元スレ 全てのレス 再掲 1: ◆bBUdJHUgklsz:2015/05/06(水) 02:04:13.69 :uWUG4Qzy0 不気味なまでの静寂が胸に重く圧し掛かる。 目の前にいる男が、自分の問いかけに即座に言い放った短い言葉に、一瞬呼吸を忘れそうになる。 それほどまでに、男の言い渡した命令は非情のもので、ハンマーで頭を殴られたかのようにグワングワンと衝撃が襲う。 「なによ、それ……」 自分の隣にいたもう一人の女がポツリと呟く。 そちらに目を向けなくとも、その震えた声が彼女の表情を表していた。 その気持ちが、痛いほどよくわかる。しかし、自分は彼女のように掴みかかるわけにもいかない。 男の気持ちも、理解しているつもりだからだ。 いや、自分だけではない、おそらく彼女も理解はしている。 それでも彼女は、妹の山城は、男に向かって言葉をぶつける。 「わたっ、私たちがっ、どれだけこの鎮守府のためにっ」 「山城……」 扶桑と山城はこの鎮守府でも最古参のメンバーだった。規模の小さな鎮守府で、新米の提督とともに支え合った。 少ない戦力の中、艦隊の中心戦力であった彼女たちがいたからこそ、ゆっくりとだが確実に力をつけ、鎮守府拡大に大きな役割を果たした。 鎮守府発展の礎を築いたメンバーである自負は、手前味噌であるが当然持っているし、のちに着任した他の艦娘たちからも多くの尊敬の念を集めてはいた。 しかし、それももはや過去のもの。現状、二人が主力となって出撃する海域はほぼ0となった。 海域を進むごとに扶桑型の欠点でもある速度、防御力などが如実に表面化しだした。 それとともに敵である深海凄艦の強大化にも拍車がかかり、もはや二人の練度を挙げるだけでは対処できないようになったのだ。 「確かに私たちは何の戦力にもなっていない! でも、でもこんな作戦むちゃくちゃよ!」 「止めなさい、山城」 それでも扶桑たちは願っていた。 またいつの日か、艦隊の中心となって出撃することを。 どんな小さな作戦でもいい、戦闘が無くてもいい。ただ、艦娘として、戦艦として誇れる出撃をしたかった。 それさえ叶えば、なんだっていらない。そう思っていた。 しかし、下された作戦命令を頭で反芻し、そのあまりにもの絶望に叫ばざるを得なかった。そして何より…… 「上層部の作戦ミスのために、なんで私たちが死ななきゃならないのよ!」…