カフェインを抜いたコーヒー、いわゆるデカフェ。夜でも飲めると人気ですが、豆から抜き取ったカフェインがその後どうなっているかを考えたことはあるでしょうか。じつは捨てられず、粉末にして箱に詰め、炭酸飲料やエナジードリンク、薬のメーカーへ売られています。デカフェ工場は、デカフェとカフェインを同時に作る工場でもあるのです。 今日の知ってた? ☕ デカフェを作るときにコーヒー豆から抜いたカフェインは、捨てずに回収される。粉末の「天然カフェイン」として精製業者に出荷され、炭酸飲料やエナジードリンク、医薬品の原料として使われている。 背景:デカフェはどうやって作られるのか コーヒーからカフェインを抜く方法を最初に商売にしたのは、ドイツ・ブレーメンのコーヒー商ルートヴィヒ・ロゼリウスです。ドイツのマックス・プランク協会の解説によると、ロゼリウスは溶剤にベンゼンを使ってコーヒー豆からカフェインを取り除く方法で1905年に特許を取り、翌1906年に「カフェーハーグ(Kaffee HAG)」を創業しました。ただ、初期の製品には微量のベンゼンが残っていました。ベンゼンは発がん性が問題になり、のちに使われなくなります。 カフェインを抜くのは、焙煎する前の緑色の生豆の段階です。生豆を蒸気や水でふくらませてから、カフェインを溶かし出す液体を通します。その「溶かし出す役」に何を使うかで、製法がいくつかに分かれます。 溶剤を使う方法。ベンゼンの代わりに使われるようになったのが、ジクロロメタン(塩化メチレン)や酢酸エチルです。豆に直接溶剤を当てる方法と、いったん豆をお湯に浸してカフェインを水に移し、その水から溶剤でカフェインを取り出す方法があります。海外の安価なデカフェでは、いまもジクロロメタンなどの溶剤を使った処理が行われています。 水だけを使う方法。「スイスウォーター法」の名で知られる方法です。1933年にスイスで最初に開発され、1980年に商業化されました。生豆のエキスを含んだ水に豆を浸し、味の成分は豆に残したまま、カフェインを水のほうへ移します。移ったカフェインは活性炭のフィルターで取り除き、水はまた次の豆に使います。有機溶剤を使わないのが売りです。 二酸化炭素を使う方法。高い圧力をかけた二酸化炭素は、気体とも液体ともつかない「超臨界」という状態になり、ものを溶かし込む力を持ちます。マックス・プランク石炭研究所の化学者クルト・ツォーゼルが1967年に、カフェインがこの超臨界二酸化炭素に溶けることに気づき、3年後に脱カフェインの方法として特許を申請しました。特許に書かれた手順では、二酸化炭素を70℃・162気圧にして、水を通したあとで湿らせた豆に流し、カフェインを運び出させます。マックス・プランク協会によれば、いまでは世界で年間約10万トンの原料がこの方法でカフェインを抜かれています。 もう少し詳しく 抜いたカフェインは「茶色い粉」になって出荷される。2016年に米公共ラジオNPRが、テキサス州ヒューストンにある超臨界二酸化炭素法のデカフェ工場を取材しています。工場には生豆を約5万4千キロ(12万ポンド)ためるサイロが並び、豆から抜けたカフェインは二酸化炭素から水で洗い出され、水を飛ばすと焦げた黒糖のような匂いのする茶色い粉末が残ります。これを約540キロ(1,200ポンド)入りの箱に詰め、精製を請け負う会社に出荷します。精製されたカフェインは、そこからコーラやエナジードリンクのメーカーへ売られていきます。担当者は「店で飲み物の棚を見ると、うちの工場から出たカフェインが入っているのかなと考えることがある」と話していました。 ただし、清涼飲料のカフェインの主力は「合成」。同じ番組で、NPRの記者は、清涼飲料向けの純粋なカフェインの大きな供給源は中国の大規模な工場で、化学的に合成されたものだと説明しています。カフェインは炭素・水素・窒素・酸素からなる比較的単純な分子で、植物から取り出さなくても工場で組み立てられるのです。デカフェ由来の「天然」と工場製の「合成」がそれぞれどれだけの割合を占めるのかについては、公表された確かな統計は見当たりません。