引用元: 「不可解な体験、謎な話~enigma~ Part34」より 411: 本当にあった怖い名無し 2006/08/05(土) 10:45:20 ID:GTDjd4ly0 「銀時計」 日清・日露と勝戦続きで景気が良く日本では輸入品を扱う変な商売人が増え出した頃。 「…っとまぁそんなわけでこの中国から渡って来たカッパの手、煎じて飲めばどんな奇病 も治すと言われ…」うさん臭い輸入商人が機関銃の様にしゃべっているのを「ファ~」っ とでかいあくびでおやじが断ち切った。「わり~が、孫の手なら間に合ってるんだほか当 たっとくれ」ピシャリと言うとデブ商人は慌てて鞄から色々な物を取り出しあれやコレや とほかの物を勧めて来た。 ウンザリと言った顔をしていたおやじが急に目の色を変えた。「おい、あんたその時計そ れなら買うぞ!」おやじが興味を示したのは鞄の中では無く商人が腰に下げていた外来物 の時計。壊れてはいたが立派な細工から高価な事は喜一にも分った。 輸入商人は眉を潜めたがさすがは商売屋、おやじは渋る相手から3割値切り、処分に困っ ていたガラクタまで押し付けたのだった。おやじは上機嫌だったが壊れて動かない時計の 何がいいのか解らず「カッパの手は何で買わなかったんだよ、本当に水掻があったのに」 と漏らすと「あんなもん清のガキの手 切り干して細工した紛い物に決まってるだろうが」 と言い切られてしまった。 翌朝、食卓でおやじが「好かん」と言った、家族全員固まった、おやじの「好かん」は 「良く無い」と言う意味で機嫌が悪いときにも使われた言葉だったからだ。おやじは朝食 に箸もつけず家を出て言った。朝食はおやじの好物、喜一はここ三日は得に叱られる事は していなかった、何より昨日はあんなに上機嫌だったのに…家族皆首を傾げた。 店番をしているとおやじが夕暮れに帰って来た、どこに行っていたのか聞くとおやじはた め息をついた「信じられねぇとは思うが俺は今日を4回繰り替えしてる。寝て起きたら また今日なんだ…」喜一は驚かなかった、それより始めて見たおやじの参った顔に驚いた。…