全てのレス元スレ 1: ◆TOYOUsnVr.:2019/12/24(火) 03:21:57.44 :FLJvNdsK0 スタッフの人に導かれるままに、バックヤードを進む。 普段は搬出搬入で用いるのであろう大きな扉は開け放たれていて、これでもかというくらい十二月の風を吸い込んでいた。 「こんなところしかなくて、ご不便をおかけして……」 私を案内してくれているスーツに身を包んだ担当者の人は、心底申し訳ないといったふうに、頭を下げる。 今日、何度目か既にわからなくなったそれに、私は同じく今日何度目かわからなくなった「いえ、本当に大丈夫です」を返すのだった。 今日は、私を贔屓にしてくれている企業の商品の販促を兼ねた、クリスマスイベントに呼ばれていた。 アピールする新商品の紹介と少しのトークショーと、ちょっとした私からのクリスマスプレゼントの抽選。 そんな、よくある簡単なショッピングモールでのお仕事で、何も問題などなかったし、こういったショッピングモールの通用口にテレビ局やライブ会場のようなものが用意されていないことなど、重々承知しているのだが、どうにもこの担当者の人は失礼にあたると思っているらしく、しきりに恐縮しているので、私まで申し訳ない気持ちになってくる。 でも、もしかすると、この人はこうした応対は初めてなのかもしれない。 そう思い当たれば、なんだか微笑ましくも見えてくるが、同時に緊張させてしまっているのは私のせいではないかとも考えてしまう。 なぜなら、残念なことに私は冷たい第一印象を与えてしまうことが多いからだ。…