どちらの側も、ほとんど表に出てこない業界だと番組は伝えています。 デカフェにもカフェインは少し残る。カフェインを「完全に」抜いたコーヒーはありません。何割抜けばデカフェと名乗れるかは国によって違い、米国では元のカフェインの97%以上を除くことが求められ、カナダでは豆に残るカフェインを0.1%未満に抑える基準があります。日本では、カフェインを90%以上取り除いたコーヒーを「デカフェ」とするのが業界の基準です。2006年に米フロリダ州立大学が市販のデカフェを調べたところ、約470ミリリットル(16オンス)あたり8.6〜13.9ミリグラムのカフェインが含まれていました。夜にデカフェを何杯も飲む人は、ゼロではないと覚えておくとよさそうです。 日本にもカフェインを抜く工場ができた。カフェインを抜く処理は、長く海外の工場が担ってきました。2020年には、三重県桑名市の食品加工会社が超臨界二酸化炭素法でカフェインを抜く工場を動かし、東京のコーヒー焙煎会社が「国内初のカフェインを抜く工場で加工したデカフェ」として商品を売り出しています(「国内初」は業務用の食品加工工場として、2020年2月時点の同社の説明)。同社は、水と二酸化炭素だけを使う製法である点を強調しています。ちなみに、日本の風邪薬や眠気覚ましの成分表でよく見る「無水カフェイン」は、水分を含まない形に精製したカフェインの粉末のことです。 海外の反応 1. 海外の名無しさん デカフェってそんなに作られてるの?炭酸飲料に回せるほどの量があるとは思えない。もうほとんど誰も飲んでない飲み物だと思ってたけど。 (追記:撤回します。デカフェ好きがこんなに多いとは知らなかった) 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 量は知らないけど、デカフェの紅茶なんて山ほど売ってるよ。それにカフェインは合成するのもそんなに難しくない。供給元はいくつもあって、結局そのとき一番安いのを使ってるだけだと思う。 3. 海外の名無しさん(>>2への返信) 大学で最初にやった合成の実験、たしかカフェインだった気がする。化学をやった人ならだいたいみんな通る道なんじゃないかな。 4. 海外の名無しさん(>>3への返信) うちは1年生にカフェインの「抽出」は教えるけど、合成はやらないな。自分でもやったことがない。毎日これだけコーヒーを飲んでるのに、不思議と縁がなかった。 5. 海外の名無しさん(>>1への返信) 2年前にカフェインをやめたけど、感覚としては逆だな。カフェでもスーパーでも、デカフェの選択肢は年々増えてるよ。 6. 海外の名無しさん(>>1への返信) ざっと調べた限りだと、デカフェの市場はむしろ伸びてるらしい。カフェインの生産は、紅茶なんかも含めた脱カフェイン由来が3分の1、合成が3分の2くらいとか。ただ、どれも出典があんまり信用できない感じだった。 7. 海外の名無しさん(>>6への返信) 数字は話半分に聞くとしても、合成のほうが多いってのは意外。エナジードリンクに「天然カフェイン使用」ってわざわざ書いてあるのは、そっちが少数派だからなのか。 8. 海外の名無しさん いや、逆に何だと思ってたんだよ。抜いたカフェインを捨ててると思ってた?あんな使い道のある物質を? 9. 海外の名無しさん(>>8への返信) 正直、排水に流してると思ってた。乾かして粉にして、箱詰めして売ってるなんて考えたこともなかったよ。捨てるよりはずっといいけどさ。 10. 海外の名無しさん カフェインって、実は元気をくれるわけでも疲れを取るわけでもないって知ってた?脳が疲れを感じにくくなるだけなんだよ。 11. 海外の名無しさん(>>10への返信) それ、何が違うの?疲れを感じないなら、本人にとっては元気になったのと同じじゃない? 12. 海外の名無しさん(>>11への返信) アデノシンの話だね。アデノシンは起きているあいだに脳にたまっていって、眠気の合図になる。カフェインはその受け皿をふさぐ。だから「元気が増える」と「眠気が減る」の違いは、日常会話のレベルではほとんど意味がないと思う。 