古代の人々は、盗難、恋愛、裁判、病気など、自分では結果を動かせない問題に直面したとき、呪術をもう一つの解決法として使った。 2026年6月、ハイデルベルク大学の研究者たちは、オランダ南部ヘールレンで見つかった小さな鉛板の解読結果を発表した。板には、エジプト風の神や悪魔へ呼びかける古代ギリシャ語の呪文と、四人の奴隷の名が刻まれていた。 ところが、文字を読めるようにしても肝心なことは分からなかった。四人が呪われたのか、四人の名で別の誰かが呪われたのか、決め手がないのである。 遺跡からは、神殿や王墓の品に交じって、人目を避けて土や水へ託された個人の願いや憎しみも出てくる。ここで紹介する10件も、遺物や碑文として残ったものだ。確認できるのは呪術を行った痕跡までで、その効力ではない。残された物と、研究者がそこから読み取ったことを分けて見ていこう。…