1: 1ゲットロボ ★ k4oUJPZP9 2025-12-03 18:47:27 地球温暖化が加速した場合、30年後には国内のミカン産地の6割が消滅する可能性があるという試算を国の農業研究機関がまとめた。静岡県内の農家の間では、亜熱帯果実のアボカド作りに活路を見いだそうという動きも出ている。(渡辺星太、佐藤彩音) 研究へ予算計上 「国内産のアボカドは完熟状態で収穫でき、輸入品より濃厚な味わいになる」 5年前から栽培する静岡市清水区の農家、内田さん(65)は胸を張る。約300平方メートルの畑に広がる約60本のアボカドの木から昨年は約200個を収穫でき、一つ約1000円という高値で売れた。内田さんは「若い生産者たちが気軽に参入できるよう、安定した栽培法を見つけたい」と意気込む。 2024年産のミカンの収穫量(概数値)が和歌山県に次いで8万8500トンと全国2位の静岡県だが、県が5月にアボカドの栽培方法の講座を開くと、ミカン農家をはじめ約120人が参加した。 県は、アボカドの栽培技術研究などの関連費用として、今年度予算に約1800万円を計上。果樹研究センターの栽培試験や県内農家での委託栽培で生育状況を調べ、生産マニュアルを作成する計画だ。また、アボカドの栽培技術を確立するため、農家や流通事業者らで作る検討会も設置した。今後、AI(人工知能)を活用した選果技術の導入にも取り組むという。 県農業戦略課の担当者は「農作物は全国的に温暖化の影響を受けており、対策を講じる必要がある」とし、「耕作放棄地をアボカドの生産に活用していきたい」と話す。 農林水産省によると、アボカドはミカンの生産地に多い傾斜地でも作ることができる。松山市では、ブランド化に向けて苗の配布や技術指導を市が率先して行う。 国立研究開発法人の「農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)」(茨城県)は今年、ミカンとアボカドの栽培適地に関する試算を発表。それによると、温室効果ガスの排出が抑制されず、今世紀半ば(2040〜59年)の年平均気温が現在より1・8度上昇した場合、日焼けや傷みを招いて現在のミカン栽培適地の3割が失われるという。排出量を「非常に多い」と仮定すると、2・3度の上昇で適地の6割がなくなってしまうことになる。 一方、平均気温が1・8度上がれば、アボカドの栽培適地は3・2倍に広がる。 ビタミンやミネラル、脂肪分を豊富に含むことから「森のバター」とも呼ばれるアボカドは、健康志向の消費者を中心に人気が高まっている。22年の輸入量は約5万トンで、20年前から3倍以上に増えた。「亜熱帯果樹」に分類され、これまで国内の栽培地域は温暖な南西諸島などに限られており、同年の国内収穫量は約34トン。国内に流通する99%がメキシコなどの外国産だった。 農研機構の試算に携わった杉浦博士(農業気象学)は「国内で今後、ミカンの栽培が厳しくなるのは明らかだ」と指摘。「アボカドは単価が高く、仮に輸入分の1割を国産で賄えるようになれば、後継者不足による農家の減少にも歯止めをかけられるだろう」と話している…