13. 海外の名無しさん(>>10への返信) その理屈なら、痛み止めだって痛みを消してるんじゃなくて、脳が痛みを感じにくくなってるだけだよね。で?って話。 14. 海外の名無しさん(>>10への返信) マラソンみたいな持久系のスポーツをやる人には大事な区別だよ。体にためた糖を使い切ったら、カフェインを飲んでも燃料は増えない。眠気やだるさはごまかせても、ガス欠そのものは直らない。 15. 海外の名無しさん 「カフェインは何の役にも立たない、水を飲め」って言ってくる人がいるけど、明らかに効くからね。水はちゃんと飲んでる。そのうえで、朝のコーヒーは水では代わりにならない仕事をしてくれてるんだよ。 16. 海外の名無しさん コカ・コーラにも似た話がなかったっけ。今もコカの葉を使ってて、そこから抜いたコカインは医療用に回されてるとかいう。 17. 海外の名無しさん(>>16への返信) その言い方だとちょっと誤解されそう。コカの葉は香りづけに使われてて、コカインはその前に抜かれる、って話だよ。抜いたコカインは目の手術やひどい鼻血の処置で、局所麻酔として使われるらしい。 ※注:コカ・コーラ社はレシピを公表しておらず、コメント16・17の内容は同社が認めたものではありません。 18. 海外の名無しさん それより気になるんだけど、乳糖を抜いた牛乳の、抜いた乳糖はどこに行ってるんだ?そっちもどこかで再利用されてるの? 19. 海外の名無しさん(>>18への返信) あれは抜いてるんじゃなくて、ラクターゼという酵素で乳糖をブドウ糖とガラクトースに分解してるだけ。形が変わって全部牛乳の中に残ってるよ。ろ過で分ける製法の牛乳は別だけど。 20. 海外の名無しさん(>>19への返信) だから乳糖を分解したタイプの牛乳って、ちょっと甘いのか!長年の謎が、まさかデカフェの話題で解けるとは思わなかった。 21. 海外の名無しさん(>>20への返信) そういうこと。糖の分子の数が倍になって、しかもバラバラになったブドウ糖とガラクトースのほうが、元の乳糖より甘く感じるんだ。 22. 海外の名無しさん 売り物にならない安い豆は、最初からカフェインを抜く専用に回されて、カフェインを取ったあとは堆肥にされてるんじゃないかと想像してる。 23. 海外の名無しさん(>>22への返信) 今は高級なデカフェ豆もちゃんとあるよ。ミルクも砂糖も入れずに、コーヒーの味そのものが好きって人は思ってるより多いんだ。そういう人が夜に飲むためのデカフェだね。 24. 海外の名無しさん 寝る前はほぼ毎晩デカフェの紅茶を飲んでる。緑茶もハーブティーも苦手だから、いつもの紅茶の味で夜に飲めるのは本当にありがたい。 まとめ デカフェ工場で豆から抜いたカフェインは、粉末にして精製業者に売られ、炭酸飲料やエナジードリンク、薬の原料になっています。ただ、清涼飲料のカフェインの大きな供給源は工場で合成されたもので、天然と合成の割合ははっきりしません。コメント欄では「捨ててると思ってた」という素直な驚きに始まり、カフェインは本当に元気をくれるのかという論争や、乳糖を分解した牛乳が甘い理由にまで話が広がりました。夜の一杯のデカフェと、昼のコーラの一缶が、同じ豆でつながっているかもしれません。 参考資料 マックス・プランク協会「コーヒーのカフェイン除去法」(2014年・英語) NPR「売り物のカフェイン:世界で最も好まれる興奮剤の知られざる取引」(2016年・英語) 共同通信PRワイヤー(ピコフードサービス)「下町深川のコーヒーロースターが国内初のカフェインを抜く工場にて加工された『デカフェ』を提案」(2020年・日本語) ウィキペディア英語版「脱カフェイン」(英語) 元ソース: 今日知った話:デカフェを作るときに分離されたカフェインは天然カフェインの主な供給源で、清涼飲料や医薬品の添加物として再利用されている 投稿 「抜いたカフェインを捨ててると思ってた?」デカフェ工場から粉末で出荷され、炭酸飲料や薬の原料になっていた は みんな知ってた?【海外の反応】 に最初に表示されました。…