2020年10月に東京都調布市で起きた陥没事故の影響で中断している東京外郭環状道路(外環道)の東京区間のトンネル工事について、目標の「31年3月」までに完了できない見通しであることが関係者への取材でわかった。事業主体の東日本高速道路は、陥没現場周辺の地盤を補修してから再開する方針だが、住民との立ち退き交渉が難航。再開のめどは立っていない。(糸井裕哉、鈴木直人) トンネル工事は大泉ジャンクション(JCT)―東名JCT間(16・2キロ)をつなぐもので、「21年3月」の完了を目指し、17年2月に南側、19年1月に北側の掘削が始まった。 しかし、20年10月18日、南側の掘削現場の真上にあたる調布市東つつじヶ丘の市道で陥没(縦約3メートル、横約5メートル、深さ約5メートル)が発生。地下47メートル地点で横穴を掘り進めた際に土砂を過剰に取り込み、緩んだ地盤が崩れたのが原因で、工事は南北ともに中断となった。 東日本高速は21年、完了期限を「31年3月」に変更し、南側の工事を再開する前に、陥没現場周辺(長さ約220メートル、幅約16メートル)に約220本の穴(深さ約40メートル)を掘り、セメント系固化剤を注入して地盤を補修することを決定。今年12月の補修完了を期限に、対象地域に暮らす約30世帯と宅地売却や一時移転による用地取得交渉を行ってきた。 だが、事業に不信感を持つ一部住民の理解が得られず、補修完了のめどは立っていない。…