1:名無しさん@涙目です。(埼玉県) [KR]:2024/12/16(月) 13:07:50.83 ID: ID:9R6MtKVB0 BE:662593167-2BP(2000) トヨタに次ぐ世界第2位の自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)グループが電気自動車(EV)販売台数の伸び悩み、価格競争力の低下や中国事業の不振などにより危機に直面している。ドイツ大手企業の苦境は我々にとっても対岸の火事ではない。 2:名無しさん@涙目です。(埼玉県) [KR]:2024/12/16(月) 13:08:11.44 ID: ID:9R6MtKVB0.net BE:662593167-2BP(1000) ■政府のBEV拡大政策を過信 VWグループが犯した失敗の一つは、政府が購入補助金によるBEV(電池だけを使う電気自動車)の支援を続けると信じ、EV一辺倒の経営戦略を取ったことだ。ドイツ政府は30年までに1500万台のBEVを普及させるという目標を持っている。 前のメルケル政権は、20年にコロナ禍に対する景気浮揚策の一環として、BEVなどの購入補助金の内、政府負担分を2倍に増やした。このためドイツでは一時的にBEVブームが起きた。BEVの年間販売台数は19年の約6万台から、23年には約52万台に増えた。 VWはドイツ政府のBEV路線に最も忠実に従った企業だ。同社の乗用車部門のエムデンとツヴィッカウ工場では、内燃機関の車の生産をやめ、生産ラインをBEVに一本化した。同社の経営陣は「モビリティの未来はBEV」と繰り返し、ハイブリッド車を開発・販売しなかった。これに対しBMWやメルセデス・ベンツでは、VWに比べると、BEVに早くから一本化せず、水素や内燃機関の車にも含みを残す姿勢が目立った。 ドイツ政府はコロナ禍、ウクライナ戦争などによる経済危機の際に、常に潤沢な補助金で市民・企業を支えてきた。だがこの治療法に、司法の鉄槌が下った。 23年に連邦憲法裁判所がショルツ政権の過去の予算措置を憲法違反と判断したため、予算の内600億ユーロ(9兆6000億円)が無効になり、政府は深刻な財政難に陥った。このため政府は、24年末まで続ける予定だったBEV購入補助金(政府負担分)を、23年12月に突然廃止した。 補助金廃止で、消費者はBEVに背を向けた。23年12月のBEV販売台数は約5万5000台だったが、24年1月には約2万2000台に減った。逆にハイブリッド車や、ガソリンまたはディーゼルエンジンを使った車の売れ行きが伸びた。 つまりVWは、政府の意向に沿ってBEVに全精力を集中していたが、突然政府の援護射撃を失った。ニーダーザクセン州政府のヴァイル首相も「昨年12月の補助金廃止は、失敗だった」と連邦政府を批判している。同首相はVWグループの監査役の一人として、同社のBEVシフトを積極的に支持した政治家の一人だ。 VWの労組は、「経営陣がBEVを偏重し、ハイブリッド車を開発しなかったのは経営ミスだ」と批判している。 ドイツの論壇では、「日本の自動車メーカーが、VWのように早くからBEVに経営資源を集中させず、様々な車種を併存させる戦略を取ったのは正解だった」という論調が増えている。 3:名無しさん@涙目です。(埼玉県) [KR]:2024/12/16(月) 13:08:29.64 ID: ID:9R6MtKVB0.net BE:662593167-2BP(1000) ■中国への過度な依存が裏目に VWグループが犯したもう一つのミスは、中国市場への過度な依存だ。今年9月、同社のアントリッツ財務担当取締役は、「これまでVWグループは、国内乗用車部門の低い収益率を、中国事業での収益によってカバーすることができた。しかし我が社の中国市場でのマーケットシェアは減っており、もはや中国からの収益に頼ることはできない」という趣旨の発言を行った。 VWグループの年次報告書によると、23年にVWグループが世界で売った936万台の車の内、32.7%にあたる307万台が中国で売られた。だがVWは、中国の消費者が好む割安なBEVの開発に遅れており、マーケットシェアが下がりつつある。 長年VWは中国の自動車市場で首位に立っていた。しかし今年1~9月のVWグループの中国での販売台数は、中国メーカー比亜迪(BYD)に初めて抜かれた。今年1~9月のVWグループの中国での販売台数は、前年同期比で11.5%減った。 中国では、政府補助金のために、欧州とは対照的にBEVの方が内燃機関の車よりも値段が安い。このためVWグループが得意とする内燃機関の車が新規登録台数に占める比率は、20年の94%から今年上半期には59%に激減した。 ちなみに中国に大きく依存していたのはVWだけではない。BMWとメルセデス・ベンツでも世界で売る車10台の内ほぼ3台が中国で販売されていた。中国では若年労働者の失業率の上昇や不動産バブルの崩壊などによって国内総生産(GDP)成長率が鈍化しつつあり、ドイツの高級車への需要が減っている。BMWの今年1~9月の営業利益は前年同期比で31.6%、メルセデス・ベンツの今年1~9月の営業利益も前年同期比で34.5%減った。 ■エネルギー費用の高騰に悩む VWに限らず、ドイツの多くの製造企業が今頭を痛めているのが、22年のロシアのウクライナ侵攻以降続いているエネルギー費用、特に産業用電力価格の高騰である。 ドイツのエネルギー・環境問題に関する研究機関アゴラ・エネルギーヴェンデが23年10月に公表した研究報告書によると、23年のドイツでは、電力消費量が多い中小企業(EMU)向け電力価格は米国に比べて約3.6倍~3.9倍だった。また、年間電力消費量が5億キロワット時を超えるドイツの大手製造企業向け電力価格は、米国に比べて2.3倍だった。23年のドイツのEMU向け電力価格は中国に比べて約1.7倍~1.8倍、大手製造企業向け電力価格は中国に比べて約1.8倍だった。 このためドイツの産業界は政府に対して、価格競争力を改善するために、補助金によって産業用電力価格を引き下げるよう求めている。しかしドイツでは24年11月に三党連立が解消され、ショルツ政権が連邦議会で過半数を失ったため、産業界を支援するための法案を単独で施行できない。来年2月23日に連邦議会選挙が行われるまで、政治の空白状態が続く。…