794: 名無し:16/02/02(火) 03:36:55 ID:HOp 「バイトをやらないか。一日500円あげる。お母さんの事務所で手伝ってちょうだい」 何かしらの提案に対して、当時の自分には「やりたい、面白そう、興味ある」と答える以外の選択肢は無かった。 母の機嫌を損ねるとしばらく逆上して面倒なので、兄弟の間では一番のタブーだった。 そこは田舎の県道沿いの、小さな土建会社の事務所で、母はそこの唯一の事務要員だったらしい。 学校から帰ると家でなぜか母が待っていて、中学の制服のまま、車で事務所に連れて行かれた。 本当に何もない、自販機すら見つけづらいような交通量も少ない場所で、何かあって叫んでも誰も来るわけはない。 簡単な表を計算すること。お客さんが来たらコーヒーを出すこと。 それだけ言いつけられて、母はどこかへ去り、迎えが来るまで自分は事務所にひとりで残された。…