暗い病室の中で、少しでも明るくなれる曲を、と思い、子ども向けの音楽をシャッフルで流していたらアンパンマンマーチの冒頭部分が流れてきた。 ぼんやりと天井を捉えていた死んだような瞳から、涙がポロポロと溢れて落ちた。私は胸の傷が痛すぎて、何も感じられない。生きる喜びなんてどこにあるのか、わからなかった。1曲終わる頃には言葉にならない叫び声をあげながら、枕をびしょびしょにしていた。 それからずっと考え続けた。2月に出したエッセイ『透明を満たす』の中では一定の答えを書き記したが、正直今もまだ私は何のために生まれて、何をして生きるのか、よくわからない。最近の私は、毎晩うなされて、身体中を掻きむしって傷だらけになったり、夢なのか現実なのかの区別がつかなかったり、「殺される、こわい」と寝言を言っていたり。目に見えない恐怖と闘う日々をあと何年過ごさなければいけないのだろう。想像すると、生きているのが嫌になる。 朝起きて、汗びっしょりの冷えた体で、どこが現実世界なのかわからないまま、カーテンから差し込む朝日を横目に、ベッドの中でぼんやりと朝ドラ『あんぱん』を観る。そして、何のために生まれたのかという問いを、真っ暗な樹海に迷い込んだように、私は彷徨い続けている。 アンパンマンがいたらな。世界が怖くて、寒くて、ベッドの中で小さくなることしかできない私に、勇気と元気100倍ほしいな。 ※詳しくは下記リンクより…