1: 以下、名無しにかわりましてネギ速がお送りします 2025/07/29(火) 22:38:55.37 ID:VjcHTyis0NIKU 昭和15年(1940)8月、「総力戦研究所」の設立が閣議決定された。 それは軍事の専門家に偏らず軍・官を代表する優秀な人材、それも「人格高潔・知能優秀・身体強権」で、将来は各方面で首脳となる素質を有している人物ばかりであった。その内訳は文官が22名、武官5名の官僚と、民間人が8名、さらに皇族が1名であった。年齢は35歳までで考え方が柔軟なことも重視。 まず提示された状況設定は「英米の対青国(日本)輸出禁止という経済封鎖に直面した場合、南方の資源を武力で確保する方向で切り抜けたら、どうなるか」というものだった。 導き出された答えは「インドネシアの油田地帯を占領し、石油を確保するのは可能。しかしフィリピン基地から出動したアメリカ艦隊によって、南シナ海または南太平洋で輸送船団は攻撃され壊滅する。青国(日本)政府はアメリカ政府に抗議するも受け入れられず、青国(日本)艦隊が出動。アメリカ艦隊を撃滅したことで、開戦に至る」というものだった。 教官側は、インドネシアに石油を獲りに行ったとしても、アメリカとの戦争はできる限り避けることを求めた。だが提示された条件を受け入れると、日米開戦は必至という結論となったのである。 また、日米が戦争状態になれば、毎月10万トンの船舶が失われ、年間では120万トンになると分析した。 日本の造船能力は、多く見積もってもせいぜい月に5万トン、年間で60万トンに過ぎない。単純計算で年に60万トンの船舶が減っていくことになる。これでは穴の空いたバケツでリレーをするようなもので、とても長期戦に耐えられない、という結果を得た。 この数字は戦後、実際の船舶損失量とほぼ一致していることがわかった。 2: 以下、名無しにかわりましてネギ速がお送りします 2025/07/29(火) 22:39:05.71 ID:VjcHTyis0NIKU 次に総力戦研究所は日米戦争の展開を予測。そこで導き出された結論は次の通りだった。 「開戦後、緒戦の勝利は見込まれるが、戦争は長期戦になり、日本は物量において圧倒的に劣勢に立たされる。その負担に耐えるだけの国力は認められない。戦争の終末期になるとソ連の参戦もあり、終局、日本の敗北は必至という結論になる。ゆえに日米開戦はなんとしても避けなければならない」 これはまだ存在していなかった原子爆弾の使用以外、ほぼ現実となる予測であった。研究員たちはこの研究結果を、昭和16年8月26日、27日両日に首相官邸で行われた「第一回総力戦机上演習総合研究会」で報告している。 だがこの報告を聞いた実際の内閣(第三次近衛内閣)の陸相東條英機は、「あくまでも机上の演習。戦というものは計画通りにはいかない」という意見を述べている。実際の開戦よりも4カ月前のことであった。 3: 以下、名無しにかわりましてネギ速がお送りします 2025/07/29(火) 22:39:13.88 ID:VjcHTyis0NIKU…