは、チアリーダーの存在だけが理由ではない。フィールドでプレーするチームが「ムンバイ」「カラチ」と、彼らの母国の都市名を冠していることも大きい。実際、両チームにはインド人やパキスタン人選手が数名在籍し、試合にも出場している。 【17カ国から選手が集結】 「目指すは世界一のウインターリーグだ」 そう語るのは、アジア担当スカウトで元日本ハムのカルロス・ミラバル氏。その言葉どおり、一昨年以降、これまで二度行なわれたエキシビション・ゲームには、ロビンソン・カノやディディ・グレゴリアスらメジャーで一時代を築いた選手が参加し、その噂は日本にも伝わってきた。 しかし、彼らは記念すべきシーズン1にはいない。有名選手に頼るのではなく、このリーグの本来の目的である「世界中から新たな才能を発掘すること」へと舵を切ったのだと、リーグ創設者のカッシュ・シャイフ氏は語る。 その理想に共感したからこそ、20人のメジャーリーガーたちが、中東の砂漠にボールパークをつくり、プロ野球を開催するという、一見無謀とも思えるプランに出資したのだ。 実際シーズン1には、日本、アメリカ、メキシコ、ベネズエラといった"野球国"の選手だけでなく、インド、パキスタン、フィリピン、さらにイギリス、ドイツ、フィンランド、東欧諸国、南アフリカなど、じつに17カ国から選手が集まっている。 とにかく野球というスポーツを、エミラティをはじめ、このドバイという街に集まる世界中の人々に知ってもらいたいとの思いから、さまざまな独自ルールが採用されている。 試合中であれば何度でも出場できる代走専門の「指名代走(Dランナー)」や、ホームランで得点が倍になる「マネーボール」は以前から発表されていたが、投手が三振を奪えば一瞬にしてそのイニングが終わる「ファイアーボール」が追加されることが開幕戦で新たに発表された。 ※以下出典先で…